• で、改竄内容は?ー「赤木ファイル」開示を巡る、各紙社説の美事なまでの「他人事」ぶり

 新ためて確認しておくぞ。「森友問題とは、何だ?」
 
 森友問題とは、「森友学園に対して、国有地が不当不正に廉売されたのでは無いか?その不当不正廉売に、安倍首相夫人(当時)が関与したのでは無いか?」という疑惑である。先ず、異存は無いだろう。

 では続いて確認しよう。「森友文書問題とは、何だ?」
 
 森友文書問題とは、「森友問題追及」の過程において、財務省の決裁文書が改竄された問題である。これまた、ちょっと異存はありそうにない。

 で、その森友文書問題において、改竄を実施した「実行犯(の一人)」である赤木さんが自殺し、その死を巡る裁判にて、赤木さんがその改竄指示などを記録した「赤木ファイル」がとうとう開示された。

 で、こいつを下掲の通りアカ新聞どもが社説に取り上げている。あくまでも、「他人事」として、な。

①【朝日社説】赤木ファイル 佐川氏は真相を語る時

②【毎日社説】「赤木ファイル」の開示 良心踏みにじった異様さ

③【東京社説】赤木ファイル 司法の場で真相究明を


 

①【朝日社説】赤木ファイル 佐川氏は真相を語る時

赤木ファイル 佐川氏は真相を語る時

2021年6月24日 5時00分

 

 公文書改ざんという民主主義の根幹を揺るがす行為に、財務省はなぜ手を染めたのか。担当部局以外の幹部や首相官邸は、本当に何も知らなかったのか。改めて突きつけられた疑念を晴らすには、佐川宣寿(のぶひさ)元理財局長ら関係者が、公の場で真相を語ることが不可欠だ。

 

 遺族の求めから1年、財務省がようやく「赤木ファイル」の開示に応じた。改ざんに加担させられたことを苦に自死した元近畿財務局職員、赤木俊夫さんが経緯を記録した文書である。

 

 理財局との間でかわされたメールからは、繰り返し削除や修正を求められた理不尽や、赤木さんを含む財務局職員が抵抗しつつも従うほかなかった無念さがにじむ。3年前の財務省の報告書にはなかった生々しさが、問題の異様さを際立たせる。

 

 報告書は、佐川氏が「改ざんの方向性を決定づけた」と結論づけたが、指示については認めていない。一方、ファイルにあった理財局職員のメールには、局長から「直接指示があった」と記されていた。誰が誰にどんな指示を出したのか。解明は不十分なままであり、決着済みとして再調査を拒み続ける安倍、菅政権に理はない。

 

 問題の根底にあるのは、森友学園への国有地の不透明な値引き売却だ。安倍首相が国会で「私や妻が関係していたら、首相も国会議員も辞める」と発言。その後、佐川氏が「森友学園との交渉記録は廃棄した」と虚偽答弁をした2日後に、安倍氏の妻で、学園が開設予定の小学校の名誉校長だった昭恵氏に関する記載などの削除を求めるメールを理財局が送っていた。

 

 佐川氏は何に配慮し、改ざんへと向かったのか。18年3月の国会での証人喚問では、刑事訴追の恐れがあることを理由に大半の証言を拒んだ。しかし、捜査が終結し、不起訴となった今、経緯をつまびらかにすることに何ら支障はないはずだ。

 

 まずは、俊夫さんの妻雅子さんが国や佐川氏に損害賠償を求めた裁判である。雅子さん側は、改ざんの全体像を明らかにするため、ファイルの黒塗り部分の開示を求め、関係者の法廷での証言も視野に入れる。裁判所は真摯(しんし)に向き合ってほしい。

 

 そして国会である。国民の代表からなる国権の最高機関が、虚偽答弁や改ざん文書でだまされていたという由々しき事態である。行政監視の使命を果たすためには、閉会中審査に佐川氏らを招致し、徹底して事実関係をただす必要がある。

 

 ファイルの開示について、雅子さん側は「第一歩がようやく進む」と語った。真相解明はまだこれからであり、その歩みを止めるわけにはいかない。




 

②【毎日社説】「赤木ファイル」の開示 良心踏みにじった異様さ

「赤木ファイル」の開示 良心踏みにじった異様さ

朝刊政治面

毎日新聞 2021/6/23 東京朝刊 853文字

 

 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、財務省の決裁文書が改ざんされた経緯を記した「赤木ファイル」が開示された。

 

 改ざんに加担させられ、自殺した近畿財務局職員の赤木俊夫さんがまとめた文書だ。

 

 抵抗する近畿財務局に対し、財務省が削除や修正を強く指示するメールや、修正部分を明示した文書などが残されていた。

 

 

 メールの中には「当該箇所をマーキングしておきました」と改ざん部分を具体的に示し、できるだけ早急に対応するように念を押しているものもあった。

 

 森友学園と安倍晋三前首相の妻昭恵氏の関わりが表面化し、国会で疑惑を追及された安倍氏は「自分や妻が関与していたら首相も国会議員も辞める」と言い切った。その後、改ざんは始まった。

 

 

 主導したとされるのは当時の理財局長、佐川宣寿氏だ。佐川氏も国会で野党に追及された。

 

 メールには「局長の指示により、国会答弁を踏まえた上で作成するよう直接指示があった」と、佐川氏の圧力を示唆するものも保存されていた。

 

 赤木さんが備忘録として残した文書「本省の対応」には、森友学園を厚遇したと受け取られる恐れがある部分を削除するとの財務省方針が明記されていた。これに対し「厚遇した事実はない」と現場が反対した経緯も記されていた。

 

 

 「既に決裁済みの調書を修正することは問題があり、行うべきではない」と財務局が本省に抗議したとの記述もあった。

 

 改ざん発覚後、財務省がまとめた調査報告書も、改ざんの指示に財務局が反発したことに触れていたが、ここまで詳細な内容が明らかになったのは初めてだ。

 

 

 赤木さんは公務員として誇りと良心を持って仕事をしていたのだろう。それを踏みにじる国の異様さが浮き彫りになった。

 

 政府が長く存在すら明らかにしていなかったファイルがようやく開示された。だが、なぜ佐川氏が改ざんを主導したのか、問題の核心は不明のままだ。麻生太郎財務相は記者会見で再調査をする考えがないことを改めて強調した。

 

 森友問題は終わっていない。赤木さんの遺志を無駄にしないためには全容の解明が必要だ。

 

  • ③【東京社説】赤木ファイル 司法の場で真相究明を

  • 赤木ファイル 司法の場で真相究明を

2021年6月24日 08時18分

 森友問題で、決裁文書の改ざんを苦に自殺した元財務省近畿財務局職員赤木俊夫さんが残した「赤木ファイル」を国がようやく開示した。本省による改ざんの指示とそれに「疑問だ」と抗議する赤木さんの苦衷がうかがえるメールが多数含まれている。ただ、黒塗り部分は四百カ所にも及び、国の消極姿勢は明白だ。司法の場、あるいは国会での追及を通じ、全容が解明されるよう強く求めたい。

 この件では、国有地払い下げの交渉に関する決裁文書で、当時の安倍晋三首相の妻昭恵氏や政治家の関わりを示す部分を削除するなど、十四件の改ざんが明らかになっている。赤木ファイルにあるメールの中には「(佐川宣寿・理財)局長(当時)から国会答弁を踏まえ(中略)直接指示がありました」と佐川氏の「直接指示」に言及した文面もあった。

 しかし、メールの大半は、送受信者名やアドレスの前半または全体が黒塗りされた。アドレスのドメイン(後半部分)だけが黒塗りされていないメールから、かろうじて「本省らしい」と分かるだけだ。これでは指示系統が明確には分からない。国は黒塗りの理由を「事務に支障を及ぼす恐れがある」とするが、真相解明への真剣度が感じられない。

 そもそも国はファイルを隠そうとしていた節がある。赤木さんの死後、元上司が妻の雅子さんに「改ざんの過程が一目で分かる」と明かし、雅子さんは昨年三月、国と佐川氏を相手に損害賠償を求めて提訴した際に、開示を求めた。しかし、国は存在するかどうかも答えない姿勢を取った。地裁の開示要請を受け、やっと存在を認めたのは、一年以上たった今年五月のことだ。ファイルは二十三日、大阪地裁に証拠採用された。

 一方、麻生太郎財務相は、ファイルの開示を受けた再調査は「しない」と述べた。二〇一八年に財務省が出した報告書は、改ざんの経緯に触れない不十分なものであるにもかかわらずだ。ファイルの意味を矮小(わいしょう)化しようとする姿勢ともとれる。

 桜を見る会の問題や元法相による選挙違反事件など、政治家を巡る不祥事が後を絶たないが、いずれも政府や自民党は真相究明に及び腰だ。大阪地裁の訴訟指揮で赤木ファイルの非開示部分を可能な限り開示させてほしい。森友問題は終わっていない。

 

 

  • 問題なのは、「森友学園を厚遇した事実はない」にも関わらず「厚遇したかと思わせる箇所の改竄」を「必要」と判断した/させたことでは、ないのかね?

 極端な話、森友文書改竄で「森友学園を厚遇した事実を隠蔽する改竄が行われた」ならば、赤木さんは自殺を免れたかも知れない。左様な改竄は「改竄するに値する」とも、考え得るからだ。

 赤木さんが自殺に至ったのは、「森友学園を厚遇した事実はない」にも関わらず「厚遇したかと思わせる箇所の改竄」を実施させられたから。言い換えれば「不必要な改竄を強いられたから」と考える、べきではないのか。

 而して、上記アカ新聞社説共は都合良く華麗にスルーして見せているが、今般公開された赤木ファイルに於いて、「森友学園を厚遇した事実はない」と再確認されており(*1)、当該文書改竄が森友問題とは直接的には無関係であり、森友文書問題は文書問題ではあるが森友問題ではないこと、を改めて裏書きしている。

 上掲アカ新聞どもは、「改竄する必要すら無い改竄を指示した財務省」を非難し、「真相究明」を求めている。確かに「改竄する必要すら無い改竄を指示する」というのは異常であり異様である。が、左様な異常で異様な財務省の指示は惹起したのは、今でも「森友問題」となるかと斯様にいきり立ち「追求」を始める、馬鹿マスコミとアホ野党では、ないのかね。

 一体、上掲社説を掲げるアカ新聞どもは、当時から現在まで延々と続く「森友問題追及」と「森友文書改竄」ひいては赤木さんの自殺との相関関係を、一体、どう考えているのかね?

 ま、本音のところは想像が付くな。「森友問題として問題化した通り、森友学園へ国有地は不当不正に廉売されたに違いないし、森友文書はその”事実”を隠蔽するために改竄されたに違いない。赤木さんはその改竄に対する良心の呵責で自殺したんだ!」って、手前勝手なストーリーに、酔い痴れているんだろうぜ。

 だが、現実を見やがれってんだ。赤木さんは自殺した。自殺した赤木さんが残した赤木ファイルには「森友学園を厚遇した事実はない」と明記され、記録された改竄箇所は、「森友学園を厚遇したかと思わせる箇所の改竄」でしかなく、「森友問題」の犯罪事象を証するモノでは無い。

 であるならば、赤木さんは「不必要な改竄を強制されて、自殺に至った」訳である。

 ああ、そうか。こう考えてくると、当時(も今も)「森友問題追及」に狂奔したアカ新聞はじめとするマスコミ(及び野党)の責任は。「普通の思考力を持った人には明らか」だ。それが不都合であるから、ことさら「不必要な改竄を指示した財務省」を非難批判し、「真相の究明」をも求めている。そう言う図式か。

 森友問題は「国有地の不正廉売問題」としては既に決着しており、その事実を「期待の」赤木ファイル開示も覆せなかった以上、「赤木さん自殺の責任」という矛先をかわすには、財務省をスケープゴートにするに限る。仮にこれで「赤木さん自殺の真相究明」が始まったとしても、その累がマスコミ(や野党)に及ぶ可能性は低い。「不必要な改竄を指示した」のは財務省であり、「不必要な改竄を必要と判断させた罪」ってのは、法的には、無い。

 左様、法的には、法律的には、な。

 だが、道義的には、人としては、どうだろうね。

 

  • <注記>
  • (*1) 当該「赤木ファイル」でもって「森友学園を厚遇した事実」が発覚した日には、アカ新聞どもの社説も、当該赤木さん自殺裁判も、この程度の騒ぎでは収まらない。
  •  アカ新聞社説共が揃って「森友学園を厚遇した事実はない」との赤木ファイル記載をスルーして見せている事実が、問題化以来既に3年になろうかという「森友問題」の犯罪事象が未だ全く証されていないことを示している。