*ハジンの話・・・・
家の中でアンカーからの連絡を待っていた。
「もしかしたら怪しい写真を送って来たやつでしょうか?」
とチョルが言った。
「まあ、どうしましょう?
警察には通報した?」
「はい。すぐに来ると言っていたのであまり心配しないでください」
「アンカー一人で、危険じゃないかしら?」
「僕が行ってみましょうか?」
「大丈夫?」
「はい。一人よりは二人の方がましでしょ?
ヌナ、どこにも行かないで玄関をしっかりしめておいてくださいね」
「分かった。気を付けてね」
「はい」
*ジョンフンの話・・・・
かなり遠くまで追いかけてやっと犯人を捕まえた。
「お前は誰だ?いったい何してたんだ?」
「ちょ、ちょっと待ってください。
僕は記者のパク・スチャンです」
そういってパク記者は身分証を見せた。
「僕を見たことがあるでしょ?
チョ・イルゴンと親しいんです」
そこにロードマネージャーがやって来た。
「えっ?パク記者だったんですか?」
「ああはい」
「カメラを出せ」
「いえ、ちょうど削除しようと思ってたところです。
僕は先輩に個人的な感情があるわけでは決してありません。
ヨ・ハジンさんを撮ろうと思ったので仕方なく・・・」
言い終わるのを待たずにカメラを取り上げた。
そしてメモリーカードだけを取り出すとカメラを返した。
「損害を請求しろ。送ってやるから。
それから二度と俺の前には現れるな。
その時には俺が何をするか分からない」
「はい。ではこれで。
申し訳ありませんでした」
そう言うとパク記者は帰って行った。
「いつも付きまとってたけど、とうとう家まで来るとは」
「ハジンさんは?」
*ハジンの話・・・・・
一人家で待っていると、2階のドアが閉まる音がした。
そっと2階の寝室に入ってみると・・・
窓が開いていた。
「・・・・?」
窓を閉めた時、玄関のチャイムが鳴った。
急いで降りて行くとチョルが入って来た、
「どうなったの?
捕まえた?」
「それが・・・
捕まえて見たらパク・スチャン記者だったんです。
ヌナも知ってるでしょ?
ヌナの恋愛報道のたびに単独で記事を出す・・・あの記者」
「それで、アンカーは?
ケガしなかった?」
その時電話が鳴った。
「はい、アンカー。
・・・・・・。
はい。今チョルから話は聞きました。
それでどこですか?」
「まだ家の前です」
すぐに外へと出て行った。
「どうして帰らないでここにいるんですか?」
「ああ・・・帰らないと、もう」
「心配したじゃないですか!
あんな風に一人で追いかけて行ってどうするつもりだったんですか?
本当に悪い人だったら、アンカー一人で対抗できるとでも?」
「僕がそんなに信用出来ませんか?」
「そういう事じゃなくて・・・
危険だからです。
これからはこんな事はしないでください。
私はストーカーよりアンカーがケガする事の方が怖いですから」
「もう入ってください。
家に入ってくれないと僕も帰れません」
「分かりました。
それで・・・
さっき話した事は全部忘れてください。
深刻そうに話してしまいましたが、そんなに大変なことではありません。
どこかがすごく痛いとか、生きるのに致命的だとか、そんな事はありませんから」
「そうですね。
大したことじゃありませんよ」
「当事者はそう言えるとして、アンカーは他人のことだと簡単に言いすぎじゃありませんか?」
「過ぎ去った事があるのは当然じゃないですか?
記憶なんてもともと時間が経てば薄れて行くものなんですから。
ですから苦しむ必要もないし、努力する必要もありません。
重要なのは今ですから」
「ありがとうございます。
いろいろと」
「・・・・・・・・」
「それで、アンカーもお友達のことをいつまでも心にとめておかないでください。
正確なことはよく分かりませんが、アンカーのせいではありませんよ。
悪いのはストーカーでしょ?」
「・・・・・・・・」
「では私はこれで・・・。
アンカーも気を付けてお帰りください。
そして、到着したら必ずメールをください」
「はい」
そのまま私は家に入った。
*****
ベッドに横になっているとメールが来た。
”家に着きました”
やっと安心した。
・・・・続きます。