少しブログの更新が滞っていたが、相変わらず特にワインを多く飲んでいる。

最近は、まとめてたくさんの種類のワインを飲む機会が多かった。


山梨は勝沼のワイナリーに出かけて数多く試飲したり、コンサルタントを変えるあるインポーターのワインの評価をいちユーザーとして手伝ったり。

また、ワインペアリングのディナーでさまざまなワインを試したり、世界のワインフェアで飲んだことのない国のワインを飲んだり。

そこで改めて思ったのは、やはりワインは食中酒として食事と合わせてこそ、その本当の良さがわかるということだ。


山梨の勝沼は日本ワイン発祥の地という歴史の深さもあり、食中酒として深く地元の食材と共に楽しむという文化が根付いている。

また、ワインペアリングのディナーでは、あまり馴染みのない国のナチュール寄りのワインが、見事に食事と引き立てあっていて衝撃を受けた。 


反面、コンサルタントを変えようという老舗インポーターのワインは、合わせる食事が見えづらいワインだった。

そうなるとワインとしての魅力も減じてしまい、買う理由に乏しいという点は否定できない。

食事に寄り添い、その良さを高める役割を果たす。

それによって得られる満足感は、ワインならではの魅力といえるだろう。


いろいろ飲んだが、家で食事をする時にはその食事に可能な限り合わせたワインを選び、一日一本くらいは飲んでいる。

一日一本飲むとなると価格も重要だし、醤油や味噌、出汁を使う日本の家庭料理に合わせるとなると、それなりの汎用性が求められる。


そういう意味で重宝するのがロゼ・スパークリングで、今年の夏トライアルで飲んで食卓に供するワインのローテーション入りを果たしたものがある。

それがシャルドネとピノ・ノワールでつくる、南アフリカのスパークリング、グラハムベックのブリュット・ロゼだ。


グラハムベックは南アフリカのウエスタン・ケープ、ロバートソンに拠点を構えるワイナリーだ。

南アフリカ初の黒人の大統領に就任した際に、ネルソン・マンデラ氏が祝杯をあげたのがグラハムベックのスパークリングだという。

また、バラク・オバマ氏が大統領選挙への出馬を決意した夜に勧められて気に入り、大統領に選出された時に祝杯をあげたという逸話があるらしい。

歴史的な黒人指導者達が門出に飲んだ、縁起のいいワインなのだ。


そのグラハムベックはスパークリングワインの王者、フランスのシュンパーニュと同じく、瓶内で二次発酵させてつくる。

また、使うブドウ品種もシャンパーニュと同じくシャルドネとピノ・ノワールだ。

それに対して、価格的にはシャンパーニュのスタンダードキュヴェの1/2~1/3程度になっている。


そんなコストパフォーマンスに優れたスパークリングなのだが、価格だけではなく味わいも素晴らしい。

先日、あるメゾンの上代が8,000円のロゼ・シャンパーニュを飲んだが、ベクトルの違いはあれど個人的には味わいでもグラハムベックのロゼの方が優れていると思った。

このロゼを私が買った値段は税前で2,200円ほどだが、スパークリングのみならず、全てのワインの中でもコストパフォーマンスはトップクラスだと思う。


また、食前酒としての使い方はもちろん、前菜やサラダ、魚料理や肉料理など幅広くに合わせても矛盾せず寄り添う。

ワイン選びに苦慮する、家でつくる中華やカレーとの相性も悪くない。

万能というと言い過ぎにはなるが、矛盾せずかなり幅広くカバーできると思う。


グラハムベックは、このロゼより少し安い白泡のブリュットも素晴らしいが、食事に寄り添う幅広さで選ぶならこのロゼの方だろう。

この夏たくさん飲んだワインだが、テイスティングをしてみたので、そのノートを記載する。


【テイスティング】

ラズベリーやイチゴのチャーミングな果実味、しっかりしたミネラル、酵母やブリオッシュの香り。

果実味は鮮やかで少しグァバのようなトロピカル感、ルビーグレープフルーツの果肉、そのワタの苦味、ほんのりと塩味がある。

熟したレモン様の柑橘、ライムの皮、クリーミーなフレッシュチーズ、ローズマリー、ラベンダーの花。

泡はきめ細かくプレステージほどではないが並みのシャンパーニュよりは繊細。

また、ミネラル感は柔らかくほどけている印象。

少し陽気で果実味が強めのロゼだが、充分にドライで食事との相性もいい。


ブルゴーニュはもとより、シャンパーニュもかなり価格が上がっていて、大手メゾンのスタンダードキュヴェでもこのワインの3倍くらいになっている。

その中にあってこの価格、このクオリティは称賛に値するし、とても丁寧につくられている。

自宅用に買い2回に分けて楽しめば1回1,000円強で楽しめるが、その価格とは裏腹に得られる満足感は大きい。


この作り手のスパークリングは、シャルドネ100%のブラン・ド・ブランや、ピノ・ノワール比率が90%と高いヴィンテージ入りのミレジムロゼも飲んだ。

どれも素晴らしい出来で、生き生きとした立体的な果実味、しっかりした酸、瓶内二次発酵由来の酵母感や繊細な泡など作りが素晴らしい。

シャンパーニュとは少しベクトルは違うが、素晴らしいスパークリングでこれからも家で多く飲むことになるだろう。

願わくばこのままの価格でクオリティを維持するかさらに向上してほしい。

この夏、このワインと出会えたことに感謝したい、グラハムベックのロゼ・スパークリングだ。


【Verygood!!】