アイラ島の北の玄関口である港、ポートアスケイグにあるカリラ蒸溜所。
カリラとは、ゲール語でアイラ海峡という意味をもち、ジュラ島とアイラ島を挟んだ海峡の事を指しているそうです。
1846年に創業され、アイラ島最大の生産量を誇る蒸溜所で、ディアジオ系列のため同社のブレンデッドウイスキーに原酒を供給しています。
一般的にはアイラモルトの中ではライトな飲み口と言われていますが、ラフロイグやアードベッグ、ラガヴーリンと比べたら確かにそうかもしれません。
ボトラーからのリリースも多く、30年を越えた熟成のものでも比較的安価に出回っている蒸溜所でしたが、さすがに最近のウイスキー価格の上昇に伴い高騰しています。
私が飲み始めた頃は1979や1981などの長期熟成のカリラが多くリリースされていましたが、メロンの果汁を思わせるフルーティーなものが多く、価格も安いウイスキーでした。
好きだったため多目に買ってストックもまだ充分にあるため、最近の興味は安くて迫力のあるものに移っています。
カリラは元々品質が安定している蒸溜所ですが、2000年代前半蒸溜の熟成の短いものでも、中には非常に秀逸なものがあります。
その代表格はボトラーのゴードン&マクファイルの出しているカリラで、特に印象的だったのはウイスキーフープ向けの2005年ヴィンテージ、リフィルシェリーホグスヘッドのカスクNo.301502。
非常にいいシェリーのカリラでコストパフォーマンスもよく、大量に買ったボトルでした。
そしてそのカリラと同一ヴィンテージでカスクナンバーがほど近いものが、ゴードン&マクファイルからリリースされました。
ヴィンテージは2005年2月21日、ボトリングは2016年7月20日の11年熟成。
カスクナンバー301521、301523、301524、301527という4樽の1stフィルシェリーバットのバッティングです。
ホームのbarで出してもらいましたが、何も情報がない状態で飲んで『うまいな、これ!』と思ったので、よくよくラベルを見るとウイスキーフープ向けと似たようなスペックだとわかりました。
気に入って多目に買い、家でも開けたため改めてテイスティングしてみました。
【テイスティング】
海水に浸したパイナップル、スモークしたミルクチョコレート、いぶした藁、青リンゴ様のフルーツ。
魚介出汁、ホワイトペッパーや山椒の実、バニラクリーム、赤福のこし餡。
余韻にはドライアプリコットのフルーツ、ナフタレン、ミルク金時のかき氷。
濃いシェリーのうまさはウイスキーフープ向けに譲りますが、バッティング故か多彩感は上回る非常においしいカリラ。
アイラモルトらしいヨードやスモーク、カリラらしいライトなフルーツ、シェリーカスクのチョコレートやこし餡が一体となり、ハイプルーフのアタック感もあって飲みごたえもあります。
しかも価格が税込でも10000円を切っているので、多目に買って家飲みカリラの定番にしたいと思い、多目に注文しました。
G&Mの底力を見せつけられた、素晴らしいヤングカリラでした。