廊下をドスドス歩く。
扉をバン!と締める。
食器やカトラリーをシンクにバラバラ置く。
化粧品をガチャガチャ仕舞う。
くしゃみがデカい。
嫁の生活音が気になって仕方ない。
いつからだろう?
生活音が気になり出したのは。
結婚当初はそんな音、きにならなかったのに。
いつの間にか、そういう音を発するように
なったのか、それとも元々、音を立てて
生活する人だったのか。
うちはマンションの一階で
2階の生活音、特に夜中に引き戸を
ゴロゴロと開ける音が気になって仕方ないのだが
(しかも二階の住人は深夜に頻繁に
引き戸を開け閉めする謎の生活をしている)
嫁の生活音もまた、僕を悩ませる要因だ。
もしも上階に住んでいたら
ドスドス踵から歩くのはマナー違反だし
食器や扉を乱暴に扱うのは
破損にもつながるのでやめて欲しいのだが
そういう不満や文句を嫁に伝えるのは
我が家ではタブーとなっている。
以前、結婚前に嫁の生活様式について
いくつか文句を言ったことがある。
靴の脱ぎ方ひとつから
気持ちが落ち込んでる時の励まし方まで
良かれと思って伝えたことは
すべて嫁には「余計なお世話」らしく
「今後、一切、言ってくれるな」と言われて
僕は以来、何も言わなくなった。
部屋にうっすら埃が溜まっていても
シンクに洗い物が溜まっていても
濡れた洗濯物が放置してあっても
食材が消費期限を迎えそうでも
黙っているし、我慢できなければ
僕自身が、適当に処理している。
生活音が大きい人は
育ちがよろしくないというイメージもあり
次第に嫁のことを直視できなくなってもいる。
また嫁が
ドアをバタンと閉めて出かけたいった。
離婚まで、あと2050日。