私が飲み始めて少ししてからクラインリーシュの魅力にはまり、気に入って飲んでいたヴィンテージがある。

それが1982ヴィンテージで、2010年前後に28年前後の熟成のものが多く出ていた印象がある。

しかし、改めて1982ヴィンテージをWhiskybaseで見直してみると、15年前後の熟成の時に少しリリースが集中して、そのあとが私が認識している長熟のムーブメントになったように見える。

しかし、その後パタリとリリースが止まり、以降あまりリリースされなくなった。

身近なところで、スコッチモルト販売(スコモル)のディスティラリーコレクション(DC)や、スリーリバーズのオリジナルラベル、ウィスク・イー向けのBBRなど日本向けのボトルもあったため、多い印象があった。

しかし、実は1982はスリーリバーズが1本、スコモルが2本しか出していない。

しかもスコモルは一つがDC、一つが46％加水のケルティッククロスのため、同じ樽かもしれない。

そして、BBRもウィスク・イー向けのカスクストレングス2本以外は、このベリーズ・オウン・セレクション(BOS)の加水しか掲載されていなかった。

改めて見直してみると、リリースが一時集中しただけで、1982のクラインリーシュは意外に少ないということが分かった。

家でも開けてよく飲んでいたが、実は希少なヴィンテージだったようだ。

しかも、好きな味わいなのに失われていきつつあるため、あと数本手元にあるものは大事に飲まないといけない。

1982も樽番で紐解いてみると、一時的にリリースが多かった時期のものは5,000番台のものが多い。

このボトルの樽番は5889で、BBRやスリーリバーズ、デュワーラトレーなども5,800番台なので、出所は同じとみてよいだろう。

これも、おそらく出所はBBRではないかと思う。

ちなみに、中熟のムーブメントの時に出されたとおぼしき、16年熟成のロンバードの1982も今我が家で開いている。

こちらの樽番も5738と、12年の時を経ている割にはまあまあ近い。

しかもそのボトルの輸入元もまた、スリーリバーズなのだ。

素晴らしい慧眼だと思う。

さすがに今1982が出てきたら熟成が40年を越えてくるため、とんでもない値段になることが予想される。

開栓して約1年が経つが、改めてこの1982ヴィンテージのクラインリーシュをテイスティングしてみた。

【テイスティング】

ピーティーさではないクラシカルなスモーキーさ、アプリコットの果実味、溶かしたプラスチック、フロアワックス。

レモングラスやローズマリーなどのハーブ、甘夏や文旦のような白い和の柑橘やその皮、くぬぎの樹液。

ドライで噛み応えのある麦芽感、バニラクリーム、バター、ドライなオーストラリアのリースリング。

松葉のグリーンなニュアンス、ちょっと植物系のエグミがありコクのあるクリーミーさ、キラキラした海面のニュアンス。

ヌルッとした昆布水、わずかにパフュームの芽が出ていてセクシー、アボカドの青さ、石油っぽいペトロールの香り。

パイナップルキャンディ、うっすらと黄色い桃感、シャインマスカットの茎。

加水だがノンチルフィルターの46％のため、度数以上に厚みがある。

今のクラインリーシュと明らかに違うのは青いニュアンスとエグミ、ワックスや石油など慣れていないと少し変わっていると感じる味がする点だろうか。

しかし、様々なフレーバーが次から次に出てくる、複雑で飲んでいて楽しいモルトウイスキー。

好きな味だからか減りも早く、まあまあ大事に飲んでいるが1年でかなり減った。

正確に在庫を確認しようと調べたら、1982単体でみると未開栓はあと2本しかない。

1972や1973、1983と合わせても未開栓はトータルであと8本しかなくなっている。

少し傾向が違う1988や1989、ブローラまで足すと70年代、80年代蒸溜で15本以上はある。

しかし、多少無理してでも追加した方がいいかもしれないと思う。

改めて飲み直しても87以降のものと違いかなりクセが強く、今のクラインリーシュが好きな人、慣れている人は評価が別れそうなウイスキー。

しかし、失われつつあるフェイバリットなヴィンテージで、やはり飲んでいて楽しくなるクラインリーシュだ。

【Verygood!!!!!】

再)592.クラインリーシュ 1982-2010 BOS #5889 46％ BBR