病院で検査結果を待つ間も

嫁は何も言わずにベッドに横になっている。


隣のベッドでは腰痛で起き上がれない

と救急搬送されてきたおばあちゃんが

腰痛だけでは入院させられないという医師と

歩けないから入院させろと揉めている。


嫁の血圧は67の136とやけに開きがあるが

心拍数132、顔色は元々白いから

よくわからないが、本当に体調悪いときは

青白くなるので、そこまでじゃないだろう。


三者面談の時間には帰れるだろうか

家で心配しているであろう娘に

「いま検査中。とりま面談の時間には帰るわー」

と、LINEを送ると、すぐに「わかった」と

返信がきた。


救急治療室には、次々と患者が運ばれてくる。

意識はなく呻いているだけのおばあちゃん

怒鳴り散らしてるだけのおじいちゃん

部活中に頭を打ったという高校生。


心拍数が上がった理由がわからない嫁。

話をしたくても、会話を拒絶するし

状況を説明しようとしないのはなんなのだ?


僕は以前、バイクでコケて救急車に乗ったとき

意識はしっかりあったし

今の自分の状況をしっかり伝えて

どのように治療してもらうかを

確認したかったので、口はよく動いていたと

記憶している。どこを打った、どこが痛い

骨は折れてなさそうで、外傷は擦過傷と

頭ぐらいで、首と背中は大丈夫。

ヘルメットはハーフだったが顔は打ってない。

そういえば、その日も保護者会があって

嫁の電話が繋がらなかったことを覚えている。


そうこうしてるうちに

面談の時間が近づいてきた。

仕方なく中学校に連絡すると

担任は席を外している。

嫁が救急搬送されたので

時間通りに行けないことを告げ

娘にも、ちょっと遅れることを連絡。

40分ぐらいで血液検査の結果が出る

と言っていたけど、もう90分ぐらい待っている。


すいません、ちょっといったん出て

1時間ぐらいで戻ってきたいんですけど

と看護師に伝えると、あと10分ぐらいで

検査結果が出るから待ってほしいという。


人の命に関わる現場が

何よりも優先されることは

理解できるが、嫁の状況が一二を争う

ものではないことは、素人目に明らかで

それより娘の三者面談の方が気になる。

日時を変更しようにも

僕も嫁も今週は明日から

スケジュールがぱんぱんで

娘も明日から夏期講習なのだ。


続きます。


離婚まで、あと、2075日。