ウイスキーもブルゴーニュ・ワインも値段が非常に高騰し、その状態になって久しい。

私は酒飲みなので、ウイスキーだけワインだけではなく、おいしくてかつ価格に対して満足度の高いものを飲みたいと思う。

そう考えると今満足度が高いと思うのは、フランスの銘醸地のワインであることが多い。

ブルゴーニュは価格的にもはや厳しいが、ボルドーやシャンパーニュはまだものを選べば安くておいしいと感じる。

そしてコート・デュ・ローヌのワインは、クオリティを考えると安すぎると思うことが多い。

中でも南ローヌのシャトー・ド・ボーカステルは、超優良生産者かつ非常に良心的な生産者として知られる。

ボーカステルの現在のオーナーは、1909年にシャトーを買い取ったペラン家だ。

中でも3代目のジャック・ペランが今の繁栄を築いたといわれ、スペシャルなキュヴェに名を遺している。

そのオマージュ・ア・ジャック・ペランは、特別な年にしか作られないスペシャルなキュヴェで、今や5万円を越える高額帯のワインだ。

しかし、それが作られない年はシャトー・ヌフ・デュ・パプがトップキュヴェだが、少し前は1万円も出さずに買えた。

熟成させて飲むとより楽しめるワインだが、早めに飲んでもおいしいし、食事に合わせてもいい。

1万円以下で買えるワインとしての完成度は異常で、私がローヌのワインにのめり込むきっかけとなった生産者の一つだ。

コート・デュ・ローヌは南と北で栽培されるブドウ品種が違うが、ボーカステルは南ローヌに拠点を構える。

130ha超という広大な畑を所有するが、そのうち半分以上が南ローヌきっての銘醸地であるシャトー・ヌフ・デュ・パプにあるという。

そして、ボーカステルのシャトー・ヌフ・デュ・パプは、AOCで認められている13種類のブドウを全てブレンドして作る。

中でもムールヴェードルの可能性に着目し、その素晴らしさを証明した生産者として知られる。

ボーカステルのワインは嫌いな人がいないのではないか？と思うぐらい、全世界のワインLoverから愛されている。

またほとんどのウイスキーLoverにも、おいしいと感じられると思う。

セカンド・ラベルもクオリティは高いが、やはり看板ワインであるシャトー・ヌフ・デュ・パプを飲みたいところだ。

しかし今や日本で買おうと思うと、１本2万円弱と私がよく買っていた倍くらいの価格のワインになっている。

今までが異常な安値だったことに皆が気づいたのか、なかなか気軽には買えなくなってきた。

しかしプリムールで買えばまだまだ安いし、ブルゴーニュのワインの値上がりぶりを考えれば依然として良心的だ。

久しぶりに少し若めのボーカステルが飲みたくなり、セラーリングしていたものを自宅で開栓した。

なお、ヴィンテージは2017で輸入元はエノフィル。

グラスはシュトルツル・ラウジッツのギブリ　ボルドー22ozを使用した。

【テイスティング】

塩水に浸したプラム、アメリカンチェリー、ブラックベリー、出汁感とほんのりトマト感がありクラマトっぽい。

熟成感はまださほどなく、若いタバコの葉っぽいニュアンス、レーズン様のドライフルーツ、細かく挽いたホワイトペッパー、ほんのり市田柿。

樽由来のオーキーさ、滑らかなテクスチャー、赤福の餡、グレープフルーツの皮、タンニンもしっかりめでボディに厚みがある。

煮出した紅茶、カンパリの苦味、ジャミーな赤い果実、ブラックペッパー。

時間が経つと重厚さと複雑さが増す。

14.5%のアルコール度数はパワーと厚みをもたらしているが、滑らかでバランスもいい。

とにかく素晴らしいワインで、これが8,000円ぐらいで買えたのはやはり異常だと改めて思う。

当時価格が高くなっていたニューリリースのウイスキーに比べて、満足度では無双すぎるぐらい圧倒的だと感じたが、そう感じたのも納得の味だ。

ブレンドする品種を増やせば複雑さが増すというのは理屈では分かるが、方向性を一つに集約し完成度高く仕上げるには相当な技術がいるはずだ。

そういう意味では北ローヌのトップ生産者、ジャン=ルイ・シャーヴのエルミタージュのアサンブラージュに通じるものがある。

すさまじいワインなのに親しみやすさと気安さもある、まさに南ローヌ、いやフランスを代表するものすごいワインだと思う。

今からでもさらに追加して、いろんなシチュエーションで楽しみたい。

非の打ち所のない素晴らしい酒だ。

【Excellent!!】

仏の超良心的生産者 シャトー・ド・ボーカステル シャトー・ヌフ・デュ・パプ ルージュ 2017