• 其れは「防衛白書」ですが、何か?ー【朝日社説】防衛白書 対中、懸念その先は 他に見る「防衛白書批判」のトンチンカンぶり

 軍事忌避の軍人蔑視は、「戦後平和教育」なるモノの一大弊害であろう。

 その典型例は、戦史や軍事関する知識を「右翼」思想と直結する事である。また、「ネトウヨ」なる蔑称の相当部分はこの「戦後平和教育の結果である軍事忌避」に端を発している、様に思われる。本来、戦史や軍事に関する知識と「思想の左右」は直接相関するモノでは無く、共産党政権だって赤軍だって戦史・軍事の研究・体系化には「余念がない」どころじゃぁないんだがな。
 
 「外交などによる平和的解決」が「戦争などによる軍事的解決」よりも「殆ど無条件に優位優先され、賛美される」ってのも、左様な戦後平和教育を背景とした軍事忌避の結果であろう。本来、外交も戦争も「国益追求の手段」であり、外交は「弾丸を使わない戦争」でもあれば、戦争は「弾丸を使う外交」でもある。外交と戦争、どちらが優先というのは未だしも、「どちらかしか使えない/使わない」と言うのは「論外」と言うべきであり、「砲艦外交」という言葉・概念は正に「外交/戦争、どちらかしか考えない」ことの愚かさを端的に示していよう。

 外交と戦争は、共に「国益追求の手段」なのであるから、相反的/排他的とは限らず、相補的/補完的でも、ありうるのである。

 朝日や琉球新報などのアカ新聞どもは、戦後平和教育を背景とした軍事忌避の権化みたいなモノだから、下掲のような社説を平気で掲げてしまえるのだろうが・・・

  • 【朝日社説】防衛白書 対中、懸念その先は

  • 【朝日社説】防衛白書 対中、懸念その先は

2021年7月14日 5時00分

 

中国建国70周年軍事パレードに登場した新型長距離弾道ミサイルDF41=2019年10月1日、北京、仙波理撮影

 

 中国の軍事的台頭に対する強い警戒感が伝わってくる。一方で、信頼醸成への取り組みや対話が進んでいない現状もある。中国と平和的で安定した関係を築くには何をすべきか。政府は懸念の先を示す必要がある。

 

 21年版の防衛白書が公表された。諸外国の防衛政策の記述では、中国の分量が米国の約3倍にのぼる。新設された「米中関係」の節では、中国が台湾周辺での軍事活動を活発化させ、米国も台湾支援を鮮明にしているとして、「台湾情勢の安定は、わが国の安全保障や国際社会の安定にとって重要」との認識が初めて示された。

 

 海洋進出を強め、米国と対立を深める中国にどう向き合うかが、日本にとって最重要課題であることは確かである。

 

 中国の国防費は日本の防衛費の約4倍。潜水艦や艦船、戦闘機など近代的な装備の数でも自衛隊を大きく上回る――。中国の急速な軍事力の増強ぶりを、白書はグラフや写真を織り交ぜて紹介。尖閣諸島周辺では「力を背景とした一方的な現状変更の試み」が「執拗(しつよう)に継続」されているとして、中国海警船の活動が過去最多、過去最長を更新したデータを列挙した。

 

 いずれも、国民にわかりやすく現状を訴える狙いがあるのだろう。他方、防衛当局間の交流など、信頼醸成に資する取り組みの扱いは素っ気ない。

 

 ただ、中国に対する全般的評価は、「安全保障上の強い懸念」であるという、昨年の表現を踏襲した。防衛省内では、「脅威」など「懸念」より強い文言とすべきかをめぐって議論があったようだが、最終的には前回同様に落ち着いた。妥当な判断といえる。

 

 防衛白書には、防衛省・自衛隊の国際情勢認識や防衛政策の方向性を明らかにすることによって、国防に対する国民の理解や協力を得る狙いに加え、諸外国に向けて、日本の意図を正しく伝えるメッセージという意味合いもあるからだ。

 

 攻撃的な発信が対抗措置を招き、相互不信から軍拡競争へつながる事態は避けねばならない。また、偶発的な衝突がエスカレートしないよう、意思疎通を緊密にすることも不可欠である。日中防衛当局間の「海空連絡メカニズム」については白書でも言及があるが、緊急時に直接連絡を取り合うホットラインはいまだ実現していない。設置に向けた協議を急ぐべきだ。

 

 力による対決ではなく、協調による共存をめざすには、外交や経済を含めた総合的な戦略と重層的なアプローチが必須である。防衛省・自衛隊のみならず、政府全体としての取り組みが問われている。


連載

  • 【琉球新報社説】2021防衛白書 台湾有事防ぐ外交努力を

  • 【琉球新報社説】2021防衛白書 台湾有事防ぐ外交努力を

 2021年7月19日 05:00

 

 沖縄にとって深刻な事態が進行している。防衛省は、台湾情勢の安定が「わが国の安全保障にとってはもとより、国際社会の安定にとっても重要だ」と2021年版防衛白書に初めて明記した。

 

 背景には、米中対立の激化があり、米国が中国包囲網を強めている状況がある。白書には、中国が6年以内に台湾へ侵攻する可能性があるとしたデービッドソン前米インド太平洋軍司令官の発言も盛り込んだ。

 台湾有事が起きれば、米軍や自衛隊の基地が集中する沖縄は核ミサイルの標的にされる恐れがある。基地機能を強化する軍備拡大で緊張を高めるのではなく、中国との対立や紛争の火種を取り除き、有事を事前に防ぐ外交努力こそが求められる。

 中国による台湾侵攻への危機感を強めている米国は4月の日米首脳会談で菅義偉首相に対し、中国に向き合う覚悟を問うた。これに応える形で菅首相は共同声明に「台湾海峡の平和と安定の重要性」という文言を盛り込んだ。

 新たな対米協力に向けて菅首相の背中を押したのは、安倍晋三前首相と麻生太郎副総理兼財務相だ。政府内には「米側に寄りすぎると、対中外交への影響は避けられない」との慎重論もあったが、首相経験者2人の進言に傾倒していったという。

 その麻生氏は東京都内での講演で、中国が台湾に侵攻した場合、集団的自衛権行使を可能とする安全保障関連法の「存立危機事態」として対処すべきだとの見解を示した。台湾有事の「次は沖縄。そういうことを真剣に考えないといけない」と強調した。対処とは米軍と自衛隊の参戦を意味する。

 中山泰秀防衛副大臣も台湾有事の際は地理的に近接する「沖縄県に直接関係する」との認識を示した。「目を覚まし」て中国の台湾侵攻に備える必要があると述べている。

 米軍と自衛隊が台湾有事に参戦することを示唆している現段階で、中国は既に沖縄の基地を核ミサイル攻撃の対象にしていると考えるべきだろう。防衛省幹部は「台湾有事が起きれば、近接する沖縄も巻き込まれ、日本が国家的窮地に陥る」と明言している。

 既に日米は台湾有事を想定した共同訓練を南シナ海や東シナ海で繰り広げている。県内でも台湾情勢を念頭に置いた訓練が活発だ。13日に渡名喜島沖で在沖米海兵隊の輸送ヘリが鉄製コンテナを落下させた事故も、その訓練と関係しているとの見方もある。

 訓練激化に伴う事故の多発という平時の基地負担も大きいが、最大の懸念は有事に巻き込まれ、多くの犠牲を強いられる事態だ。それは県民だけでなく日本国民も望まないのは言うまでもない。日本は経済面で中国と深い関係にある。米国の強硬姿勢と一体化せず、日本独自の外交路線で対話を重ね、米中の緊張を緩和させる役割を担うべきだ。

 

 

  • 外交は防衛白書の範囲外。而して、「外交頼みの防衛白書」では、無責任であろうが。

 防衛白書の所掌は、防衛省であり自衛隊であり、基本的に軍隊であり、軍事だ。「有事の際にどう対処するか」を論じ記述し説明するための防衛白書に、「外交的解決」の記載は、なくて当然である。

 朝日社説の言う「対中懸念の先」も、琉球新報社説の言う「台湾有事を防ぐ外交努力」も、防衛白書の、防衛省の、自衛隊の、所掌ではない。
 ああ、一部訂正しよう。「対中懸念の先」の一つとして「日中開戦」があり得るし、これは正に防衛白書の、防衛省の、自衛隊の、所掌であるな。もとい。「防衛白書が記載すべき“対中懸念の先”は、日中開戦しか、あり得ない。」従って、「防衛白書2021に、日中開戦に関する記述がない。」と朝日が非難するならば、これは筋の通った非難である。が・・・防衛白書に「日中開戦」なんて記述があった日には、アカ新聞どもは大騒ぎするのだろうな。
 
 だが、正に日中開戦こそは、想定し討議し計画すべき防衛政策であり、防衛白書への記載有無に関わらず検討しておくべきことだ。

 孫子の曰く、「算多き者は、勝つ。」だ。