アイラ島とアイラ海峡を隔てたジュラ島にある、アイル・オブ・ジュラ。

ジュラとは『鹿の島』という意味で、島の人口が200人程度なのに対して、鹿は5000頭くらいいるとか。

それだけいれば、奈良公園や宮島くらい鹿をみかけそうなイメージですが、行った方に聞くとあまり見かけないそうです。
人がいない山奥にいるのでしょうか。

現在はホワイト&マッカイ系のグループに属し、オーナーはインドのユナイテッドスピリッツから、フィリピンのエンペラドール社に変わっています。

現在は日本での代理店を持たないため、並行輸入でYamaya系列の会社が日本にいれているようです。

ボトラーはスコットランド最古のインディペンデントボトラー、ウィリアム・ケイデンヘッド社。
黒いラベルのスモールバッチは複数の樽をバッティングしますが(プライベートカスクは除く)、ゴールドラベルはシングルカスクを表しています。

このボトルは1986ヴィンテージの30年熟成、度数は大幅に落ちて42.5%で、アウトターンはなんとたったの66本と、かなり尖ったスペックです。

興味はありましたがそんなに期待しないで飲んだら、もろに古いジュラの味でかなり気に入りました。

バニラクリームがけの柔らかいラズベリー、うっすらとピート、海水。
オロナミンCなどの栄養ドリンク、ゼンマイなど山菜系の植物、遠赤外線でトーストした杉の板。
度数が落ちてボンヤリした印象を引き締めるスパイス、優しい白い葡萄と少しオイリーな余韻。

古いジュラの8年に期待するものがあり、かつピートもあるため、マクファイルの加水の60年代のスキャパや、オールドのボウモアなど、淡いフルーティーな島系のモルトの感じがある、といったら言い過ぎでしょうか。

パフュームも皆無、粘土っぽさもないため、お酒としてのピークは過ぎていてパワーはないですが、ハートをつかまれてしまいました。

マーク・ワット氏が好きそうな味で、本数は少ないけど商売抜きで詰めた感じが微笑ましいです。

ボディがなくても気にならず、カスクストレングス度数落ちだからか、芯はある感じでした。
非常に好印象で、ジュラの長熟は貴重なため、1本買ってしまいました。

何年かして持ち寄り会に持っていくような使い方をしたいボトルです。


【Verygood!】