インナーヘブリディー諸島、ジュラ島にあるアイル・オブ・ジュラ蒸溜所。

ジュラ島はアイラ島の対岸に位置し、ジュラとはバイキングの言葉で『鹿の島』を意味するそうで、島には5,000頭を越える野生のアカジカが生息するそうです。

1810年創業とされていますが、実際には今の蒸溜所がオープンしたのは1963年の事だそうです。

その後ホワイト&マッカイグループが1995年に蒸溜所を買収し、現在もホワイト&マッカイ傘下にある蒸溜所。

そのホワイト&マッカイは、2014年にオーナーがビジャイ・マリヤ率いるインドのUBグループから、世界No.1のブランデーメーカー、フィリピンのエンペラドールに変わっています。

また、アイラのウイスキーと差別化を図るため、ノンピーテッドの麦芽を使用していましたが、年に一月だけピーテッド麦芽による仕込みを行っているとの事。

日本では少し前はウィスク・イーさんが正規代理店でしたが、現在は正規代理店がない状態が続いています。

しかしながら、英国内ではグレンフィディック、グレンモーレンジに次いで三番目のブランドになっているとの事。
これを聞いたときは失礼ながらとても意外でした。
まさかグレンリベットやマッカランよりもジュラが売れていたなんて、ビックリでした。


このボトルはそんなジュラの貴重な1960年代ヴィンテージ。
ジュラの60年代や70年代の長熟は、トロピカルフルーツを思わせる島系モルト、という私の好きな系統のウイスキーです。

ウィスク・イーの前身であるアランジャパンが輸入した34年熟成、44.2%のアルコール度数でボトリングされています。
モルト界の酋長こと堀内さんの経営する松本のパブ、摩幌美さんがボトリングしたものだそうです。

記載はありませんが真っ黒な色で明らかにシェリーカスクによる熟成。
『ブラックジュラ』と呼びたくなるような味わいと色の素晴らしいジュラでした。


【テイスティング】
煮詰めたオロロソシェリーと梅肉、マホガニーの高級家具、ブリニーな潮風、ダークチェリーやフルボディの赤ワイン。
濃く赤いコーヒー、ブーケガルニ、漢方薬やクローブ、パッションフルーツのトロピカル、黒葡萄、心地よくスパイシーなシェリー樽の苦味。
余韻は短めだが消えたあとも残るフルーツ香。

60年代らしい重厚でノーブルなシェリー。
過熟とも捉えるられるような濃いシェリーですが、トロピカルなフルーツ感がくっきり出ているこの年代のジュラらしいボトルです。

リリースされた当時はエグい苦い、と言われたんではないかと思いますが、タンニンの渋味はありますが、16年の歳月が花開かせた印象。
今まで飲んだジュラのなかで一番インパクトがありました。

ブラインドで飲むと60年代の濃いシェリーのボウモアや、長熟のロングモーンと答えそう。
さらに開花するのか、液面が真ん中や底になったら試してみたいと思いました。

ブラックボウモアならぬブラックジュラと呼んでいいと思います。
素晴らしいウイスキーでした!



【Verygood!/Excellent!!】