古稀を過ぎたトリトンのブログ -108ページ目

古稀を過ぎたトリトンのブログ

団塊世代よりも年下で、
でも新人類より年上で…
昭和30年代生まれの価値観にこだはります

 

 つひ先週、午後9時頃にテレビで、深夜バスに乗つた二人の乗客に様々な仕掛けをして怖がらせるといふバラエティ番組がございました。恐怖映像などの仕掛けは、昼間の明るい時に見ても怖くも何ともございませんが、周囲が暗く静かになりますと人間の心理に大きく影響し、バス内のポスターが落ちただけでも男女の別なく悲鳴を挙げてをりました。己の事は棚に上げて、お茶の間で観てゐる限り、他愛ないお笑ひ番組となつてしまふのです。

 

 

 この番組を見てをりました際、30年ほど昔のことをふと思ひ出しましたのでお話し申し上げます。

 

 ホラー映画や怖い話がお好きな女性つて、結構多いですね。

 私が百貨店勤務後に通つてをりました、三宮のスナックにマコトさんといふホステスさんが居りました。美人ではありませんが、愛嬌たつぷりのそそられるタイプでございました。

 その当時一部の店に出回つてゐた、禁断動画が流れるカラオケ(レーザーディスクと申します)でマコトさんが十八番の「エンドレス・ドリーム」を歌ふ際に流れるハードな映像が、あの愛染恭子さん主演だつたのと、喘ぐやうに歌ふ様子が彼女にそつくりだつたのです。そこで私どもは、男のやうな名前のマコトさんではなく「恭子さん」と呼ぶやうになりました。

 ちなみに、エンドレスドリームといふ歌は Hey!Say!JUMP とは無関係で、バリバリの成人向けであり、今回ネットで調べても出て参りませんでした。

 

 さて或る金曜日の晩、店がはねてから深夜映画へ行かないかといふお誘ひを受けました。マスターと2人のホステスさん(うち1人が恭子さん)の4人で、ほろ酔い機嫌で映画館へ参りました。上映されてゐたのは「サンゲリア」だつたか「キャリー」だつたか、何しろホラーだつたのです。正直、私は気が向きませんでしたが、恭子さんが震えながら私の手を握つて離さないので、一寸うれしい下心も手伝つて、怖い部分は目をつぶりながら鑑賞致しをりました。

 

 ホラー映画は映像の不気味さもさることながら、急に鳴り響く大音声で驚かせるのが常道でございます。更に隣席の恭子さんの悲鳴が負けず劣らず大きく、そんなこんなで、私は何度も座席から5センチほど飛び上がりながら、終盤の酸鼻なシーンに近づきました。

 

 恭子さんと繋ぐ私の掌はもう汗でビショ濡れでしたので、私はハンカチを出そうとその手を振りほどいたその瞬間、恐怖のクライマックスシーンが訪れたのです。

 

 

 すると隣の恭子さん、私の胸に縋りつくと思ひきや、事もあらうに前席の男性の肩を両手でひつ掴んだのです。

 

 前に坐つてゐた見知らぬ若い男性、「フギャーーツ」と絶叫を挙げて飛び上がり、持つてゐたらしいポップコーンが噴火のやうに周囲にふり撒かれます。もう、周囲の観客も一斉に悲鳴を挙げて、それはそれは恐怖映画らしいラストシーンを座席で迎へたのでございました。

 

 映画終了後、マスターは男性に平謝りです。しかしその人も女性連れで、いづれかと言ふと恥づかしい方が気になるらしく、殆ど顔も見ぬままお咎め無しとなりました。

 

 一番の当事者の恭子さん、映画が済むと「怖かつたね~」と、先程までの悲鳴が嘘のやうにニコニコ顔。

 そのあと、4人でラーメンを食しに行きましたが、恭子さん「今日は、盛り上がつたね~」と、罪の意識もなくアッケラカン。この人には涙も悲鳴もその場のパフォーマンスに過ぎないのだなあ…  と、私のスケベ心も何処へやら雲散霧消してゆくのでありました。

 

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