コラヴァンシステムというワイン飲みにとっては夢のようなアイテムがある。

ワインを飲むときに問題になるのは、開栓して空気に触れると劣化が始まるという点だ。

だから一人で家で飲む場合、1本飲みきらないといけないので、そんなに飲めないからワインを買うのを躊躇していた時期が私にもあった。

だが、飲んでいくとタイプにもよるが、数日なら劣化がいい方向にいく場合すらあることがわかり、買う事への躊躇いが減った。

しかし、何本も同時に開けるのは家飲みだとなかなか厳しいものがある。

その点、ウイスキーは開けても劣化が緩やかで、年単位の保管で常温でも問題ない。

ワインもウイスキーのように、劣化を気にせず何回かに分けて飲めたらなあ、と思う。

そうすれば家でもレストランのペアリングのように何種類ものワインを楽しむことができる。

さらに比較テイスティングもでき、よりワインへの理解を深めることにも繋がる。

そんなワインの問題点を解消し、ワインファンの夢を叶えるのがコラヴァン・ワインシステムだ。

https://www.coravin.jp/

コラヴァンワイン保存システムとアクセサリー妥協することなく、好きなワインを飲むだけです。おいしいワインを注ぎ、残りを数週間、数ヶ月、さらには数年保存します。

www.coravin.jp

コラヴァンはジャンルでいうとワインオープナーになる。

栓を抜かずコルクに針をさして、注いだワインを空気より重いアルゴンガスに置き換える。

空気中の酸素がワインを劣化させるため、ワインと酸素を触れさせない事で劣化が緩やかになるという理屈だ。

場合によっては年単位でワインの味わいを維持できるという。

しかし初期投資として、今だと4万弱というそれなりに高額なコラヴァンを買う必要がある。

また、ランニングコストとしてはガスを使うとなくなるため、補充用のガスカプセルは替えが必要になる。

あとは、私は曲げたことはないが、針が曲がればそれも買い換えないといけない。

だから安いワインには費用面で効率的ではないため、コラヴァンは使わない。

高額なワインだからこそコラヴァンを使いたい、と思うはずなのだ。

ゆえにワインを飲み始めた時、コラヴァンがほしいと思い買うようになったら、よりワインの沼にはまる兆候だし、ヤバイなと思っていた。

しかし、買う時は意外に早く訪れた。

ワインを飲み始めて半年ぐらいで、当時3万弱だった一番安いモデル1を買ってしまったのだ。

当時はまだアルゴンガスは日本では食品への添加が認められていなかったため、日本仕様だけは窒素ガスのカプセルだった。

しかし、買って少ししてからアルゴンガスに切り替わった記憶がある。

3年半使った結論は買って良かったと思うし、ワインを始めるウイスキーLoverには、まずコラヴァンを買った方がいいと勧めたい。

3年半使ってみて、自分なりに思うところを書いてみようと思う。

まずは前述した内容とも重複するが、メリットとデメリットを整理したい。

【メリット】

①キャップシールや螂を切らなくていい。

螂封ボトルも針が貫通する。

コルクを抜かなくてもいいため、特にコルクに不安がある古酒のサーブも楽。

②コルクは天然コルクのものに限るが、針の穴はコルクの復元力で元に戻る。

そのため、セラーに横置きの状態でそのまま戻せる。

③グラス一杯分取っても状態を維持できる。

そのためグラスで何種類ものワインを自宅で楽しめる。

ただし、1台しかないとワインの種類を変える際には洗ったり抜き差ししたりそれなりに面倒。

④ワインの劣化は、栓を抜いたものと比べて明らかにゆるやかになり1本のワインを長く楽しめるようになる。

【デメリット】

①イニシャルコストもランニングコストもそれなりにかかる。

明らかにメリットが多くてデメリットは少ないし、操作も簡単で一気に普及したのがそれを裏付けている。

次に注意する点や使い方についてだ。

◼️ワインのタイプにも寄るが劣化は進む。

抜く量やワインのタイプにも寄るが、ブルゴーニュの古酒を半分抜いたりすると、劣化はかなり早い。

2週間も保たないのではないか。

数ヵ月や年で味わいに変化がない、というのはおそらく状態や飲み頃の確認のための30ml程度の少量のテイスティングで抜いた場合だろう。

また、液体と気体の接地面が増える横置きは劣化リスクがより高まる。

セラーの最下段を縦置きスペースにして立てておき、ものにも寄るが少なくとも1ヶ月では飲みきった方がいい。

◼️ワイン一本の変化を楽しむ、という醍醐味が味わいにくい。

グラスの中での変化もあるが、ワインはボトル一本飲んでこそ変化がよくわかり楽しめるという面がある。

これはウイスキーと比較すると明らかに面白いところだ。

ウイスキーでもグラスの時間経過で開いた、化けたという人がいるが、露骨にスピリティだったものが長い時間経過と酸化で角がとれるようなケースじゃないと、私はそう思わない事が多かった。

特に高度数のカスクストレングスをストレートで飲む場合、舌が度数に慣れ味がわかるようになったという方が近い気がする。

しかしワインは明らかに味わいが変わる。

これは劣化しやすいというデメリットと表裏をなすワインの魅力だと思う。

コラヴァンはそれを部分的に切り取るような印象のため、緩やかな変化に気付きにくい印象がある。

最近は慣れて量が飲めるため、1本を数時間で飲むし、変化を楽しむためあまりコラヴァンを使わなくなっている。

◼️ニードルはヴィンテージタイプの細いものを使用している。

コラヴァンを使い横置きにすると、コルクから数滴分ワインが染み出すことがある。

十分に復元する時間をかけて戻せばいいのかもしれないが、戻る時間は針が細い方が早い。

ただ細いとワインを注ぐのにもより時間が必要になる。

そのため、今は逆に注ぐのが早い太い針も出ているようだ。

どちらが気になるかは人によるだろうから、選択肢があるのはいいことだと思う。

実際にコラヴァンを使いテイスティングしてみた。

飲んだワインはマルゴー村の格付3級シャトー、シャトー・キルヴァンの2018ヴィンテージだ。

試飲会で飲むと早飲みできるタイプの印象のシャトーで、いい年だけにハイクオリティだった。

それを受けて私が買ったのは、未来堂が自社輸入しネットショップで6,800円(税抜)とビッグヴィンテージ、人気のマルゴー村の格付けシャトーとしては、比較的お求めやすい価格で売っている。

https://www.miraido-onlineshop.com/item/1-ch-kirwan2018/

格付け第3級シャトーキルヴァン 2018 750ml 赤ワインカベルネソーヴィニヨンフランスボルドー | 酒類の総合専門店フェリシティーお酒の通販サイトシャトー・キルヴァンはマルゴー地区に位置するメドック格付3級の中でもトップの評価を受けるシャトーです。その歴史は古く、12世紀まで遡ることが出来ます。キルヴァンの魅力を備えた古典主義様式の邸宅は18世紀... | 酒類の総合専門店フェリシティーお酒の通販サイト

www.miraido-onlineshop.com

コラヴァンでキルヴァンと書くと韻を踏んでしまうがそういう意図はなく、他のワインも飲みさらに1本はきついかな？と思いたまたまコラヴァンを使った。

開栓した直後のテイスティングノートを記載する。

【テイスティング】

しっかりめの炭っぽい樽感、色もかなり濃い。

ブラックベリーやプラム、果実味は酸がありフレッシュ。

チョコレート、焼いた樽のきめ細かい炭の粉が舞うようなタンニン、プルーン様のドライフルーツ。

黒や赤のベリーのジャムをたっぷり入れた煮出したロシアンティー、クローブやナツメグのようなスパイス、プラムのジャム。

黒っぽくて濃いがジャミーなフルーツが強く、エレガンスのあるボルドー。

しかし、しなやかでエレガンスがあり新世界とは違うボルドーの魅力に溢れている。

かつマルゴーらしい女性的な面もある。

タンニンが全体を覆っていて、それが苦手な方にはあまりお勧めできないかなという印象だった。

2/5くらい抜いたため、横置きでセラーに置いたて二日後に栓を抜いて飲んでみた。

明らかにタンニンが馴染み、甘いフレッシュな果実感が強まっている。

優美でしなやか、早飲みタイプのボルドーと考えたらかなりレベルとコストパフォーマンスが高い。

強そうな味わいなので、コラヴァンなしで栓を抜いて分けて飲んでも4～5日は保つだろう。

7杯どりで1杯1,000円で飲めるのは嬉しい。

セパージュはカベルネ・ソーヴィニヨン４３％、メルロー２９％、カベルネ・フラン１５％、プティ・ヴェルド１３％で、新樽率は５０％との事。

ワイン・アドヴォケイトに在籍していた時期のリサ・ペロッティ・ブラウン、ヴィノスのニール・マーティンともに92ptをつけている。

しかし2日でこの変化なので、やはりコラヴァンで1/3以上抜いての横置きは変化が大きい。

どういう劣化曲線を描くかはわからないが、一月後に開けていたらどうなったのだろうか。

しかしコラヴァンは分けてワインを飲むには本当にいいアイテムだと思うし、今はいろんな機能がついた高額なモデルも出ているようだ。

だがまずは一番ベーシックなもの、できれば私の買ったチープな色合いのモデル1より、少し高級感のあるモデルをお勧めしたい。

～ワインへの道～ コラヴァン考察 シャトーキルヴァン 2018

～ワインへの道～　コラヴァン考察　シャトーキルヴァン　2018