アイラモルトの王者、ラフロイグ蒸溜所。

ドナルドとアレックスのジョンストン兄弟が1810年に創業した蒸溜所で、現在はビームサントリーがオーナーとなっています。

『Love or  Hate』というぐらいで非常に好みが分かれるウイスキー。
しかし、慣れてくるとその強さやヨード臭の中に、フルーティーな旨みが出てきて、かけがえのない個性をもったウイスキーとなります。

ラフロイグを愛し、ロイヤルワラント(王室御用達の勅許状)を授けたチャールズ皇太子をはじめ、世界中にラフロイグラバーがいます。

このボトルは、私がそんなラフロイグラバーの一人だと思っているスキンダー・シン氏がボトリングしたラフロイグ。

スキンダー氏は、ロンドンに拠点を置くウイスキーエクスチェンジの代表をつとめる、ウイスキーシーンをリードする重鎮の一人といえる存在です。

そんなスキンダー氏がボトリングした『マスターピース』のラフロイグ。
『最高傑作』という名を持つシリーズですが、比較的最近のヴィンテージが多い気がします。

私の記憶では、確か1978のロングモーン、1993のボウモア、1996のカリラ、1996のクラインリーシュ、2002のブルックラディの5本が出ています。

中でも93のボウモアは、マスターピースの名に恥じないボトルでした。

マスターピースの新作がラフロイグだと聞いて、数々の素晴らしいラフロイグを詰めてきたスキンダー氏が、どんなものを詰めるのか、非常に楽しみにしていました。

ヴィンテージは1996の20年熟成、アルコール度数は50.9%で、甘口シェリーであるペドロヒメネスの樽で熟成されています。


【テイスティング】
うっすらとパッションフルーツ、溶けたビニール、焼いたグレープフルーツ、焦がした木のエキス、熟した黒い葡萄の果汁や酸味、黒糖を思わせる強い甘さ、新鮮な初物の秋刀魚のワタ。
アフターにウェルチのグレープジュース、長く続く土を燃やしたようなスモーク。

とにかく濃く甘いシェリー樽のラフロイグ。
チャーした木の焦げたような木感もあり、ここまでシェリーが濃くかつ甘いラフロイグはあまり記憶がありません。

BBRの97にも通じるような、トロピカルフルーツの要素はありますが、シェリーの強さに意識がいきます。

93のボウモアみたいなトロピカルな感じを期待&想像していたので、少し思っていたものと違う感じでしたが、素晴らしいラフロイグです。

開栓直後から滑らかで仕上がっている印象でしたが、時間経過により甘さが少し抑えられたように思います。

ただ、今まで詰めたラフロイグと比べて、マスターピースと呼ぶほどかなあ?という気がしました。
このシリーズはボウモア以外は共通してそう思ったので、それもコンセプトなのかもしれません(笑)

しかし充分に上質な、シェリーカスクのおいしいラフロイグだと思います。


【Verygood!】