最近、ブログ内の目立たなかったある過去記事のアクセス数が不自然に増えていた。

なぜだろう？と思っていたら、同時期に流通していたその蒸溜所のウイスキーが、高額な福袋に入っていて物議を醸していたらしい。

トレンドに上がっているくらい話題だったらしいので、私も気になって見てみた。

詳しくは書かないが、対象のボトルが流通していた年代を誤って記載している割合が多く、結果としてかなりの割高感がある福袋だったようだ。

他のボトルがやり玉に上がっていたが、その蒸溜所のボトルも流通年が事実とはかなり違っていた。

確かにウイスキー価格は高騰の一途をたどるが、それにしても割高感が強く、以前から飲んでいる人なら卒倒しそうな内容と価格だ。

ただ、販売していた方もそれほど知識があるとも思えず、拝見する限り自身もかなり高づかみをしている様に見える。

また、リストにはボトルの詳細が書かれていたので、その点からも悪意はなかったと信じたい。

しかし私ならあのリストであの価格なら絶対に買わないし、仮に詳しくなかったとしたら買う前に自分がその道に詳しいと思う方に相談するだろう。

最終的には店を信じて買ったとはいえ、残念だが自分の責任だといわれてしまうのが世の常だ。

しかし大金を払ってしまった方は心から気の毒だと思うし、これ以上こういう事が増えないよう想いを徒然に綴ってみる。

まず大前提だが、ウイスキーは酒であり飲み物だ。

飲み物に重要なのは『味』だろう。

おいしければ、高い価格を払ってでも手に入れたいと思うのはあり得ると思う。

しかし、飲み物なのに味よりも価値で判断しようとするから、おかしなことが起きるのだろう。

私に限らず以前から飲んでいる人は、おいしいと言われるボトルは件の福袋のリストに入っていないと感じたのではないか。

だからあの価格を払って買おうとは絶対思わないだろう。

また、私なら価値が今一つ分からないものを買うときは、その道のプロで心あると思う人に必ず相談をする。

もちろん最終的な決定は自らがするのだが、プロの意見を聞かないと高額なものは怖くて買えない。

今はSNSなどもあるため、その道の詳しい人と知り合う機会を得るのはさほど難しくないだろう。

ウイスキーに限らず高額品を買うときには、詳しい人に相談する事をおすすめしたい。

また、オールドボトルを謳っていたようだが、リストの中にはオールドボトルとはとても呼べない代物がたくさんあった。

オールドボトルに明確な定義はないが、個人的には今から30年以上前に流通していたものが最低ラインではないかと思う。

今でいうと1980年代からせいぜい1990年代頭くらいのものがギリギリだろうし、人によってはもっと古いものでないとオールドとは呼ばないだろう。

参考までにうちで開いているものだとこんな感じになるが、買値は正確に覚えてはいないが4本で8万円もしなかったはずだ。

一番ボトリングが新しいのはノッカンドゥで、1965ー1990の25年ものだが、これは私はオールドではないと思うし、オールドとは呼ばない人も多いと思う。

また、ノッカンドゥは蒸溜所の格的にも古いものでも安く買える蒸溜所で、これも古いのが残ってる国内の酒屋で普通に買えた。

件の店ならいくらの値段をつけるのだろうか。

また、オールドボトルは、ヴィンテージや流通年が記載されていないボトルも多く、流通していた正確な年代の特定はプロでも難しい。

幸い日本には良心的なbarが多く、ショット売りでオールドボトルもリーズナブルな価格で飲ませてくれる。

興味があればそういうbarでまずは飲んでみて、気に入ったなら安く買える海外のオークションなどで、安く買える時に買えばいいだろう。

また、どうしても欲しいボトルがあれば、福袋よりは直接買う方が結局は近道だと思う。

しかし私もワインは初心者の域を出ないので、ワインでは福袋を結構利用している。

残念に思う結果になることもあるが、飲んだことがないものが飲めるし、開けてみると結果として支払った対価以上に満足度と経験値が得られている。

心あるお店から買っているのが大きいと思うが、自分の中で価格のアッパーを決めているのもあるのだろう。

古いものは品質的にもリスクがあるし、古ければなんでも価値が出るというものでもない。

インターネットで簡単に買えるからこそ、時には慎重に検討を勧め、後悔しない決定になればいいなと思う。

そんなことを思う福袋の件だった。

オールドボトルの福袋販売に思うこと