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創作怪談 zero

三度の飯と怪談が好き。
ここでは怪談の創作にチャレンジします。
拙い文章ですが気に入って頂けたら嬉しいです。
そして語り継いで頂けたら幸いです。



これはもう十年ほど前の事。

友達の元カレが体験したという話しを

別れた後に友達が電話で聞かせてくれた話です。

元カレには「変なもの」を怖がる癖があったと言います。

それは「隙間と紐と素足」。

本当に「変なもの」だが、これは元カレがある恐怖体験をしたのが理由だという。

 

元カレが大学2年の時の事

サークルで飲み会があり、夜遅くに自宅コーポの最寄り駅から歩いて帰宅している時だった。

住宅街は寝静まり家々の電気は消え、街灯もまばらな道は暗く静まり返っていた。

酔っぱらい、いい気分で歩いていると彼はふと足元に白い紐が落ちているのに気が付いた。

「なにこれ?」と普段なら気にしないものを、酔ってた彼は手に取り紐の先を見ると

それは住宅と住宅の隙間の路地の奥まで続いていて、紐はその路地の暗がりに続いている。

彼は何気なくその紐を手繰り寄せながら人ひとりがやっと通れる暗い路地に入っていったそうだ。暗い路地に白い紐がぼんやり浮かび上がって見える。

彼は少し進んで紐の先を目で追った。

するとそこには土で汚れた真っ白な裸足の足が。

「人が居る?!」と驚いてパっと視線を上げると

そこにはガリガリに瘦せこけ、バサバサの髪を振り乱した血色の無い真っ白な女が薄汚れた白いワンピースを着て立っていた。

彼が手繰り寄せていたその白い紐の先を手に持って。

そして目が合ったその途端、女は飛び出んばかりに目を開きニッと口角を上げて笑ったそうだ。

「うわぁぁぁっ!!!」

と彼は叫んで手に持っていた紐を投げ捨て、後ろに尻餅をついたその時

隣の民家の二階の窓がガラッと開き、誰かが覗いてピシゃっと窓を閉めたのを見た。

そして彼は恐る恐る、その女が立っていた場所に目をやるとそこにはもう女の姿は無かったそうです。

これが友達の元カレが「隙間と紐と素足」が怖くなった理由だそうです。

そして友達が彼と別れたのはどんな時でも靴下を脱がない事を強要された事が理由だそうです。