*ジョンフンの話・・・
彼女たちと別ると、そのまま局に戻った。
送られて来た写真がネットに上がっているか確認してみる。
そしてハギョンさんにメールをした。
”イ・ジョンフンです。ヨ・ハジンさんに関することでお話があります。ヨ・ハジンさんには内緒で連絡をお願いします”
例の写真も送った。
ハギョンさんから電話がかかって来た。
「はい、イ・ジョンフンです」
「これ全部ネットに出てない写真なんですか?」
「はい。だいぶ前に送られて来たのですが、今日になって初めて気づきました。全部検索したわけではありませんが、記事やネットに上がっている写真ではなさそうです」
「ではこれを直接撮ったということですか?オンニに気付かれずつきまとって?」
「まだ深刻に受け止める必要はないと思います。ハギョンさんの言葉通りヨ・ハジンさんは芸能人ですから。ちょっと過激なファンというだけかもしれませんし、その可能性は大きいと思います。でももしかしてと言う事があるので申し上げています。気を付けて悪いことはありませんから」
「オンニには内緒にしておきます。きっと不安になるでしょうから」
「もし周辺で怪しい人がいるとか、おかしな手紙が来たりしたらすぐに連絡をください」
「分かりました。アンカーも連絡をください」
「はい、分かりました」
*ハジンの話・・・
翌朝・・・半分寝ぼけて玄関を出ると、庭で誰かにぶつかりそうになった。
「キャッツ!・・・・どなたですか?」
「どなたって何よ。警備員の方じゃない」
「警備員?私の?」
「遅れちゃう、早く乗って」
「突然どうして警備員なんか?」
**********
車に乗って事務所に向かっている。
「あの人たちみんな私の警備員なの?」
「何回聞くの?」
「だって突然どうして?今まで一人もいなかったのに」
「状況が変わったじゃない。オンニは今までのヨ・ハジンとは違うのよ。それに他の芸能人たちはみんな警備員がついてるじゃない。今まで私たちの方がおかしかったのよ。
ねっ?そうでしょ?チョル?」
「そうですよ。姉さんのファン、ものすごく増えたじゃないですか。僕たちだけではかなりキツイんです」
「そこまでじゃないと思うけどなあ・・・」
**********
事務所に着くと、代表が台本を山のように積み上げた。
「これが全部私に来た台本なんですか?」
「これでも随分減らしたのよ。元々はこれの倍ぐらいあったんだけど、あなたがサブの物は当然外して・・・。サブだなんてバカにしてるわ。当然主人公でないと。男性主人公の添え物みたいなのも外して、あなたのイメージに合うのだけを選んで置いたわ」
「それじゃドラマがダメになるんじゃないですか?そんなんじゃなくて、もっと控えめのはなかったですか?」
「ダメになるって何よ。あなたももう主役をやらないと。当分はスケジュールを空けておくから、次期作を選ぶのに集中しましょう」
「じゃあ、明日のスケジュールはサイン会だけですね」
「あ、ああ・・・あれは中止になったの」
「どうしてですか?急に?」
「会場を押さえるのに問題が起きたらしいわ」
「残念だわ。サイン会って面白いのに」
「面白いだなんて。疲れるだけじゃないの。良かったわよ」
代表の電話が鳴った。
「もしもし。いえいえ、違いますよ。バカにしてるだなんて・・・。
ハジンは売れたからってそんな事するような子じゃありませんよ。
そうではなくて事情がありまして・・・」
そのまま代表は部屋の外へと出て行った。
「何?サイン会は中止になったんじゃなくて、私たちが断ったんじゃないの。
突然警備員って言うのも変だし。
どうしたの?何があったの?」
「何ってなによ?サイン会はホントに中止になったのよ」
「ウソつかないで。私、ホントに嫌なの。みんな知ってるのに私だけが知らないなんて。
早く言って。何があったのか」
「・・・・・・・。
イアンカーのところに脅迫状が来たんだって」
「脅迫状?」
「オンニのストーカーみたいなんだけど、その写真がちょっと・・・」
「写真が何なの?今持ってる?見せて」
ハギョンがスマホを差し出した。
見せてくれた写真はどれもひどい物だった。
・・・・・続きます。