違うな。間違っている。宇宙は、既に戦場であり軍事空間だ。ー【朝日社説】自衛隊と宇宙 戦場にさせぬ努力こそ+【毎日社説】自衛隊に宇宙部隊発足 軍事空間にせぬ歯止めを


 我らが自衛隊に「宇宙軍」が発足するというので、これに反対論を唱えた東京新聞社説は、以前弊ブログでも取り上げた。映画「スター・ウォーズ」を見て、軍拡競争の虚しさを思い出した。って言う、思い出すだに爆笑モノの主張だったのだが、他のアカ新聞どももこれに負けまい、としたらしい。
 

①【朝日社説】自衛隊と宇宙 戦場にさせぬ努力こそ
自衛隊と宇宙 戦場にさせぬ努力こそ


2020年5月20日 5時00分
 自衛隊初の宇宙専門部隊「宇宙作戦隊」が、東京の航空自衛隊府中基地に20人規模で発足した。当面は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や米軍と協力しながら、日本の人工衛星を宇宙ごみ(スペースデブリ)から守る監視などを行う。

 宇宙空間はいま、米中を中心とした大国の軍事戦略の要となっている。指揮命令を支える通信も、攻撃の探知も、ミサイルの精密誘導も、衛星抜きには考えられない。

 中国が07年に衛星破壊実験に成功したことは、米国に衝撃を与えた。宇宙の軍事利用を強める中ロに対抗して、米トランプ政権が昨年、陸海空の各軍などと並ぶ「宇宙軍」を創設するなど、宇宙を舞台とした覇権争いは激しさを増している。
 日本は一昨年末に改定した「防衛計画の大綱」で、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域での「能力の強化」を打ち出した。今回の宇宙作戦隊の編成はその一環である。

 役目を終えた衛星やロケットの破片など、宇宙ごみの監視は衛星を守るために欠かせない。ただ、こうした監視の能力は、ターゲットを特定し、攻撃する能力にも結びつく。自衛隊がその能力を磨くことで、宇宙の軍事化に拍車がかかる事態は避けねばならない。

 安倍首相は昨秋、自衛隊の高級幹部に向けた訓示の中で、「自衛隊は創設以来の大きな変化に直面している」と述べたうえで宇宙作戦隊に触れ、「航空宇宙自衛隊への進化も、もはや夢物語ではない」と語った。この部隊に将来、どのような役割を担わせるのか、その具体像も明確になっていない段階で、前のめり過ぎないか。

 日本は69年の国会決議で宇宙の平和利用を定めたが、08年の宇宙基本法制定で安保分野に道を開いた。昨春の日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)で、日本版GPSと呼ばれる準天頂衛星「みちびき」に宇宙ごみ監視を目的とした米国の機器を載せることで合意するなど対米協力が拡大しつつある。

 日本の技術や資金力に期待して、米国がさらなる協力を求めてくることは十分ありうる。平和主義の理念や専守防衛の原則を踏まえ、自衛隊に何ができて何ができないのか、議論を深めておくことが急務だろう。

 天気予報からカーナビ、スマホの位置情報など、宇宙はいまや世界中の人々の暮らしを支える公共空間となっている。

 宇宙を「未来の戦場」にしない。平和利用のための国際的なルールづくりに汗を流す。そのことこそ、宇宙の軍事利用とは一定の距離を置いてきた日本にふさわしい役割である。

自己矛盾と自己撞着

①1> 宇宙空間はいま、米中を中心とした大国の軍事戦略の要となっている。
 
①2> 宇宙を「未来の戦場」にしない。
 
 上掲朝日社説冒頭近くの上記①1>と、最後のパラグラフの上記①2>とは、普通に考えれば矛盾している。「今、軍事戦略の要」で既にある宇宙は、既に、少なくとも想定上の「戦場」であり、実際に戦火をまじえていないからとてこれを「未来の戦場」とするのさえ無理がある。況んや「未来の戦場にしない」なんてのは、少なくとも現時点においては矛盾以外の何物でもない。

 その矛盾に気付かないというのが、如何に間抜けか、気付いても居ないらしい。いやぁ、心、此処にあらざれば、見るとも見えずと言うが、かくもあからさまな自己矛盾をたかだか千字程の、それも「朝日新聞の公式公的な主張」である筈の社説で実践するとはな。
 
①2>  宇宙を「未来の戦場」にしない。
①3> 平和利用のための国際的ルールづくりに汗を流す。
①4> そのことこそ、宇宙の軍事利用とは一定の距離を置いてきた日本にふさわしい役割である。
 
と言う上掲朝日社説の「結論」は、平たく言って「発足した自衛隊宇宙作戦隊に対する反対論」である。上掲朝日社説の冒頭で、その自衛隊・宇宙作戦隊の発足という厳然たる事実を記述しながら、だ。先行記事にもした東京社説は「自衛隊宇宙策戦隊発足以前」に書かれた分は、未だマシだった。
 
 まあ、憲法9条信者なんてのは、こんなキチガイでもなければ務まらないのだろうが、そんなキチガイに、付き合う気は無いぞ。
 
 

②【毎日社説】自衛隊に宇宙部隊発足 軍事空間にせぬ歯止めを

自衛隊に宇宙部隊発足 軍事空間にせぬ歯止めを

毎日新聞2020年5月25日 東京朝刊

 自衛隊で宇宙を専門にする初めての部隊「宇宙作戦隊」が発足した。宇宙ごみや他国の人工衛星が日本の人工衛星に衝突しないように監視するのが主な任務だ。
 人工衛星は、全地球測位システム(GPS)や気象観測、防災無線など幅広い分野で日常生活を支えている。この基盤が損なわれれば、影響は広範囲に及ぶ。

 作戦隊は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や米軍と情報を共有しながら監視活動を行う。人員を拡充し、将来的には防衛を目的に他国の衛星の通信を電磁波で妨害する技術も研究するという。

 活動がさらに拡大されれば、日本が掲げる「平和利用」の原則を逸脱する可能性が出てくる。

 日本は1969年に宇宙利用を「平和目的に限る」とする決議を国会で採択し、科学技術・研究開発を中心に進めてきた。これを2008年に制定された宇宙基本法で転換した。「平和目的」の解釈を「非軍事」から「非侵略」に変え、防衛利用を認めた。

 宇宙空間では、米国と中国、ロシアが覇権争いをしており、緊張が高まっている。他国部隊の動向把握やミサイル発射の探知など、現代の軍事活動は人工衛星に大きく依存しているからだ。

 中国は、07年に地上からのミサイルで自国の衛星を破壊する実験に成功した。他国の衛星を捕獲・破壊する「キラー衛星」などの開発も進めているという。米国は宇宙空間を「新たな戦闘領域」と位置づけ、昨年には陸海空軍などとは別に「宇宙軍」を創設した。

 安倍晋三首相は「航空宇宙自衛隊への進化も夢物語ではない」と語り、作戦隊の活動拡大に前のめりだ。

 しかし、憲法や専守防衛という基本政策との整合性を巡る議論は不十分である。日本の衛星が攻撃された時に何ができ、何ができないかという整理もこれからだ。
 河野太郎防衛相は、米国などの衛星が攻撃された場合、集団的自衛権行使の対象になり得るとの認識を示している。法的な整理と歯止めの議論が急務だ。

 宇宙空間に関する国際的なルールが十分整備されていないのも問題だ。平和利用の原則に基づき、軍事化にブレーキをかける仕組み作りを日本は促していくべきだ。
 

陸海空は言うに及ばず、サイバーなんて仮想空間まで、既に「軍事空間」ですが、何か?


 なぁんだって「宇宙は、軍事空間ではない(ことを維持出来る)」なんて思えるんだろうねぇ。希望願望妄想以外に、左様に思い込める根拠は、何かね?
 
 「日本国憲法や、専守防衛等の日本の基本政策」かね?そりゃ「日本の都合」でしかない。「平和を愛する諸国民」とやらならそれでも尊重するかも知れないが、中国、ロシア、北朝鮮(あ、韓国も、だな)と言った我が隣国たちには、通用しない。
 
 上掲毎日記事にもある通り、我が国が宇宙利用を「平和的に限る」としてきた1969国会決議を2008制定の宇宙基本法で方針転換し、「防衛利用を認めた」のは、正しく「宇宙が軍事空間になった」証左に他ならない。
 
 で、宇宙基本法で「我が国は宇宙の防衛利用を認めた」ことを明記明言しながら(そのこと自体に不満タラタラ、なのは想像に難くないが)、上掲毎日社説のタイトルは「(宇宙を)軍事空間にせぬ歯止めを」であり、その結論は、
 
②1> 平和利用の原則に基づき、軍事化にブレーキをかける仕組み作りを日本は促していくべきだ。
 
である。
 
 なんと間抜けな事だろう。憲法9条信者ならそれで通用しそうだが、幾らかでも覚めた目を持つ者からしたら、大間抜けも良い処だ。
 
 上記②1>日本は促していくべきだ。と明言する以上「(宇宙空間)軍事化にブレーキをかける仕組み」なんてモノは、現状はない。左様なモノが「現状はない」以上、宇宙空間は現時点で既に事実として「想定しうる戦場」であり「軍事空間」である。我らが自衛隊に宇宙部隊が発足したという厳然たる事実も、これを証している。
 
 であるというのに、どうやら「日本国憲法や専守防衛等基本政策」なんて「日本の都合」を根拠に「(宇宙の)軍事化にブレーキをかける仕組み作り」を主張する。そりゃ主張するのは、朝日や毎日の勝手ではあるが、その実現性は「核無き世界よりは幾分マシ」程度とは、知るべきだな。つまり「可能性は殆ど無い。」
 
 諄いようだが繰り返そう。宇宙空間は既に「戦場」であり「軍事空間」である。我が国は安全保障上左様認識すべきであるし、認識している。今般の自衛隊・宇宙部隊発足は、その(かなりささやかな)第一歩である。
 
 「宇宙平和利用のための国際的ルール作り」も「宇宙軍事化にブレーキをかける仕組み作り」も、主張するのは勝手だし、左様な「努力」を日本政府が始める可能性も、無いではなかろうさ。
 だがその「努力」は、左様な「ルール」だか「仕組み」だかが有効に機能するまで、我が国は宇宙空間を防衛利用=「軍事利用」して我が国の安全安泰を図らねばならない。
 
 言い換えれば、左様な「努力」は、今般の自衛隊・宇宙策戦隊発足及びその後にあるであろう宇宙空間防衛利用を、阻害するモノではない。阻害するモノであってはならない。
 
 何故ならば、我が国の安全安泰は、左様な「ルール/仕組み」づくりよりも優先するからである。
 
 ああ、本来「日本国憲法」も「専守防衛等の基本政策」も、我が国の安全安泰よりも優先されるべきでは無い。特に後者は本来、「我が国の安全安泰のためのモノ」の筈なのだが(*1)な
 
  • <注記>
  • (*1) 断っておくが、我が国がその防衛方針として「専守防衛」を掲げている事は承知している。が、我が国が「専守防衛で安全保障できない」事態は十分に想定される。
  •  その場合「我が国は、専守防衛という基本方針に準じて滅亡すべきだ。」などとは、私(ZERO)は微塵も考えない。「国の存続は、大抵の事に優先する。」と考えるから、専守防衛も、日本国憲法も「我が国の安泰のためには、吹き飛ばしても構わない。」と考えて居る。
  •  ああ、憲法なるモノが、本来「国の根幹」であり「国自身」でもある筈、って建前なら知っているさ。だが、占領軍が俄仕立てででっち上げ、微修正しただけで発布以来70年間、「平和を愛する諸国民」なんて好都合な大前提もそのままである「日本国憲法」如きのために、我が国を滅ぼしてなるモノか、と考えている。
  •  多寡が、憲法である。完全放棄した所で、何程の事があろうか。