さまざまなシングルモルトウイスキーと、グレーンウイスキーをブレンドすることによって産み出されるブレンデッドウイスキー。

今でこそシングルモルトは市民権を得ていますが、ブレンデッドの原酒用に生産されているといっても間違いではないでしょう。

当然販売量はシングルモルトをはるかにしのぎますし、世界一売れているスコッチウイスキーはブレンデッドであるジョニーウォーカーです。

そのジョニーウォーカーに次ぐ販売量をほこる銘柄がバランタインで、ヨーロッパのマーケットでは一位だと以前聞いたことがあります。

バランタインはマスターブレンダーが品質の管理を担っていますが、今までその職に就いた方はわずか5人しかいません。

現在のマスターブレンダーは五代目のサンディ・ヒスロップ氏ですが、第四代マスターブレンダーがロバート・ヒックス氏で、なんと4000種類もの香りをかぎ分けると言われているそうで、『The Nose』というニックネームがあるそうです。

そのロバート・ヒックス氏は2005年を最後にマスターブレンダーを退かれています。
またその年にアライド・ドメックの傘下であったラフロイグは、ジムビーム系列のフォーチュンブランズに買収され、バランタインの系列から離れています。

その2005年にロバートヒックス氏が手掛けたのがこの伝説のラフロイグ。

ヴィンテージは1974年、熟成年は31年、シェリーカスクで熟成された原酒で、アルコール度数は49.7%で910本ボトリングされています。
フランスのウイスキー商社、ラ・メゾン・ド・ウイスキー向けにボトリングされたとの事です。

ラフロイグは私のもっとも愛する蒸溜所の1つで、ぜひ飲んでみたかったのですが、異常なほど高額になっているため、未だ飲んだ事がないボトルでした。

しかし、ウイスキーを飲み初めて7年、ようやく巡り会えることができました。
開けていただいたホームのbarに感謝です。
しかし、わずか4日であっという間に空いてしまいました。

こんな衝撃的なウイスキーを忘れることは絶対にありませんが、飲めた感動を記録に残そうと思います。


【テイスティング】
オロロソシェリーに浸したドライマンゴー、ブーケガルニ、ミント。
大地を噛むようなピート、鞣したレザー、獣のフェロモンの香り。
ざらめ、クリーミーなニュアンス、熟したブラッドオレンジのジュース。
トロピカルフルーツとピートが一体になった余韻は長く、陶酔感があり官能的。

神の飲み物のようなウイスキーで、100万円でもほしい!という人がいる気持ちがよくわかります。
想像していた以上の味で、私が今まで飲んだラフロイグでは間違いなくベストです。

シェリーカスクとはいえ、910本ということは何樽かのバッティングなのでしょう。

ラフロイグは1stフィルのバーボンバレルでの熟成にこだわりを持つそうですが、記憶に残る名品はシェリーカスクのものがほとんどな気がします。

その年に後進に道を譲ることが決まっていたロバート・ヒックスさんは、どのような想いでこのウイスキーをつくりあげたのでしょうか。

まぎれもない最高傑作、極上のラフロイグで、またいつか巡り会えるのを楽しみにしています。


【Excellent!!!!!!!!!!】