スペイサイド、ダフタウン地区にあるモートラック蒸溜所。

ウイスキー産業の中心地であるダフタウン地区において現存する最古の蒸溜所で、ダフタウン地区初の公認蒸溜所でもあります。

創業は1823年ですので、あと7年で記念すべき200周年を迎えることになります。

同じダフタウン地区にある、グレンフィディックの創業者ウィリアム・グラントも、ここで働きウイスキーづくりを学んだそうです。

1923年にジョン・ウォーカー&サンズ社が所有者となり、現在もオーナーは業界最大手のディアジオ社。
当然ジョニー・ウォーカーのメイン原酒として使われています。

複雑な2.81回蒸溜とよばれる特殊な3回蒸溜を行う『ダフタウンの野獣』。
一番小さい再溜釜にはウィーウィッチ(小さな魔女)というあだ名がつけられ、モートラックの個性は魔女が生み出している、と信じられているそうです。


このボトルはそんなモートラックのボトラーもの。
ダグラスレインからブランドを引き継いで分社した、レインファミリーの長兄スチュワート・ハンター・レイン氏率いるハンター・レイン社によるボトリングです。

日本の会員制愛好家団体、ザ・ウイスキー・フープ(TWH)向けにボトリングされた、同社のフラッグシップシリーズ、Old&Rare。

ヴィンテージは1992、熟成は23年で樽はシェリーバット、58.0%のアルコール度数でボトリングされています。

スコットランドでテイスティングをして、素晴らしかったサンプルのボトリングを依頼したら、OMCではなくOld&Rareでオファーが来たとのこと。

ハンターレイン社はさすがの鑑別眼で、自社の良質のストックを安売りはしない、という姿勢は見事です。
いろんなシリーズを持ちますが、シリーズごとにきちんと品質が分けられています。

価格がかなり高いため、カスクまるごとのボトリングは厳しかったそうですが、諦めきれず交渉して、90本をボトリングしてもらったそうです。

ハンターレインのオフィスで行ったサンプリングではズバ抜けていて、満場一致でボトリングしたい、という程のウイスキーだった、と聞いていました。
飲むのを心待ちにしていたボトル、じっくりとテイスティングさせていただきました。
 

【テイスティング】
酸味のあるライトなコーヒー、ダークチェリーなどの赤いフルーツ、煎ったアーモンドの皮、フェインティなスピリッツのキレ。
温州みかんのような和の柑橘、ローズウッドのアンティーク家具、伽羅の香り、ボリュームのあるシリアル、クリーミーな生チョコレート。

余韻には心地よいウッディネスやスパイス、クリームシェリー、香ばしいトースト、ざらっとしたキャラメリゼした三温糖。
長く長く続く余韻。

クリアでキレのある素晴らしいシェリーカスク!
衝撃的なニューリリースです。

いい樽を出してもらうためには、受けないといけないオファーもあり、その中でベストを選んでボトリングしてきたウイスキーフープ。
そうして実績を積み上げると、こんなとんでもないものを出してもらえるのか!?という驚愕の内容です。

いくらOld&Rareとはいえ、1992年ヴィンテージ、23年熟成のスペックを考えたらかなり高い!と思いましたが、味を考えたら納得のボトルでした。

評判のいいオールドボトルや古酒でも、これを越えるクオリティのものがどれだけ存在しているか・・・。

しかもOld&Rareのプライベートボトルで日本向けは初めて見る気がします。

モートラックではないのか・・?
違うな、これはスーパー・モートラックだ。

レジェンダリーな名品の風格を纏った恐るべきニューリリース。
珠玉のモートラックでした。


【Verygood!/Excellent!!】