女子プロレスラーの木村花さんが22歳の若さで幽明境を異にされました。
フジテレビの某リアリティ番組における彼女の「演技」を本気にしたらしい視聴者らとその周辺による、SNSを悪用した集団リンチが自死の原因でせう。
花さんの母上・木村響子さんは元フリーでやはりプロレスラーをされてをりました。高校卒後、大仁田厚で有名なFMWに入団。20歳の時にインドネシア人の男性と結婚し、生まれたのが花さんです。その後、夫のDVが原因で離婚。現代で言ふところのシングルマザーとして、花さんを練習場や試合会場に連れて行くといふ、まるで劇画「子連れ狼」の女性版のやうな苦労を重ねて生きてこられました。
花さんと観衆に応へる響子さん(左側)
それゆへ先般、拙ブログでご紹介(カブキ・ウォリアーズ)しましたが、現在アメリカメジャープロレスWWEで活躍する、アスカ、カイリ・セイン、紫雷イオのお三方もまた、日頃から試合控室などで母親に連れられた花さんを可愛いがつてこられた人々です。この度、花さんの最期のSNSへの書き込み(日本では夜中、アメリカでは昼間)に異変を感じたカイリ・セインさんが、すぐに国際電話で響子さんに連絡をされたといふ話も伝はつてをります。
そのやうな環境で育つた愛娘の花さんが、はやりプロレスへの道を歩むやうになつて、母親響子さんの嬉しさ、誇らしさ、加へてこの世界の苦労を知るゆへの不安は、察するに余りあります。そして今回の事態…。
今、絶望の淵にいらつしやる響子さんが、メディアにお願ひしたにも拘らず「どうして娘を静かに弔はせてくれないのか」と怒りの心中を吐露してをられます。曰く「花のプライバシーを守るために触れないでほしいと泣いて頼んだ結果がこれですか」… この言葉は、私たちに重い宿題を突きつけてゐます。
なぜ被害者は詳細を公表され、世間の晒し者にされるのに、加害者は「人権」「プライバシー」を盾に守られねばならないのでせうか。晒し者にされるべきは、加害者でなくてはなりません。この逆転現象の異常さこそ、現代日本の病巣の根源にほかなりません。
話が難しくなりさうゆへ、この問題の追跡は日を改めて語りたく存じます。
改めて、衷心より木村花さんのご冥福を、お祈り申し上げます。