*ジョンフンの話・・・

 

彼女のモノローグのシーンだ。

 

”すごく辛かったの。

息が出来なかった。

あなたなしで、私一人で耐えなければいけない時間がすごく怖かった。

もう、あなたを忘れてもいい?

身勝手だけど、もう私はあなたを忘れて生きて行ってもいい?”

 

どんな気分なのか想像も出来なかった。僕には。

大切な記憶をなくして生きなければならないということが。

 

どちらの方が可愛そうなのだろう?

永遠に忘れられない僕か?

それとも生きるために忘れなければならなかったヨ・ハジンさんか?

 

 

映画が終わり、しばらく待って観客が誰もいなくなってから部屋の外へ出た。

すると突然・・・

 

「捕まえて!」という声がして、女子高生2人に両方から腕を取られた。

そして、もう一人が前から写真を撮っている。

 

「ほら、イ・ジョンフンアンカーだって言ったでしょ?

本当だったでしょ?」

「ほらほら。。さあ、行くわよ!」

 

彼女たちはパチパチ写真を撮るとサーっと走って逃げて行った。

逃げながら

「嫌いだって言ったのは取り消し!」

「ハジンさんといつまでも仲良くねー!」

と言い残して。

 

はあ・・・。

まるでテロに遭ったみたいだった。

 

 

*ハジンの話・・・

 

明け方。トイレから戻ってまたベッドに入った。

そしてスマホに手を伸ばす。

自分で撮った写真を見ていたら、カフェで撮った写真が出て来た。

自分一人を撮っているふりをして、後ろのアンカーも一緒に撮った写真だ。

 

何してるのかな・・・、今。

 

ついでにネットに上がっている記事をチェックしてみる。

うん?何これ!?

イアンカーの写真じゃない?

 

”今日映画を見に行ったらイ・ジョンフンに遭遇。#私の初恋#ヨ・ハジンにつられて泣く意外にロマンチスト#嘘じゃない#イジョンフンは別に何とも思わなかった#03年生”

 

急いでスマホを手にハギョンの部屋へと走って行った。

 

「ヨ・ハギョン!起きて!

こんな事してる場合じゃない!

早く起きて!」

 

「きゃあ!ああ!どうしよう!インタビューに遅れる!」

「いいえ、大丈夫。まだ明け方の5時だから」

「明け方?・・・・なんでそんな時間に何してるの?」

「トイレに行こうと思ってちょっと起きたんだけど、記事をチェックしてたらね、

昨日イアンカーが映画を見に行ったんだって。それも一人で深夜映画を。

ほら見て」

と言ってスマホの記事を見せた。

 

「イアンカーと同じ映画館で映画を見た人がアップしたの。

その人の話だと、アンカーは映画を見ながらいっぱい泣いたんだって。

感情を押さえようとして、映画が終わってからもしばらく立ち上がれなかったんですって」

「・・・本当にいかれた奴なのか?」

「たぶん・・・。やっぱり私が先に連絡してあげた方がいいよね?」

「突然どうしてそういうことになるの?」

 

「だって考えてもみなさいよ。突然何で私の映画を見に行ったと思う?」

ぐぅぐぅ・・・眠れなかったから・・・ぐぅぐぅ

「当然私のせいよ。私に会いたくて。

どうして熱愛報道も放っておくんだと思う?

ねっ?答えは一つでしょ?」

ぐぅぐぅ・・・オンニの考えが正しいのかも・・・ぐぅぐぅ

「恋愛ってそういうものよね。あなたもそう思うでしょ?

やっぱり私が先に連絡してあげないと」

ぐぅぐぅ・・・オンニがしたいようにすれば・・・ぐぅぐぅ

「うん。じゃ、お休み」

 

 

*ジョンフンの話・・・

 

朝起きるとテウンのメモがあった。

”先に出勤する。朝ごはんも食べずに。頼むから食べる物を何か置いといてくれ。これが家か?”

 

冷蔵庫に唯一入っている水を取り出して飲んでいるとメールが来た。

イルゴンからだった。

 

”おめでとうございます。韓国一のロマンチストとして登録されましたよ”

というメッセージとともに、昨日女子高生がアップした写真と記事が添えられていた。

 

 

・・・・・続きます。