60年代蒸溜のアイラ、特にピーテッドのシングルモルトはもはや幻といっていい
ラガヴーリンに至っては60年代のヴィンテージ表記があるものを見たことすらない。
ラフロイグ、ボウモア、アードベッグは銘品といわれるものは比較的飲めてきたが、最近は出くわす事がめっきり減った。
仮に出会えたとしても飲める価格ではなくなっているだろう。

そんな中アードベッグの60年代蒸溜屈指といわれる銘品を飲む機会があった。
もはやこのボトルに出会い飲めるのも、これが最後かもしれない。
そう思い注文したが、やはり圧倒的なボトルだった。

アードベッグについては、個人的には70年代蒸溜のものの方が好きなボトルの数は多い。
そして、60年代と70年代はベクトルや個性が違うのも事実だと思う。
しかし優劣は当然ない。
そして共通するのは、今のものが長く熟成してもこの味わいは出ないだろうという点だ。
フロアモルティング、麦の収量、樹齢の高い古木を使った樽、樽を満たしていた酒のクオリティなどなど。
どれかが欠けてもこの味にはならない、至高の極みなのだろう

このアードベッグはシグナトリーがボトリングしたダークオロロソバットで、蒸溜は1967年3月22日、瓶詰は1997年3月22日の30年熟成。
カスクNo.1138のダークオロロソバットから、アルコール度数52.2%で580本ボトリングされている。

ちなみに同日蒸溜のシスターカスクとして、1997年12月15日瓶詰、30年熟成で49.8%の1140番。
1997年9月12日瓶詰、30年熟成で50.3%の1141番、
1997年4月2日瓶詰、30年熟成で51.7%の1142番というのもあるらしい。

味についてはハーフショットだけだったし、圧倒されてテイスティングをつけるような状況ではなかった。
そのため語ることができない。
しかし、この世にある酒の中で最上級のものの一つである事は間違いない。

こういうものに出会うため、出会ったときにその素晴らしさを少しでも感じる事ができる自分であるために、日夜酒を飲み感覚を磨いているのだと実感する。
出会えたことに感謝したい究極のアードベッグだ。


【Excellent!!!!!】