ウイスキーの聖地と呼ばれるスコットランドのアイラ島で開かれる、アイラ・フェスティバル。

昨年は二年のコロナ渦での中止を経て三年ぶりに開催されたが、毎年フェスティバル限定で販売されるボトルを楽しみにしているファンも多い。


フェスボトルには現地に足を運ばないと買えない蒸溜所がある一方、一般に売りに出す蒸溜所もある。

例えばアードベッグは、蒸溜所のオープンデーをアードベッグデイと呼び、その日にフェスボトルを世界中で一斉に売り出す。

また、ラフロイグも現地で販売した後に、公式オンラインショップで、フェスボトルを売りに出す蒸溜所だ。


ラフロイグのフェスボトルは、1994年に開設された公式ファン・クラブである『フレンズ・オブ・ラフロイグ』にちなみ、ゲール語で友情を表すカーディスと名付けられている。


昨年2022年は、ビーム・サントリー系列であるメーカーズ・マークのバーボン樽を使い、ラフロイグの一番熟成庫で熟成された原酒を使った『ウェアハウス1』がリリースされた。

ラフロイグの伝統ともいえるファースト・フィルのバーボン樽で熟成され、熟成年表記がないノンエイジ、カスク・ストレングスのボトルだ。


ここ数年のカーディスは、色々な酒の熟成樽で後熟をかけたウッドフィニッシュものが多く、正直パッとしない印象だった。

それに対し原点に回帰したようなスペックのボトルで、期待値も高かったため飲む前だったが予約して2本購入した。


届いたものをすぐに開栓してテイスティングしたが、いいボトルだが即追加で買おうとまでは思わなかった。

様子を確認しながら変化を見ていたが、開栓して約半年が経つため、じっくりとテイスティングして改めてそのテイスティングノートを記載する。


【テイスティング】

香りのトップに磯やフェノールと相まってフルーティーさが強くある。

松葉やミント、ちょっと仁丹、グレープフルーツキャンディ、タールっぽいピートの苦味、エンジンオイルっぽさ、ドライアプリコットの果実味。

鉄っぽくドライな麦、淡くバニラクリーム、パッションフルーツ、潮の香り、ミネラリーな岩塩。


以前よりスピリティさは収まり、パッションフルーツのような果実味は強まっている。

また、個人的に少し引っ掛かるエンジンオイル感は残るが、フルーティーさとのバランスが取れてきている印象。

バーボンカスクのラフロイグの教科書的な味わいで、アイラモルトの高騰著しい昨今、カスク・ストレングスの限定品が今どきの相場を考えたら税別送料別で1万弱はかなりお買い得だと思う。


なお余談だが、グレープフルーツやアプリコットの果実味、淡いバニラクリーム、ミネラル感のある塩味、ほろ苦味などの私の好きなフレーバーは、ブルゴーニュのシャルドネに色濃く存在する。

もちろんシャルドネのワインにはピートはないし、ワインにはしっかりとした酸がある。
蒸溜酒と醸造酒という違いはあるし、アルコール度数も全然違う。
しかし、例えばシャサーニュ・モンラッシェのプルミエ・クリュ(一級畑)以上の畑だと、パワーや壮大なスケール感はひけを取らないか上を行く。
なかなか共感を得られないかもしれないが、ウイスキーと共通するフレーバーを探しながらワインを飲むのも、個人的にはとても楽しいと思っている。

少し話がそれたが、半分くらい減って開栓後の瓶内での時間経過で、まとまりが出てきた印象のラフロイグ。
今年2023年のラフロイグのカーディスはどんなウイスキーだろうか?
今から4か月後のアイラ・フェスティバルのボトルが楽しみだ。


【Good/Verygood!!】