東ハイランド、ブレチンの街にあるグレンカダム蒸溜所。
ブレチンの街にはかつてノースポートという蒸溜所がありましたが、現在は閉鎖されておりグレンカダムがブレチンにある唯一の蒸溜所となっています。
創業は1825年とされており、1950年代にはハイラムウォーカーの傘下に入ります。
そのため、同じくハイラムウォーカーの傘下にあったブレンデッドウイスキー、バランタインの原酒として使用されており、『バランタインの魔法の七柱』の一つに数えられます。
また、スチュワートクリーム・オブ・ザバーレイのメイン原酒としても使われており、そのクリーミーなテクスチャーはグレンカダムの代名詞となっています。
ハイラムウォーカーをアライドが買収し、アライドの解体にともない生産を休止していた時期もありましたが、2003年にはブレンダーのアンガスダンディー社が買収。
オフィシャルのラインナップも一新し、正規輸入こそありませんが並行輸入で10年、15年、21年などが日本にも入ってきています。
このボトルはそんなグレンカダムの日本向けオフィシャルシングルカスクで、会員制愛好家ボトラー、ザ・ウイスキー・フープが選んだもの。
ウイスキーフープは、世界的にも競争が激しくなっている良質なウイスキーを日本向けに確保し、安価で会員に供給する目的で2014年に立ち上げられました。
会員は趣旨に賛同したbarの方が多いのですが、個人会員もある一定の割合いらっしゃって、私もその内の一人です。
このボトルはウイスキーフープの2月の頒布ボトルで、1995年9月6日蒸溜の22年熟成、カスクナンバー3333のバーボンバレルから174本ボトリングされたもの。
アルコール度数は61.2%とかなりのハイプルーフです。
ウイスキーフープは既存の代理店やインポーターとの共存共栄を目指していますが、アンガスダンディーのインポーターはあいているため、チェアマンである坂本さんの会社、曽根物産が輸入業者になっています。
あまり脚光を浴びていなかった、良質な蒸溜所のシングルカスクを正式に引っぱってこれる輸入業者が増える事は、日本のウイスキー業界の発展に繋がる素晴らしい事だと思います。
私も一ファンとしてそういうウイスキーが飲めるのは嬉しいですし、世界的にも新しいラベルでのシングルカスクは初めてじゃないかという事ですので、初期から参加させていただいているメンバーとしても誇らしい気持ちになりました。
味的にも素晴らしいという前評判だったため、アウトターンが少ないこともあり、複数本注文して一本を開栓しました。
オレンジの皮、びわの果汁、ホワイトペッパーのようなスパイス、アルコールのヴォリュームと麦の厚み。
青リンゴ、バニラクリーム、蜂蜜、カラメルソースのほろ苦さ、ミルクティー、長く続く余韻。
良質なバーボンバレル熟成の典型のウイスキーで、バニラクリームやミルクティーのようなクリーミーなニュアンスがある。
スパイスとフルーティーさのバランスもよく、さすがのオフィシャルクオリティーで、スペシャルなハンドフィルのような印象をうける素晴らしいシングルカスク。
ウイスキーフープの選ぶウイスキーは骨太でハウススタイルが出ているものが多く、オフィシャル限定品の高騰、ボトラー受難の時代によくこれだけのクオリティーのものを出してこられるものだ、と思います。
また、価格的には15,000円強で流通しているグレンカダムのオフィシャル21年43%加水ボトルより、10,000円ほど高い価格でした。
さほどメジャーでない蒸溜所なので、本音を言えばもう少し安いと嬉しいですが、このクオリティーのハンドフィルがその値段なら複数買っていると思い、複数買いしました。
これでグレンカダムのシングルカスクが日本に入ってくる道筋ができたので、今後の展開も楽しみです。
素晴らしいクオリティーのグレンカダム、じっくりと楽しみたいと思います。
【Verygood!!】