新しい問題の解決に当たり、
あなたは、"既存の知識"を
うまく活用しているだろうか?

すぐに、新しい知識に飛びついてはいないだろうか?
いい本が出たといえば、すぐに買い、
いい教材が出たと言っては、すぐに買っていた自分がいます。

しかし、そんなことは、しなくても、
既存の知識をフル活用することで、
あなたは問題を解決することができます。

そこで役に立つ質問があります。
それは、「習ったことが使えないだろうか?」
という質問です。

この質問をすることで、
あなたの脳は活性化し、
フルに問題を解決しようと
働き始めます。
子どもの場合も同じです。


6年生の算数の問題で考えて見ましょう。

あなたにも、少しお付き合い願いますね。

(問題) 底辺が12cmで面積が72㎠の平行四辺形と、
底辺の長さが15cmで面積が60㎠の三角形があります。
高さを□cmとして面積を式にし、それぞれの高さを求めましょう。

T:「問題を読み、分かっていることを書き出して見ましょう。」

各自が、思い思いにノートに書き始めました。


T:「では、近くの人と、話し合いを始めてください。」


C1:「2つの図形があるね。
一つは、平行四辺形、
もう一つは、三角形だね。」

C2:「平行四辺形の底辺は、12cm。
面積は、72㎠。」

C3:「平行四辺形の高さがわかんないよ。」
C4:「高さは、□cmとするといいよ。」
C5:「だって、わからない数は、
□にするといいって学習したよ。」

C6:「そうだったね。」
C7:「だから、問題にも、
□にしてと書いてあるんだね。」

C8:「平行四辺形は、なんかできそう
だね。」
C9:「しかし、式はどうなるの?」
C10:「あーそうか、式ができて
いないね。」

C11:「5年生のときに習った、
あれが使えないかな。」
C12:「あれって何、あれだよ、あれ?」


さて、ここで、あなたに質問です。
あれとは、何でしょうか?

thinking time



答えは、平行四辺形の面積の公式です。

C13:「平行四辺形の面積の公式は、
底辺 × 高さ = 平行四辺形の面積。
これを使うんだね。」
C14:「そうか、思い出したよ。
以前習ったことを使えば、
問題が解けそうだね。」

C15:「そういえば、先生がよく言っていたね。
習ったことが使えないかなって」
C16:「いつも、言っているね。
      習ったことを使ってできないかな?」

C17:「では、式はどうなるの?」
C18:「12 × □ =72 」

C19:「これって、どう解くの?」
C20:「□ = 72 ÷ 12、72を12で割ればいいんだよ。」
C21:「そうか、12をかけて、72になるから、72を12で割ればいいんだよ。」
C22:「なるほど、さすが、分かりやすい説明、ありがとう。」

C23:「では、次は、三角形の高さを求めるんだね。」
C24:「公式は、5年生のときに習ったよね。」
C25:「確か、底辺 × 高さ ÷ 2 = 三角形の面積、だったね。」

C26:「公式に当てはめてみるね。
15 × □ ÷ 2 = 60」
C27:「× と ÷ が二つもあってよくわかんないよ。」

C28:「そうだね。でも、図を使うと、
うまくいきそうだよ。
三角形を2つ合わせた平行四辺形を、
イメージするといいね。」

C29:「平行四辺形の面積は、15 × □。
これって、三角形の面積の2つ分
だよね。三角形の面積が60㎠。
だから、15 × □= 60× 2。」
C30:「そうか、図を使うとよくわかるね。」

今回の問題を解くに当たり、
既習事項を活用していたことに、
お気づきになりましたか。

さて、どれだけの既習事項を活用していたでしょうか?

thinking time


⑴ 三角形の面積の公式

⑵ 平行四辺形の面積の公式

⑶ 図に表す

⑷ 三角形を2つ合わせると平行四辺形になる

⑸ わからない数は、□で表す


全部で、5つの既習事項、つまり、
習ったことを使って、問題を解いているのです。

別に、新たな知識を手に入れなくても、
今までの知識を活用すれば、
問題を解くことができるのです。


では、また、次回の算数の時間をお楽しみにしてください。