• 政府が介入したら、ストは無くなるのかぁ?-【朝鮮日報コラム】絶滅する「メード・イン・コリア」の自動車

 韓国の新聞=韓国紙ってのは、日本のアカ新聞に輪をかけて酷いようなのだが、そのヒドさが最も端的に表れるのが「寄稿記事」と「コラム」のように思われる。

 この内、「寄稿記事が酷い」のは、「直接的には韓国紙の責任では無い」と言い得るだろう。寄稿記事の文責は寄稿者にあり、寄稿者は(寄稿するぐらいだから)掲載された韓国紙の記者では無い。韓国紙の方針とは異なる寄稿であることも(一応)あり得る(*1)。まあ、当該韓国紙の方針に反しようが、寄稿としての記事を掲載した責任は、韓国紙にある、筈だが。

 一方「コラムが酷い」のは、全面的に掲載した韓国紙の責任だ。コラムを書いた記者も、推敲した(筈の)デスクなり編集長なりも、掲載韓国紙の記者なのだから。コラムに対する韓国紙の責任は、社説に対する程には重くは無かろうが、責任を有すること。他に責任を持って行きようが無いこと。何れも間違いようが無い。

 であるならば、下掲朝鮮日報コラムの文責は、朝鮮日報にある、訳だが・・・これが売り物として売られているとは、ねぇ。私(ZERO)はネット記事をタダで読むだけだから、まあ良いが、金出して朝鮮日報を購読している購読者は、どう思っているんだろうねぇ。

 

  • <注記>
  • (*1) 逆に、韓国紙の方針を代弁し、さらに強硬に主張する、って事もあるだろう。 




 

  • 【朝鮮日報コラム】絶滅する「メード・イン・コリア」の自動車

【コラム】絶滅する「メード・イン・コリア」の自動車

 

   http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/12/11/2021121180006.html

 

 米ゼネラルモーターズ(GM)が韓国工場を枯死させる作戦に突入したようだ。GMの社内ナンバー2であるスティーブ・キーファー社長が今月初めに訪韓し、韓国工場でも電気自動車(EV)を生産するのかと思ったところ、とんでもない期待外れだった。EVどころか生産台数の拡充すら約束せず、むしろ韓国で発売する新車を全て輸入販売に切り替える計画を明らかにした。

 

 韓国の富平、昌原にある韓国GMの工場は年60万台以上を生産する能力を持っているが、GMは工場に仕事を回さない形で半分以上の設備をさびつかせている。GMは2018年、韓国産業銀行から8000億ウォン(約775億円)の支援を受ける条件として、10年間工場の維持することを約束したが、この状況ならば、GMは約束の28年を迎えた段階で未練なく工場を撤退させるとみられる。

 

 釜山地域の経済を支えてきたルノーサムスンの立場も同様だ。ルノーグループは昨年9月にようやく欧州向けの「XM3」の生産を釜山工場に任せたが、生産台数はピーク時の半分にも満たない。そして、釜山工場をルノーグループの全世界の工場でも最も収益性が低いと名指しし、撤退可能性を暗示している。

 

 GMとルノーは外国企業だが、昌原、富平、釜山に組立工場を設け、それぞれの地域を支えてきた。工場に直接雇用された従業員と部品下請け会社の雇用だけで数十万人に上り、それを基盤として生計を立てる地域の零細事業者ははるかに多い。毎年数十万台の「メード・イン・コリア」の車が輸出され、韓国経済にかなりの利益をもたらしてきた。

 

 10年後にもこれら工場が地域を支えていられるだろうか。不幸にもそうではない可能性が高そうだ。GMとルノー本社の韓国工場に対する発言を見れば、あす工場の稼働を中断すると言ってもおかしくない。13年連続赤字の双竜自動車は再建が不透明で、韓国国内に米国のテスラ、リビアンのようなスタートアップが登場する兆しもない。最悪の場合、数年後には「メード・イン・コリア」の完成車を販売するメーカーは現代自動車グループだけになるかもしれない。

 

 全世界の道路を走る韓国車が減れば、真っ先に地域経済が崩壊する。工場が止まってしまえば、あらゆる努力をしてみたところで、過去の栄光を取り戻すのは容易ではない。我々はそれを過去に地域の基盤産業が没落した地域で目にしてきた。

 

 これまで外国企業が賃金の安い中国ではなく、韓国に工場を設置した理由は高い品質だった。「メード・イン・コリア」であれば信頼して購入するという世界の消費者が多かったため、生産コストの高さを覚悟し、韓国に工場を設けた。ところが、ストライキを定期的に繰り返す強硬な労組が高品質という韓国の競争力を覆い隠す事態となった。これまでGMとルノー本社は韓国工場に対し、収益性と生産性を高められるという事実を示すように求めてきた。しかし、韓国工場は毎回それを証明することに失敗した。

 

 まだ対策を講じる時間が残っている状況で、今度は韓国政府が積極的に取り組む番だ。韓国にも労組によるストライキがない工場を設けることができると全世界の企業にアピールしなければならない。ストライキを行わない労働者が高品質の自動車を生産するスマート工場のモデル団地をつくるとか、一定の従業員を雇用すれば、雇用形態を柔軟化する実験も検討に値する。

 

ヨン・ソンオク記者

 

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版


 

  • タイトル通りに「韓国政治同社絶滅の危機」を訴えるが、その対策は最終パラグラフにしか出て来ない。

 しかも、やっと出て来た「対策」が・・・政府が介入しろ」ってだけ。韓国政府だって「打ち出の小槌」や「魔法のランプ」を持っている訳じゃぁ無いだろうに。どうもチョウセンジンは国がナントカしろ/国なら(当然)ナントカできるって傾向が強いようだ。以前弊ブログ取り上げた寄稿記事では、「韓国の学校給食が高くて不味い」理由を縷々挙げた挙げ句に公費で賄えば、安くて美味くて健康的な学校給食になる。」と、ヌケヌケと抜かしていた(*1)のが、想起される。

 韓国政府が一体どんな法律に基づいてどう介入したら、「韓国にも労組によるストライキが無い工場を設けることが出来る」と「世界にアピール」出来るのか、上掲コラムを一読したぐらいではサッパリ判らなかった。何しろ、「滅亡しそうな韓国製自動車に対する対策」に触れているのは章題にした通り最後のパラグラフの以下の部分だけ、なのである。


1> ストライキを行わない労働者が高品質の自動車を生産するスマート工場のモデル団地をつくるとか。
2> 一定の従業員を雇用すれば、雇用形態を柔軟化する実験も検討に値する。


と、一応「2案」を挙げている、らしいのだが・・・まず「ストライキを行わない労働者が高品質の自動車を生産するスマート工場」なるモノが、既存の韓国自動車工場と何がどう違うのかサッパリ判らない。
 「ストライキを行わない労働者」からして大問題で、「スマート工場(*2)」なる「器」を幾ら立派にしても、今まで再三ストやって甘い汁吸ってきた韓国自動車工が、その「器」だけで「ストライキを行わない労働者」に変身するなんて想像すら出来ない。

 「新たな韓国車製造会社(ひょっとすると、国営?)を立ち上げ、労働者も入れ替える」って事なのか?或いはそこまで行かずとも「(既存の韓国車製造会社に)新たな労組を立ち上げる」必要がありそうだ。もう片方の案「雇用形態を柔軟化」ってのが「会社都合でクビにできる/しやすい労働者」を意味するならば、この新会社なり新労組の元で「ストした労働者はクビに出来る“実験”」で「ストライキを行わない労働者」を養成/育成/実現しろ、と言うことかも知れない・・・と言うより、少なくとも既存韓国車製造会社&既存労組では「ストライキを行わない労働者」なんて、数年なんて短期間では実現しないだろう。

 でまあ、新会社なり新労組なりの新体制で「スマート工場」なるモノを「モデル団地」にしたとして、だ。(此処までならば、政府が既存会社/既存労組との全面対立(*3)を覚悟すれば、可能だろう。)「ストライキを行わない労働者が高品質の自動車を生産する」実績というのは、その「スマート工場で実際に自動車を生産し、生産し続けないと、実証できない」のである。上掲コラムで縷々述べている通り「韓国製自動車を絶滅させないために、海外の自動車メーカーにアピールして海外設計自動車の韓国製造を勝ち取る」ために、である。


 って事は、少なくともこの「スマート工場」立ち上げ当初の製造車は、「韓国国内設計車」しかあり得ない。「既存会社に立ち上げた新労組」ならば、その既存会社の既存車種を製造すれば良いが、「新会社」では新たな(現在は全く無名の)新車を設計開発するか、既存韓国車製造会社の既存車種を「自社外生産」するしか無い・・・後者も「韓国政府が強権を発動すれば可能」ではあろうが、既存会社との対立は一層深まるだろうし、大体「当面海外では売れない(だからこそ、絶滅の危機にある)韓国車を韓国国内で売り捌き合う競争」に、必然的になる。韓国の公用車に全面的に「スマート工場製韓国車」を導入するのも、韓国市場から「韓国外製造車」を締め出す(ないし制限する)のも、「韓国政府が強権を発動すれば可能」ではあろうが、後者は国際問題にも、海外自動車メーカーとの関係悪化にも繋がろう。「海外の自動車メーカーにアピールして海外設計自動車の韓国製造を勝ち取る」ためには、少なくともマイナス要因だ。

 かてて加えて・・・新会社なり新労組なりの「スマート工場」で「スト無しの自動車製造」が軌道に乗った、として、そこで「高品質な韓国車」が製造されるかは、大いに疑問である。私(ZERO)自身が「韓国自動車会社やその労組では無く、その労働者自身、ひいては、韓国人のモノツクリ能力」に多大な疑問を抱いているのもあるが、既存会社や既存労組に依存できない「スマート工場の労働者」は、必然的に「熟練工が少なくなる」はずである。そうでなくても新工場や新体制に初期トラブルはつきものだ。


 さらには、その「スマート工場の実績」を「世界にアピール」するには、「スト無しに高品質な韓国車製造」実績を1年や2年積み重ねたぐらいでは、出来そうに無い。今まで再三ストをやっている韓国労働者ってイメージ(*4)の払拭をせねばならないんだから、先ず5年はかかるのではないか。「海外設計自動車の生産を始めた途端、ストを始めた」なんてことになったら目も当てられないから、GMやルノーに限らず海外自動車メーカーは「韓国内生産」を相当慎重に検討するだろう(検討するとして、だが。)

 これは、「スト無しに高品質な韓国車製造実績」で「5年」である。それに先立って新工場(先ず確実に新労組。ひょっとすると新会社。)設立、工場稼働開始、初期トラブル解決があり、製造期間中は製造数分だけの出荷も(基本的に)必要で、それだけ「売れないといけない」(*5)

 非常にザックリした概算ではあるが、短く見積もって8年。十年計画でも「実現は怪しい」と言うべきだろう。長くかかる程、製造期間も長くなって「外国ブランドではない韓国車を長い期間売り続けねばならなくなる」から、「時間をかければ解決する」問題ではない。普通に考えると「詰んでいる」だろう(*6)。

3>  未だ対策を講じる時間が残っている状況で、
4> 今度は韓国政府が積極的に取り組む番だ。


と、上掲朝鮮日報コラムの最終パラグラフは始まり、前述の「対策2案」を挙げている訳だが、随分悠長なことを言っていないか?

5> 米ゼネラルモーターズ(GM)が韓国工場を枯死させる作戦に突入したようだ。

と上掲コラム冒頭で述べ、ルノーの方は「明日工場の稼働を中断すると言ってもおかしくない」と記述するのに、だ。GM撤退が2028年期限だそうだから「未だ6年ある」ってのかも知れないが、「GM撤退すら、もう6年しかない」のに、だ。

 言い替えるならば、上掲朝鮮日報コラムを書いたヨン・ソンオク記者の「危機意識」と「時間間隔」。それに「ビジネス常識」には、相当深刻な疑念を抱かざるを得ず・・・殆ど「気違い」レベルとさえ言えよう。

 朝鮮日報は、韓国では有数の全国紙。そのコラムとコラム記者が、このレベルである。「韓国は、国を挙げての強請タカリで気違いだ。」って私(ZERO)の「韓国観」は、益々補強されるばかりだな。

 ああ、上掲朝鮮日報コラムには、「強請タカリ」要素は殆ど入っていないな。その点は、認めなければなるまい。
 

  • <注記>
  • (*1) 寄稿者は、学校給食業者だったと思う。つまり「学校給食が高くて不味い」責任を相応に負うはずのその人が、「国費/公費で学校給食を賄え。そうすれば全て解決。」と主張した、ある種の宣伝である。そりゃ、寄稿記事だから、「宣伝でも許される」のかも知れないが、今思い出しても酷い記事だったな。 
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  • (*2) ってのは何かね。「仕事中もネット接続できる工場内Wifiを廃止した工場」のことかね? 
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  • (*3) 韓国政府がそんな「全面対立を覚悟」出来るとは、全然思わないんだが。 
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  • (*4) 既存会社の既存労組では「イメージ」ではなく実態/実像。 
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  • (*5) 尚且つ、その工場稼働率=生産可能台数に対する生産実績の比率も、相応に高くないと「実績にならない」。
  •  あ、韓国の場合はそれら重要な統計指標の信頼性=捏造がないことも、問題になりそうだな。 
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  • (*6) そもそも論で言うならば、「韓国製自動車を絶滅させないために、外国設計自動車の韓国生産を勝ち取ろう。」って時点で「敗色濃厚」なのであるが。「韓国設計自動車では、海外に売れない。」ってのが、前提になっている。