アイラ島北部にあるカリラ蒸溜所。
ゲール語で『アイラ海峡』という意味を持ち、1846年に創業されたディアジオ系列の蒸溜所です。
南部の蒸溜所のように、重厚なピート感や海藻のようなヨード感が強くない、ライトでスパイシーなアイラモルトだと言えます。
現在のオーナーは業界最大手のディアジオ社で、アイラモルトの中でも最大級の生産量を誇っています。
他のアイラの蒸溜所に比べると、レジェンダリーなボトルは多くないですが、どの年代でも品質が安定しているのが特徴です。
熟成が短くても仕上がりがよく、2000年代の蒸溜でも安定した品質を出していますが、最近ではエルギンに拠点を置く老舗ボトラー、ゴードン&マクファイルの2000年代前半蒸溜のカリラは特に品質の良さに定評があります。
その中でも2005年ヴィンテージは、ウイスキーフープ向けやカスクストレングスラベルのものがよい印象でしたが、信濃屋さんから4月に同ヴィンテージのものがリリースされました。
くしくも先にリリースされた二本と同じ2005年2月21日に蒸溜されており、ボトリングは2016年2月ですから、約11年熟成ということになります。
アルコール度数は56.8%、リフィルシェリーホグスヘッドの樽から272本ボトリングされています。
カスクナンバーは301493ですが、ウイスキーフープ向けは301502、カスクラベルは301524&301527のバッティングなので、シスターカスクと言っていいでしょう。
いいという評判を聞いていたのと価格的にも買いやすかったため購入しましたが、家で開栓してテイスティングしてみました。
ミルクチョコレート、ピートスモーク、ドライオレンジ、麦の厚み。
燃やした籾殻、ナフタレン、ココア、ライムの果汁、ホワイトペッパー。
バランスがよくネガティブさがないシェリーカスクスのアイラモルト。
ボトリングから2年が経過しているためか、アルコールのアタックは柔らかめ。
ミルクチョコレートや柑橘系のフルーツ感がある、マクファイルの2000年代前半の秀逸なシェリーカスクのカリラ。
ウイスキーフープ向けのカリラに似ているという触れ込み通りで、非常に好みのカリラでした。
カリラは以前は長熟でも価格の安い蒸溜所でしたが、アイラモルト高騰の例に漏れず、今や長熟は手が届く値段ではなくなっています。
個人的には長熟になるとアイラモルトらしい迫力が失われると思っているので、アイラモルトらしさが味わえ仕上がりもいいマクファイルのカリラは、家飲みに重宝しています。
2000年代頭の蒸溜でもピーティーなアイラモルトはかなり高騰してきていますが、価格も良心的で味も素晴らしい、さすがの信濃屋クオリティーでした。
【Verygood!】