リンク NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/2007/10/31/d20071031000081.html
「・・・おととし5月、宮城県多賀城市の国道で、酒酔い運転の車が仙台育英学園高校の生徒の列に突っ込み、3人が死亡、15人が重軽傷を負ったものです。・・・判決で、仙台地方裁判所の近藤幸康裁判官は「同乗者はいっしょに酒を飲み、かなりの量の酒を飲んでいることをわかっていながら自宅に送ってもらうよう頼んだ」と指摘し、運転していた男だけでなく同乗者の男性の責任も認めて、2人にあわせておよそ1億600万円を支払うよう命じました。同乗者の男性は、飲酒運転のほう助の疑いで書類送検されたあと不起訴となっていましたが、仙台検察審査会はこれを不当として捜査のやり直しを求めています。」
今年6月に改正され9月に施行された道路交通法では、酒酔い運転や救護義務違反の罰則の強化、自動車運転致死傷罪の新設がなされ、同法による飲酒運転の周辺者の処罰も可能に。今回の判決は一連の厳罰化がもたらした1つの結果といえるかな。そもそも今年の道交法改正は、平成13年に刑法改正で新設された危険運転致死傷罪によってひき逃げした方が刑罰が軽くなる、いわゆる「逃げ得」が問題になったため。刑の不均衡ってやつです。今年の改正によってひき逃げした場合、改正前は7年6ヶ月以下の懲役だったものが15年以下となり、不均衡は埋まってきたようです。しかし時間経過後での危険運転の立証が難しいこと、危険運転致死傷罪の最高懲役は20年であることを考えると、これで完全に「逃げ得」ではなくなったとは言えないでしょう。
ここで思うのは、やたらと厳罰化すればいいというものでもないな、てこと。厳罰化によって確かに犯罪の抑止は期待できますが、「逃げ得」の問題は現実がそう単純でもないことを示してくれているようです。もちろん厳罰化が一概に間違っているということではない。前述の危険運転致死傷罪の新設は、悪質重大事故の刑罰があまりに軽すぎるという世論を受けてのものだったが、結果として法の抜け穴をつかれひき逃げを助長する形となってしまった。法律の制定には迅速性が求められる一方で、慎重にならなければいけない。当時の制定者の意図はどのようなものであったかは定かではないが。ちょっと焦りすぎたのかなっと考えさせられる。私は飲酒運転を取り締まる側、規制する側の認識の甘さが1番の問題だったような・・と思ってしまうが。その反面で、慎重かつ迅速でなければいけないというバランス感覚の難しさが想像以上にあるのかなっと考えさせられるわけです。