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大和、零戦には頬被りー【東京新聞コラム】画家の小松崎茂さんの名に身を乗り出してくるのは、高度成長期・・・
【東京新聞コラム】画家の小松崎茂さんの名に身を乗り出してくるのは、高度成長期・・・
https://www.tokyo-np.co.jp/article/68646?rct=hissen
2020年11月16日 07時19分
▼ 画家の小松崎茂さんの名に身を乗り出してくるのは、高度成長期に子ども時代を過ごした人か
▼疾走するエアカーや高層ビルディング、水上空港、超高速鉄道…。これが未来の姿だ。そんなイラストを数多く手掛けていらっしゃった。少年雑誌や絵本で小松崎さんの想像力にあふれる作品をながめ、未来に胸をときめかせた、かつての少年少女は多いだろう
▼サザンオールスターズが「栄光の男」の中で<現代(いま)この時代(とき)こそ「未来」と呼ぶのだろう>と歌っていた。よく分かる。エアカーこそ普及していないが、高度に発達した世の中を見渡せば、小松崎さんが描き、かつての子どもたちが夢に見た「未来」とはまさに今、現在のことなのかもしれぬ
▼あのころの「未来」の到来を実感する話題である。ホンダが「レベル3」の自動運転技術を搭載した車を年度内に発売するそうだ。世界初の実用化である
▼「レベル3」の技術といえば、高速道路の渋滞時など一定の条件下ではハンドルやブレーキなどの操作すべてを車のシステムに任せることができる
▼古代文明に生まれた馬車は蒸気機関によって「馬なし馬車」の自動車となり、「レベル5」の完全自動運転に向けて、また一歩前進した。別の企業では空飛ぶ自動車の開発が進むと聞く。速く、安全に、快適に。人類が移動の道具を進化させる長いドライブはさらに速度を上げる。
確かに小松崎茂画伯は数多の「未来図」を描いていた
私(ZERO)の覚えている処では、小学館の「なぜなに図鑑」に「宇宙人に連れて来られ、空飛ぶ円盤から地表へと降り立つ原始人類」なんてSF色豊かなイラストを描かれていた(*1)。有り体に言って私(ZERO)自身、「画家の小松崎茂さんの名に身を乗り出しくる」クチである。
だが、同時に違和感を覚えた。何しろ小松崎茂画伯と言えば、その独特の力強い迫力あるタッチで、数多くの戦艦 大和や零戦はじめとする、戦車・戦艦・戦闘機、ひいては軍用車両・軍艦・軍用機のイラストを描き、プラモデルの箱絵などを飾った人だ。そんな「ミリタリーイラストの第一人者」である小松崎茂画伯と、アカ新聞(と言うよりは、軍事忌避の軍人差別新聞)たる東京新聞とが「結びつかなかった」から、だ。
だが、上掲コラム本文を読んで「納得」した。なぁんと「ミリタリーイラストの第一人者」という小松崎茂画伯の一面を完全に無視して、「未来図」という都合の良い部分だけ取り上げてやぁがる。
「部分的な真実」で、虚構は充分に成り立つ。その見本のようなコラムだな。
或いは、無理矢理「好意的に解釈」するならば、当該コラムを書いた東京新聞記者が、軍事を忌避する余り、小松崎茂画伯の「ミリタリーイラストの第一人者」という一側面を「知らなかった」という可能性が、ないではない、か。
だとしても、その記者の不勉強ないし無知は、責められて然るべきだろうな。何しろ、ウイキペディア一つ調べなかった、って事になるのだから、な。
- <注記>
- (*1) イラストレーターの名を確認した訳では無い。が、あのタッチは、先ず間違いようが無い。