世論をかたるな。-【東京社説】皇位継承論議 世論にも耳を傾けて
【東京社説】皇位継承論議 世論にも耳を傾けて
皇位継承論議 世論にも耳を傾けて
2020年11月6日 06時46分
秋篠宮さまが皇嗣(こうし)になることを内外に示す「立皇嗣の礼」が八日に行われる。先送りしてきた安定的な皇位継承策の議論に政府は着手する方針だが、国民の声にも十分に耳を傾けてほしい。
「立皇嗣の礼」は当初、四月に予定されていた。新型コロナウイルスの影響で延期されたが、感染状況が一定程度落ち着いたと判断した。中心儀式である「立皇嗣宣明の儀」、秋篠宮さまが両陛下にあいさつする「朝見の儀」が皇居・宮殿で行われる。賓客との祝宴は中止となった。
問題は皇位継承が事実上、秋篠宮さまと長男の悠仁さまに限られてしまうことだ。天皇陛下と秋篠宮さまは同年代であるから、次の世代となると悠仁さまのみである。安定的な皇位継承を望むならば不安が残ろう。
憲法では「皇位は、世襲」と定められているだけだが、皇室典範では戦前の男系・男子主義の規定が残っているためである。
だが、皇位を男子に限っているのは明治以降の歴史にすぎず、江戸時代までには八人の女性天皇がいた。いわゆる「中継ぎ」などではなく、人物本位で選ばれた女性天皇もいる。
性別にこだわらない考え方に立てば「直系長子(第一子)優先制」が採られる。西欧諸国の王室などはその典型例であり、英国のエリザベス女王など有名な女王も珍しくない。
世論も女性天皇の容認が圧倒的である。共同通信が今年四月に実施した世論調査では、女性天皇を認めることに関し「賛成」「どちらかといえば賛成」のいずれかを選んだのは計85%に上った。母方に天皇の血筋がある女系天皇も計79%が賛成だった。
男女平等、さらに女性の社会進出の時代にふさわしいという意識の反映なのかもしれない。小泉政権下の二〇〇五年には、有識者会議も女性・女系天皇を認める報告書を出している。
むろん保守派は「男系・男子の皇位継承は皇室の二千年近い伝統」とし、戦後に皇籍離脱した旧宮家の血筋の男子に皇籍を取得させる案をいう。
だが、旧宮家と天皇との男系の共通先祖は約六百年もさかのぼり、かつ戦後はずっと民間人だった人々でもある。国民の納得が得られるだろうか。
憲法の規定では、天皇の地位は国民の総意に基づく。専門家ばかりでなく、世論にも耳を澄ませ、開かれた議論をすべきである。
女性天皇はおわしたが、女系天皇は存在しない。否。女系は、天皇では無い。
これは、皇紀にして27世紀近く、代にして120代以上を数える伝統である、皇統である。多寡が戦後70年だの現代の世論如きで、覆そう謎とは、烏滸がましいにも程があろう。
先ず為すべきは、旧宮家の皇族復帰である。それすれせずに、女系「天皇」容認なんぞ、不敬不遜も極まれりと言うべきで、左様な女系「天皇」容認論が「世論だ」と言うのであれば、それは「世論の方が間違っている」と言うだけの話だ。
事は、皇統である。最重要視すべきは伝統と継承であって、世論に阿ることでも無ければ、世論をかたることでも無い。
私(ZERO)が、「世論をかたる」などと極めて否定的な表現を用いるのは、東京新聞がその社説で「脱原発」や「死刑制度廃止」のために、「世論や選挙結果を、無視しろ。」と主張したことを、覚えているから、だ。それ故に、上掲社説で東京新聞が「世論にも耳を傾けて」などと尤もらしい事を主張しているのは「世論調査結果が好都合だから」と、断定し、確信しているから、だ。
世論調査結果が東京新聞に不都合であったならば、恐らくは世論調査結果になんぞ触れず、「男女同権」だの「ジェンダーフリー」だのを掲げて「女系”天皇”容認論」を主張しただろうと、確信しているから、だ。
で、左様な確信以上に確信しているのが、「女系“天皇”なんぞ容認した日には、皇祖皇宗に対して、申し訳ない、どころでは無い。」と言うことであり、「その罪、万死に値する。」と言うことである。
「万世一系」。最近では聞き慣れない/読み慣れない言葉ではあるが、我が皇統は左様に表現される。此処で言う「一系」とは、紛れもなく「男系による皇位継承」であり、「女系」なんぞ想定想像すらしていないのである。
未だ130代にすら至らない我が皇統では在るが、「万世一系」を目材、実現するべく皇統を重ねていくことは、日本として、日本人としての責務であり、義務である。
ああ、これは、論理・ロジックでは無い。
これは、感情であり、感覚であり、心理である。だが、感情・感覚・心理であるが故に、骨がらみであり、強烈であり、議論の余地は無い。
左様な感情・感覚・心理を、東京新聞は(多分、日本人でありながら)「共有/共感しない」のであろう。世論調査結果からすると、「最早日本人の大半は、左様な感情・感覚・心理を共有/共感しない」のかも、知れない。
だが、左様な感情・感覚・心理が遂に日本人の中でも私だけのモノとなったとしても(*1)、私(ZERO)は私の感情・感覚・心理を主張し、「女系“天皇”なぞ、論外だ。」と主張するだろう。
諄いようだが、繰り返そう。
我が国の歴史に、歴代天皇陛下の中に、女性天皇はおわすが、女系「天皇」は居ない。
旧宮家の皇族復帰、側室制度の復活など、男系維持の手段が未だある内に男系維持を断念するなぞ、あってはならない/在るべきでは無い。
- <注記>
- (*1) それは、誠に恐れ多くも恐るべき事に、陛下すら左様な感情・感覚・心理を喪失された、と言う状況であるが。