1779年に創業したアイラ島最古の蒸溜所、ボウモア。

華やかで気まぐれな魅力があるためか、『アイラの女王』と呼ばれています。

1994年に日本のサントリーが、モリソン・ボウモア社の全株式を取得し、オーナーとなっています。
2014年サントリーがジムビームを買収し、ビームサントリーに変わったため、現在は同社の所有する蒸溜所。

フランスのパリに本拠をおくラ・メゾン・ド・ウイスキー(LMdW、メゾン)は1956年に創設され、今年で60周年を迎えます。
世界中のウイスキーやコニャックをはじめとした蒸溜酒など、実に150種類もの記念ボトルがリリースされました。

その中にはなんと日本酒も含まれており、山口県岩国の蔵元・旭酒造が、獺祭の記念ボトルを提供しています。

このボトルはそんなメゾンの記念ボトルのうちの一つで、イタリア資本のボトラー、ウィルソン&モーガンがボトリングしたボウモアです。

ウィルソン&モーガンは1992年にエジンバラで設立されましたが、イタリアの高級食材やワインを扱うロッシ&ロッシ社が、ヨーロッパの三つ星レストランなどに卸すボトルを詰める為に立ち上げたボトラーズブランドです。

日本では成城石井が代理店になっており、イタリア系ですが価格も非常に良心的で、独特の樽選びをする個人的には好きなボトラーの一つです。

記念ボトルらしく、ラベルは文字が黄金で背景が茶っぽいオレンジ色という初めて見る配色で、スペシャル感があります。

ヴィンテージが1998、18年熟成のボウモアで、シェリーバットから60.2%で472本ボトリングされたものです。

メゾン60周年には注目の古酒も多くラインナップされていますが、比較的手頃に買えるものとして注目していました。

これはメゾンのネットショップで購入したのですが、232ページにも及ぶ豪華なカタログがついてきました。
その中にはアルコール度数が55%、アウトターンは600本と記載があります。
おそらくラベルが正しいのではないかと思われますので、タイトルにはそちらを記載します。

90年代後半のヴィンテージ、シェリーバット、60%オーバーのハイプルーフで、楽しみにしていたので、さっそく開けてみました。

【テイスティング】
トップに少しサルファなニュアンス、オロロソというよりペドロヒメネスの様な甘味と紙感、ボトリング直後とあってシェリーはそれほど主張してこない。
海水に浸したドライオレンジのフルーツ感、爽やかなミント、たき火の後の灰のようなピートも少し強め。
ブリニーな汐っぽさと、オブラートっぽい紙感、淡くパッションフルーツのジャム。
余韻はドライに切れ上がり、オレンジ様のフルーツを伴いながら長く続く。
最後にはナフタリンや苦みを伴うピートスモーク。

ハイプルーフのシェリーカスクのウイスキーらしく、開栓直後は少し癖のある印象でした。
ただ、粘性が出てきてシェリーカスクの風味がもう少し支配的になるでしょうから、そうなるとジャムっぽいフルーツ感が強くなる気がします。

後は薄いシェリー樽に起因する紙っぽさを覆うくらいシェリーが出てくるといいな、と思います。

トップにあるサルファは経験上瓶内で5~6年経つといなくなるフレーバーですので、少し時間をおいてから開栓した方がいいかもしれません。

一晩でかなりの量を飲んでしまいましたので、気になってつい手が伸びるお酒と言えます。

大いにポテンシャルを感じるウイスキーですが、ドラフトでたとえると、将来性豊かなドラフト3位の大型内野手の高卒ルーキー、という感じでしょうか。

ウィルソン&モーガンらしい、面白いセレクトのボウモアでした。


【Good/Verygood!】