• 議会は「住民の代表」ではないのかね?-【沖縄タイムス社説】[北大東 自衛隊誘致]住民への説明を尽くせ &【琉球新報社説】北大東島自衛隊誘致 緊張をさらに高めるな


> (沖縄の)北大東村議会が
> 自衛隊誘致の意見書を、
> 議長を除く4人の全会一致で議決した。


そうである。そりゃ自衛隊差別&軍事忌避の沖縄二紙としては「不都合極まりない」だろう。早速下掲の通り社説で取り上げている。

 端的に言って、「発狂している」って、ところだな。

【沖縄タイムス社説】[北大東 自衛隊誘致]住民への説明を尽くせ

  • 【沖縄タイムス社説】[北大東 自衛隊誘致]住民への説明を尽くせ

  https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/877720

 

2021年12月11日 08:15

 

 島の将来を大きく変える可能性のある意見書案が北大東村議会で全会一致により可決された。

 

 北大東村が「国家の安全保障・防衛基盤充実の地理的観点から自衛隊配置の適地」だとして、自衛隊の誘致を求める内容の意見書である。

 

 特定の国名は挙げていないものの意見書は中国を念頭に置いていることがうかがえる。活発化する軍事活動を「迫りくる恐怖として島民一同感じている」と指摘している。

 

 一方、部隊配備で台風などの災害対応や急患搬送の態勢も強化できる、と軍事以外の役割にも期待する内容だ。

 

 次期中期防衛力整備計画に盛り込むよう求めている。

 

 宮城光正村長は「自衛隊の常駐を求める声は村内に以前からあった」と説明したが、今回の意見書は唐突感が強い。採決時には討論もなかった。手続きだけが先行している印象を受ける。

 

 住民からは「安心につながる」と期待する声が上がる半面、「外国から警戒されないか不安」との受け止めもある。そもそも賛否を判断する材料が示されていない。

 

 村議会は可決を受け沖縄防衛局などへの要請行動を検討するという。

 

 その前に、なぜ自衛隊を今誘致するのか、どのようなメリットがあり、どのようなデメリットが想定されるのか。誘致すれば急患搬送態勢の強化に確実につながるのか。住民に丁寧に説明するのが先だ。

 

■    ■

 

 村議会が意見書を可決した背景には、将来的な人口減や先細る村財政への懸念があると推測される。

 

 確かに部隊が配備されれば人口が増え一定の経済効果が見込まれる点は否定しない。だが、自治体の規模が小さいほど地域への影響は強まる。

 

 与那国町は島を二分した末に陸上自衛隊の駐屯地が置かれて5年になる。

 

 旧伊良部町議会が2005年に経済活性化を目的に自衛隊誘致決議案を可決したときは、住民が猛反発し決議案は白紙撤回された。

 

 どちらも地域に亀裂が生まれた。重要なのは住民を分断するような強引な手続きは活性化につながらないと認識することだ。

 

 北大東村の沖大東島には米軍の射爆撃場がある。自衛隊が共同使用でき、先月の統合演習でも使われた。日米の軍事一体化が進む中で北大東村に自衛隊施設ができた場合、米軍が利用することも念頭に置くべきだ。

 

■    ■

 

 北大東村は軍事戦略上の海上ライン「第1列島線」と「第2列島線」の間にある。

 

 第1列島線は南西諸島に位置する。私たちが最も懸念するのは米中対立の激化により双方がミサイル網の配備計画を進めていることだ。憂慮される事態である。

 

 沖縄は激しい対立の最前線にあり、偶発的な軍事衝突が起こらないとも限らない。

 

 周囲を挑発するような中国のやり方には懸念材料があまりに多い。日本政府は言うべきことは言いつつ中国に軌道修正を迫り「緩衝材」としての役割を果たしてもらいたい。


【琉球新報社説】北大東島自衛隊誘致 緊張をさらに高めるな

  • 【琉球新報社説】北大東島自衛隊誘致 緊張をさらに高めるな

2021/12/11 05:00 (JST)

c 株式会社琉球新報社

 

 北大東村議会が自衛隊誘致の意見書を、議長を除く4人の全会一致で可決した。開かれた場での説明も議論も全くない中での提案と可決は異様だ。議場では質疑も賛成・反対討論もなかった。与那国島、宮古島、石垣島に次いでさらに自衛隊配備が拡大すれば、沖縄全域が軍事要塞(ようさい)化する。地域の緊張をさらに高めることになってはならない。慎重な対応を求めたい。 意見書は北大東島が安全保障の地理的観点から適地であるとした上で、誘致により災害対応や急患輸送の体制を強化できるとしている。提案者の宮城哲也村議は議会終了後「島には自衛隊は必要だ。島民が安心安全に生活できる島にしたい」と述べた。

 

 唐突だった今回の議会提案は、「南西シフト」を進める防衛省に「渡りに船」と歓迎されているようだ。省関係者は「第1列島線」の太平洋側にある北大東島にレーダー施設を置くことを議論していたという。南北大東島には戦前、日本軍の基地があり、空襲被害を受けた歴史を忘れてはならない。また、北大東島の南の無人島・沖大東島は米軍の射爆撃場となっており、自衛隊基地ができれば、訓練に伴う危険も懸念される。

 

 今回の意見書は中国脅威論を念頭に置いているとみられるが、背景には小規模離島に共通の人口減少や経済の問題があるのではないか。

 

 今年4月に施行された新過疎法で、沖縄県内では「中期的な人口増加傾向」を理由に北大東村と竹富町が対象自治体から外された。実際は、2020年国勢調査での北大東村の人口は590人で、5年前から6.2%減少した。過疎法の対象でなくなったことの村財政への影響は大きい。

 

 1人当たり所得の県内市町村別ランキングで、南北大東村は1、2位を占めてきた。所得が高いのは、基幹作物のサトウキビの栽培面積が大きい、兼業農家で他の収入もある、公共事業などで来島する人が住民登録をして滞在する、などの事情による。一方で、子どもが高校進学で島を離れることによる費用の大きさ、病気などで沖縄本島と行き来する交通費、輸送コスト高による物価高など、所得の高さ以上に生活のコストが高いという困難を理解する必要がある。

 

 自衛隊が配備されると一時的な建設工事で経済は潤い、人口も増えるが、長期的には厳しい。佐道明広中京大教授は「自衛隊基地のある長崎県対馬や北海道礼文島でも人口減少に歯止めが掛かっていない」と指摘している。

 

 災害対策も急患輸送も、自衛隊の本来業務ではない。他の行政機関が担うべきことであり、小規模離島の生活や経済も、政策によって支えるべきだ。まずは、医療や教育に関わる交通費の無料化が必要だ。自衛隊に頼らなくても安心安全に暮らせる島にすることが、新たな沖縄振興の重要な課題だ。


 

  • 議会制民主主義の否定なんだが、気付いてすら居ない様だな。

 議会で、それも全会一致で議決した議案を、何だって「住民へ説明」しなけりゃならんのだ?よし、「住民に説明」して、仮に「反対意見が続出」した所で、それで「議決は覆されるべき」なのか?上掲社説には「覆された事例」が例示されているようだが、それって「議会軽視」どころか「議会制民主主義の否定」だろうが。

 どうせ沖縄二紙の事だから、「住民説明の結果、反対意見が出た」ならばそれを大々的に報じ・・・どころか、「”住民”を焚きつけて、説明会を紛糾させる」などして、「住民の反対が強いから、自衛隊誘致は白紙撤回しろ」と主張する心算、なのだろう。

 タイトルにもしたが、議会の議員ってのは選挙で選ばれて、少なくとも一面「住民を代表している」筈だ。だからこそ議会であり、議会制民主主義・間接民主主義である。
 
 その議会で「反対意見も出ました」とか「議論が二分されました」とかで在れば「議会の多数決では無く住民投票にかけよう」とか「住民の声も聞こう」とかの主張も(それだって、少なくとも一面「議会の責任放棄」では在るが))、未だ成立しようが「たった4人」とは言え「全村会議員の総意」である全会一致の議決を「議決後の“住民”の反対意見」如きで、ひっくり返されて溜まるかよ。左様な事例は既に在るらしいが、それは正に「民意の暴走」であり、暴挙であろうが。

 北大東村議会におかれては、その村議会の権限に基づき、粛々と自衛隊誘致を実施されたい。それでこそ、健全な議会制民主主義である。

 「住民への説明」?するな、とは言わないが、説明して、如何なる「反対意見」が出ようとも、それは「議決後の参考意見にしか過ぎない」事をお忘れ無く。