スコットランドのインナーヘブリディーズ諸島にあるアラン島。

スコットランドの地形学的特徴を全て備えているため、スコットランドのミニチュアと言われることもあるそうです。

そのアラン島で唯一の蒸溜所がアイル・オブ・アランで、ロッホランザという町で1995年に創業した新しい蒸溜所です。
ちなみにロッホランザとは『ナナカマドの入り江』という意味だそうです。

独立資本のマイクロ蒸溜所、いわゆるクラフト蒸溜所の走りで、大手のようにブレンデッドの原酒としてではなく、シングルモルトとして飲む目的でウイスキーをつくっています。

創業者はシーバスブラザーズのマネージング・ディレクターだったハロルド・カリー氏で、オーソドックスなスタイルのウイスキーをつくっています。

その手のウイスキーはピートの強いものと違い、ある程度熟成が長いものにならないと良さがわかりづらい気がします。
そのためにはある程度時間がかかるため、熟成が短いものしか出ていないうちは、アランがあまり評判になることはありませんでした。

しかし、最近は18年を超える熟成のものなども出てきており、その品質が注目を集めています。
また、プライベートカスクとして樽売りをしているため、安価でシングルカスクがたくさん出ているのも注目を集めている理由でしょう。

このボトルはそんなアランのボトラーもので、スコッチモルトウイスキーソサエティ(以下ソサエティ)のボトル。

ソサエティは先入観なくウイスキーを味わってほしいという意図から、蒸溜所を表記しないのが特徴で、そのかわりに蒸溜所のコードが記載されています。

これは2011年にソサエティに入会した際のパックに入っていた100mlのミニボトルで、アランの蒸溜所コード121とソサエティが詰めた27番目のアランであることを表す121.27という番号が書かれています。

また、味の特徴を表す一言が記載されていますが、このボトルは『Chocolate praline nuts』と表記されている10年熟成、55.9%のウイスキー。

2011年位に瓶詰めされているため、逆算すると2000年位のヴィンテージの若いウイスキーということになります。

開けてしばらく放置していましたが、久しぶりに飲んでみたので、テイスティングノートを記載します。


【テイスティング】
フローラルな花の香り、チェリーや巨峰のようなフルーツ、麦の旨味、アメリカンコーヒー。
ブリニーなビターチョコレート、ローストしたアーモンドの渋皮、シリアル、蜂蜜ミント、花山椒のようなスパイス。

アルコールの刺激は多少あるがマイルドで、かつしっかりとした迫力と飲みごたえがある。
濃い目のシェリーカスクだがネガティブな要素が少なく、フレッシュフルーツとチョコレート感が綺麗に出ている。

今人気の短熟のきれいなシェリー系のボトルで、今これが出たらかなり話題になり人気が出ると思われます。

開栓後に飲んだときの記憶がほぼないですが、時間経過と共に角がとれて丸くなっているのかもしれません。

アランの創業年である1995のヴィンテージのシェリーカスクを筆頭に濃い口シェリーのアランはサルファがありがちですが、このボトルはそれがなく仕上がりがいい素晴らしいシェリーカスクのアランでした。


【Good/Verygood!】