アイラモルトの王者、ラフロイグ蒸溜所。

1815年にジョンストン兄弟によって創設され、以来一族による経営を続けてきましたが、最後の創業一族のオーナー、イアン・ハンターの死後、ラフロイグの経営は『ラフロイグのファーストレディー』と呼ばれたベッシー・ウィリアムソンに託されます。

その後ラフロイグをより世界的なお酒にするために、ベッシーは蒸溜所を大手企業ロングジョンインターナショナルに売却。
その後はアライドドメック、ジムビーム系列とオーナーは移り変わり、現在はジムビームを買収した日本の企業、ビームサントリーがオーナーになっています。

ラフロイグの名声は今や世界的なものになっているので、ベッシーの判断は正しかったと言えるのではないでしょうか。


このラフロイグはグレンカトリン社というボトラーが出したスコシアロイヤルというシリーズ。

2013年ごろだったか、1978年ヴィンテージの34年熟成で、ダフタウン、ミルトンダフ、インチガワーの3種がリリースされました。

それと一緒に出たのがこのラフロイグで、1976ヴィンテージ、35年熟成という驚愕のスペックに、こんなのがまだあったのか!という衝撃を受けたリリースでした。

グレンカトリン社はロッホローモンド、リトルミル、グレンスコシアなどの蒸溜所をもつロッホローモンドグループで、『スコシアロイヤル』などのブレンデッドウイスキー、ウォッカやジンなどもボトリングしているようです。

リフィルシェリーカスク、アウトターンは211本で、35年熟成の長熟のためか、度数は43.4%とかなり下がっています。

しかしトロピカルフルーツ全開で、私が今まで飲んだラフロイグの中で、最もトロピカルなボトルはどれだったかと聞かれたら、間違いなく筆頭にあげるボトルです。

パッションフルーツ、マンゴーなどのトロピカルフルーツ、オールドピート。
ダンカンテイラーの1966ボウモアのようにとにかくフルーツ感満載の長熟アイラでした。

確か英国では£500で売っていたと記憶していますが、十分にその価値のあるすばらしいボトルでした。

ちなみに、ロッホローモンドグループは2014年にオーナーが変わっているようで、スコシアロイヤルのリリースは見なくなりました。

200周年でも最長熟は32年、逆算すると1983年頃のヴィンテージの原酒ということになります。
もしかすると70年代のラフロイグは、これが最後のリリースだった、と言われる事になるのかもしれません。

記憶に深く残る、スペシャルなボトルでした。


【Verygood!/Excellent!!!】