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新聞記者とは気楽な稼業だな。言うだけなら、タダだ。ー【朝日社説】殺人AI兵器 実効ある規制が急務だ
特定の兵器を禁じたり、規制したりする、禁止条約とか制限条約と言うモノを、「良いことだ」と無条件に無邪気に信じ、主張する者は、掃いて捨てる程ある。「核兵器禁止条約」なんてのは、その良い例だろう。
斯様な表記表現からも明らかであろうが、私(ZERO)は斯様な「禁止条約」とか「制限条約」なるモノに、極めて懐疑的である。少なくとも「無条件で良いこと」などとは全く思わない。これも「核兵器禁止条約」が恰好の例だろう。「核なき世界」と言うと、恰も理想郷かの如く言われることも多いが、「核なき世界」とは「タダ一国の核兵器保有国により全世界が支配されてしまいかねない世界」である。その「多大一国の核兵器保有国」に我が国が成り果せようと言う野望でも隠していない限り、「核なき世界」を「理想的な世界」とは断定断言しかねる、筈である。
この手の「禁止条約」や「制限条約」が有効であるのは、当該兵器製造・保有国が網羅的に同意合意した場合ぐらいで、歴史的に見ると一番上手く行ったのは、多分、大戦間の「海軍軍縮条約」だろう。日英米の三大海軍国を中心に成立し、「戦艦の新造原則禁止」にまで至ったのだから、大したモノであろう。だが、それが「世界平和に資したか?」というと、随分疑問ではある。まあ、日米間の「八八艦隊 vs 三年計画艦隊」って一大建艦競争を阻止したって効果は、認めて良かろう。
海軍軍縮条約に比べると、クラスター爆弾や対人地雷の禁止条約なんぞ、屁の突っ張りにもならない。前者は「主要な保有国は殆ど批准していない」から、「条約が、形として存在する、と言うだけ」である。
後者の方が批准国は多いようだが、「主要な保有国は殆ど批准していない」状況には大差が無い。「条約が存在する事自体が、非批准国にもプレッシャーを与える」って説もあるが、自己満足や自己陶酔以上の効果は、期待すべきでは無いな。「批准もしていない条約を、守る義理謎、無い」のであるから。
で、今度は「殺人ロボット禁止条約」とも言うべきモノを目指せ、都、朝日が社説で主張している。
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【朝日社説】殺人AI兵器 実効ある規制が急務だ
殺人AI兵器 実効ある規制が急務だ
2021年7月5日 5時00分
殺すことへのためらいも、殺される恐怖心も持たない人工知能(AI)が、人間の判断を介さずに人の命を奪う。そんな兵器が登場する前に、人類の英知を発揮して規制をすべきだ。
北アフリカのリビアの内戦で、軍用の無人小型機(ドローン)が、人間の制御を離れて標的を攻撃した可能性があると、国連安全保障理事会の専門家パネルの報告書が指摘した。
AIなどを用いて、人間の関与なしに敵を殺傷する兵器を、自律型致死兵器システム(LAWS)という。戦争の様相を一変させるものとして、火薬、核兵器に続く「第3の軍事革命」と呼ばれ、米国、中国、ロシアなどが開発中とされる。技術的にはすでに可能な段階ともいわれるが、実戦で使われたとしたら世界初の報告例となる。
殺人ロボットとも称されるこの兵器については、感情や体調にとらわれないからこそ、敵の識別や攻撃が正確になり、非戦闘員の被害軽減につながるという主張もある。しかし、味方の人的犠牲を回避でき、兵士に人を殺す精神的負担を負わさずに済むとなれば、戦争へのハードルが下がるのは確かだろう。AIによる判断の誤りや誤作動、暴走の危険も否定できない。
兵器が完成し、配備が進んでから規制をかけるのは極めて困難だ。リビアのケースは、死傷者の有無をはじめ詳細が不明で、実際にLAWSに該当するのかどうかはわからない。しかし、軍事技術の急速な進展を踏まえれば、法的拘束力のある規制に向けた国際的な合意形成を急ぐ必要がある。
非人道的な特定の通常兵器の使用を禁止・制限する条約の枠組みの下、4年前に本格的な議論を始めた専門家会合は一昨年、報告書をまとめたが、その後は、新型コロナの世界的流行もあって、話し合いはほとんど進んでいない。
報告書には、LAWSの行為にも国際人道法が適用され、その使用には人間が責任を負うという共通認識が盛り込まれた。しかし、肝心の法規制をめぐっては、中南米やアフリカ諸国など禁止条約を求める国と、それに反対する米ロなど開発国が対立したままだ。何をもって人間が「関与」したとするかなど、まずは積み残された多くの論点をめぐる議論を深めることで、少しでも溝を埋め、実効性のある規制につなげるべきだ。
日本政府は、自らはLAWS開発の意図はないと表明しているものの、条約づくりには後ろ向きである。確かに開発国を巻き込むのは容易な道ではないが、禁止の旗を高く掲げ、国際社会の新しいルールづくりに、建設的な役割を果たすべきだ。
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その「規制」が自己満足・自主規制以上のモノになんか、なるのかね?
大体、上掲朝日社説は「殺人AI兵器」などとおどろおどろしく取り上げ、その規制の必要を声高に訴えるモノの、「具体的に何をどうするか」には、全くと言って良いぐらいに言及していない。
1> 確かに開発国を巻き込むのは容易ではないが、
2> 禁止の旗を高く掲げ、国際社会の新しいルールづくりに、
3> 建設的な役割を果たすべきだ。
と言うのが上掲朝日社説の「〆」なんだが、「開発国を巻き込むのは難しい」以外、モノの美事に「何にも言っていない。」。「禁止の旗を高く掲げろ」だの、「新しいルール作りに建設的な役割を果たす」だの、美辞麗句だけ並んでいるが、それで「開発国を巻き込める」なんて全く思えないし、何をどうしてどうやって「殺人AI兵器禁止条約」を「実効ある規制」として実現するのか、なぁんにも言っていない。
推察するに、朝日新聞社説記者自身にすら、そんなビジョンや構想はまるで無いのだろう。つまりは「朝日自身が絵に描くことさえ出来ない餅を、日本政府には“絵に描け””実現しろ”」という主張である。まあ、「脱原発」や「二酸化炭素排出量削減」やらで、お馴染みの構造・構図であるな。
全く、新聞記者ってのは、気楽な商売だ。それで「社会の木鐸でござい」と抜かせるのだからな。
だが、それでは少なくとも、「オピニオンリーダー」ではないぞ。