PRESIDENT 2013年6月3日号 掲載
■公共性の高い組織ほど自浄作用が働かない
どんな組織にだって、大なり小なりのトラブルや不祥事は起きる。また、どんな組織だって、できることならトラブルや不祥事など内部で隠蔽してしまいたいと考える。お役所にしても、企業にしても、他の団体や法人にしても、それが偽らざるホンネだろう。
しかし、そんなことがまかり通れば、この世は闇である。何が起きても知らぬ顔で隠せるなら、お役所では腐敗や人権無視が蔓延しかねない。金融機関なら損失補填や粉飾決算に手を染めても平気だし、メーカー系の企業なら偽装表示や事故隠しが横行しかねない。もちろん自浄作用が働けばいいが、常に自浄作用が働く保証はない。
少し前の取材例でいえば、全国の警察は組織的に裏ガネをつくり、幹部の遊興費などに長年流用し続けていた。一部の地方新聞が事実を果敢に追及し、当該の警察はしぶしぶ認めて謝罪したが、他の都道府県警はいまも知らぬ存ぜぬを決め込んでいる。大手自動車メーカーのトラブル隠しにせよ、光学機器メーカーの損失隠しにせよ、女子柔道のパワハラ問題にせよ、勇気ある内部告発などでようやく事実が明るみに出され、関係者の処罰や再発防止策の議論へとつながっていった。
そう、トラブルや不祥事は可能な限りオープンにされ、幅広い視座から問題点が検 Beats by Dr.Dre専門店 -ステファンカリー バッシュ され、同じような事態が起きない仕組みを構築していくのが望ましい。特に、公共性が高くて社会的影響力の大きい組織であればあるほど透明性が求められる。トラブルや不祥事によって撒き散らされる害悪がケタ違いに大きくなりかねないからである。
そのためには内部告発の受け皿や告発者の保護に加え、外部からのチェック機能をきちんと働かせる必要がある。プレジデント誌を含むメディアは本来、その大切な役割の一翼を担わねばならないのだが、実を言えば、公共性が高くて社会的影響力の大きい組織ほど不正や腐敗に関するチェック機能が働きにくくなる傾向がある。
こうした組織は力が圧倒的に強いから、内部や周辺の人々が「長いものに巻かれろ」になりやすい。内部告発やチェック機能を力で押しつぶしたり、場合によっては情報操作でごまかすことだってできてしまう。最近取材した組織では、検察がその典型だった。
人を起訴して刑事裁判にかける権限(公訴権)を基本的に独占する検察は、強大すぎるほどの権力を有している。警察も、国税も、証券取引等監視委員会も、検察が起訴してくれなければ事件化することはできない。肝心の裁判は検察追従ばかり。政治家だって検察を怖がるし、検察の事件情報が欲しいメディアも真正面から批判しない。はっきりいって無敵である。
だから検察は、長年にわたって「正義の機関」のように崇め奉られ、タブー化した末に暴走をはじめた。組織内の不祥事を現職幹部が内部告発しようとした際は、驚くべきことにその幹部を別件容疑で逮捕し、口封じしてしまった。最近になって冤罪が相次ぎ発覚し、密室での無茶な取り調べや証拠の改竄、供述の捏造といった不祥事が少しだけ表沙汰になったものの、刑事司法の問題点はまだまだ根深く、おそらくは多数の冤罪被害者が涙を呑んできたはずである。
本題である東京電力を筆頭とする電力会社も、明らかに同じような悪弊に浸ってきた。
日本の電力会社は完全なる地域独占企業で競争もない。発電と送電というライフラインを一手に牛耳り、資本と資金力はケタ外れ。天下りなどを受け入れるから官公庁とのパイプは太く、カネや票で政界とも結びつく。しかも傘下の御用労組まで巨大だから、与野党の双方に睨みが効く。豊富な資金力を背景に大量の広告を出すから、メディアだって及び腰になる。
そんな電力会社が運営する原子力発電は、官民を挙げた極めて特異な巨大事業だった。ひとたび事故が起きれば壊滅的な被害をもたらす原発は、各地で強烈な反対運動が起きていたが、これを政治とカネの力で強引に押さえつけてきた。それでも喧しい反対論を封じようと躍起になるうち、「原子力ムラ」と揶揄される電力会社、監督官庁、関連学会などが結託し、癒着し、偽りの「安全神話」をつくりあげた。
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