スペイサイド、ダフタウン地区にあるグレンダラン蒸溜所。

創業は1898年と比較的新しいですが、20世紀初頭には王室にも献上され、エドワード七世が愛飲していたそうです。

日本の政界とも馴染みの深いブレンデッドウイスキー、オールドパーの主要な原酒として使われており、シングルモルトとしてのリリースはそれほど多くありません。

オーナーはディアジオで、同社が展開するシングルトンというウイスキーのアメリカ市場向けはこのグレンダランです。

ちなみにアジア向けのシングルトンはグレンオード、ヨーロッパ向けはダフタウンが出されています。

現在の蒸溜所は1972年に拡張された新しいグレンダランで、古い蒸溜所は1985年に閉鎖されたようです。

クラインリーシュもそうですが、新しい方と古い方では味がかなり違うことはよくあり、新しい方はライトになりがちのように思います。

このボトルは1965ヴィンテージのグレンダラン、つまり古い方の蒸溜所でつくられたものです。

ケイデンヘッドの樽を日本の業者がボトリングしたもので、水橋という会社が販売元のため『水橋のダラン』と呼ばれています。

ヴィンテージが1965年、熟成が23年でアルコール度数は52.5%でボトリングされたもの。

グレンカダムと同時期に開栓されましたが、これを飲むのは初めてのように思います。

同じヴィンテージのケイデンヘッドや、66ヴィンテージのダグラスレインが印象深いため、期待を込めて飲みました。


【テイスティング】
太い麦、はっさくのワタ、タール様のオールドピート、ジューシーな白葡萄、少しいぐさ。
バニラエッセンス、コクのある蜂蜜、ミネラリーな白ワイン、タールのようなスモーク。

タールのようなオールドピートに太い麦感、まさに60年代半ばのグレンダランらしい味。
度数もそれほど高くないためか、柔らかさもあわせ持った素晴らしいウイスキーでした。

現行のグレンダランにはあまり感じられないテクスチャーなので、古い蒸溜所でつくられたウイスキーに色濃く感じられる、失われたフレーバーなのでしょう。

他にはあまりない個性でこの年代のグレンダランは少ないため、消えていきそうで残念ですが巡り会えたら感謝して飲みたいと思います。

素晴らしいウイスキーで、出会えたことに感謝です。


【Verygood!/Excellent!!!】