月が金色に輝き、青い絵の具をどばーっと塗ったような空の夜、1人の女の子がベッドで泣いていました。お星様は金平糖を散りばめたように夜空に浮かんでいます。
しくしく、しくしく。
女の子の名前は、モモといいます。モモは、毎日通う幼稚園が嫌で泣いていたのでした。
幼稚園に行ったら、ママと離れ離れでさみしいし、自分の好きなように遊べないから、嫌い!!ももはそんな風に思っていました。
他にも、気に入らないことがたっくさんありました。
ママは、私のお話を聞いてくれないし、
パパはいつもお仕事で、私と遊んでくれない、
お兄ちゃんは、いっつも私に意地悪するわ、、、。
モモは毎日の不満がたまって、泣いてしまっていたのでした。
月の光が、ゆらゆらとモモの部屋の壁に揺らめいていました。
モモは溢れる涙を手でごしごしこすりながら、ふと部屋の隅の方を見てみました。
なんだか黒い影が、もやもやしています。
最初は雨雲みたいな色をしていた薄いもやもやは、だんだん黒く濃くなっていき、とうとう黒いもじゃもじゃした毛の塊になっていきました。大きさは、人が1人座れるぐらいでしょうか?
夢を見ているのかしら?モモはそう思い、痛くなるぐらい目をごしごしこすってみました。
こすった目で見てみても、その黒いもじゃもじゃは、もごもご動いていました。
そしたらいきなり、
ぼんっぼんっとおめめが出てきて、
たちまちビヨーン、ビヨーンと手足が伸びてきました。
おまけに、芋虫がもごもごするようなくちびるで、「よう!」と、その変な生き物は、モモに声をかけてきたのです。
モモは、驚いてしまい声が出ません。
「よう!泣いているのかい?」
その黒い生き物は、また声をかけてきました。
「何か悲しくて泣いているのなら、俺の胸を貸してやろうか?」とさらに声をかけてきました。
「あなた誰?おばけなの?」モモは恐る恐る聞いてみました。
「僕はもじゃくろって言うんだ。おばけではないよ。妖怪でもない。もじゃくろって言う名前だけしか僕にもわからないんだ。」そう、黒いもじゃもじゃの生き物は答えました。
そして、「ねえ、よかったら僕とお友達にならないかい?」と言ってきました。
モモは「お友達!?それってなんて素敵な響きかしら。」と思い、「いいわよ、お友達になりましょう。」と答えました。
人間でもない、ましてや、おばけや妖怪でもない不思議なお友達です。モモは、泣いていたことも忘れ、なんだかうきうきしてきました。
「ねえ、もじゃくろくん。今日私と一緒に寝ない?」モモは誘ってみました。もじゃくろくんは1人で、部屋の端っこの方にいて、なんだかさみしそうに見えたのでした。さっきまで泣いていたのは、モモの方だったのに。モモは、自分のことより、もじゃくろくんの方が心配になってしまったのでした。
もじゃくろくんは、「やったー!!」と言うと、ぼいん、ぼいんとジャンプしながら歩いてきて、モモの布団に潜り込んできました。
モモは、もじゃくろくんの毛をそーっと撫でてみました。ふわっふわの綿あめみたいでした。おまけになんだか甘い、いい匂いもします。
「すっごく柔らかいのね、もじゃくろくん!それになんだか甘くていい匂いもするわ!」モモは、もじゃくろくんに頬ずりしながら言いました。
すると、もじゃくろくんは「ちょっと毛をむしって食べてごらんよ。」と言ってきました。
モモは、もじゃもじゃするその黒い毛を、少しだけそっと抜いてみました。
「痛くないから大丈夫。」もじゃくろくんは続けて言いました。
モモはえいっと、勇気を出して口に入れてみました。だって、毛を食べるなんてちょっと怖かったんだもの。
でもでも、口に入れてみてびっくり!!モモは目をぱちくりさせながら、「あっまーい!!」とベッドの上に飛び跳ねながら大きな声を出して言いました。
「しーっ。内緒なんだから静かにね。」もじゃくろくんは、黒い木の枝みたいなおててで、しーっと合図をしながら言ってきました。
「内緒ね。わかったわ。」
モモはそう小声で言いながら、お布団の中のもじゃくろくんの隣へ潜り込みました。
もじゃくろくんの隣は、なんだかとっても暖かく、それに、ふわふわと柔らかく、モモは安心して、そのまま眠りにつきました。
モモのお部屋はとっても甘い匂いに包まれていました。もじゃくろくんもそのまま目を閉じて、2人で夢の中です。
モモと、もじゃくろくんはすっかりお友達。
これから、どんな楽しい日々が待っているのでしょうか。