アイラモルトの人気蒸溜所で『アイラの女王』という異名をもつボウモア。

創業は1779年と現存するアイラの蒸溜所では最古の歴史を誇り、アイラ島の行政の中心であるボウモアの街にあります。

女王というだけあって、花のような香りやフルーツの味に、アイラの中では優しめのピート香が特徴で、『最後に行き着く酒』ともいわれる奥の深いウイスキーです。

そのボウモアにおいて『黄金時代』と言われるのは1963年にオーナーになったスタンリー・P・モリソンのモリソン・ボウモア時代の前半、1963年から1972年位ではないでしょうか。

その時代につくられたお酒は、ブラックボウモア、ゴールドボウモア、ホワイトボウモアのいわゆるトリロジー(三部作)を排出した1964の『奇跡のヴィンテージ』をはじめ、数々の名品を世に送り出しています。

また、ボトラーからも長熟でトロピカルフレーバーを代表するような、フルーティーなウイスキーが多くリリースされていますが、「代表的なものは?」と聞かれたらおそらく多くの人があげるのが、ダンカンテイラー社のボウモアでしょう。

1966、1968、1969などのヴィンテージの、長熟で度数が下がっているダンカンテイラー社のボウモアは、麦から作ったお酒がなぜここまでフルーツの味がするのか、と驚くのは請け合いの衝撃的なウイスキーです。

私もウイスキーに興味を持ち、ボトラーのウイスキーを飲み始めた頃にダンカンテイラーのボウモアに出会って、どっぷりとウイスキーの道にはまってしまいました。

このボトルはレアオールド表記、日本ではいわゆる『ピアレス・コレクション』と呼ばれる ボウモアで、ヴィンテージは1968年の10月、ボトリングは2006年2月の37年熟成で、カスクナンバー3822のオークカスクから145本ボトリングされたものです。

久しぶりに飲むので、じっくりとテイスティングしてみました。


【テイスティング】
無花果の皮、桃やライチの果汁、むせかえるような花の香り、香りの強い蜂蜜、ライトなピートスモーク。
パッションフルーツ、フェロモン、ホワイトペッパー様のスパイス、流木のような湿って朽ちかけた木材様のウッディネス、ピーチカスタードクリーム、儚い余韻。

典型的なトロピカルフルーツフレーバーが炸裂する、ダンカンテイラーの60年代長熟ポウモア。
香りからそれとわかるフルーツフレーバーで、複雑な香味ではあるものの、フルーツフレーバーが突き抜けていて、そこに特化しているウイスキー。

他にない味わいのウイスキーで、90年代に蒸溜されたボウモアにも近いニュアンスがあるものはありますが、他にはない個性を持った味わいです。

パワーや厚みはないものの、この系統のフルーティーなウイスキーの最高峰で、飲んだことがない人はぜひ飲んでほしいウイスキーです。
ウイスキー観が大きく変わると言っても言い過ぎではありません。

私はパワーや麦感や厚み評価しがちですが、久しぶりに飲むと、やっぱりうまい!と思える素晴らしいウイスキーでした。



【Verygood!/Excellent!!】