ふざけた「地上イージス不要論」-【東京社説】地上イージス 導入の是非から見直せ 他、アカ新聞揃い踏み
東京新聞と言えば、「脱原発原理主義(*1)」と揶揄されて、再三弊ブログのネットなっているバカ新聞、もとい、アカ新聞だが、「半田滋」記者をはじめとする軍事忌避・自衛隊差別・軍事音痴ぶりは、相当なモノがある。
ああ、勘違いしてはいけないぞ。思想の左右と軍事忌避・自衛隊/軍隊差別・軍事音痴との間に「直接の相関は無い」のだから、アカ新聞だって「軍事戦史に精通している」事は、可能な筈だ・・・理屈の上では、な(*2)。
だが、東京新聞ときたら・・・
- <注記>
- (*1) その典型例が、「原発を、再生可能エネルギーで代替して、二酸化炭素排出量を減らそう!」と言う、言い訳のしようも無い程誤ったキチガイ社説である。
- (*2) 「想像を絶する」ってのは、私も認めよう。
- ああ、朝日系列には、田岡ナントか言う”朝日印の軍事専門家”ってのが居るんだが、そこは「朝日印」なモノだから、とてもじゃぁないが「軍事専門家」なんて上等なモノでは無いぞ。「軍事マニア」としても、怪しいなぁ。
①【東京社説】地上イージス 導入の是非から見直せ
地上イージス 導入の是非から見直せ2020年5月8日 02時00分
【1】 地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」は、そもそも日本の安全保障に必要不可欠な防衛装備なのか。もはやどこに配備するかの問題ではなく、導入の是非から問い直すべきだ。【2】 弾道ミサイルを迎撃ミサイルで撃ち落とすミサイル防衛システムを、従来の艦艇ではなく、地上に配備するのが「イージス・アショア」だ。政府は秋田、山口両県の陸上自衛隊演習場二カ所に配備する現行計画のうち秋田市の新屋演習場への配備を断念した。【3】 新屋演習場への配備には住民や自治体が市街地に近いなどとして反対。加えて、防衛省は選定の妥当性を示す報告書を作成する際、現地調査をせず、インターネット上の地図データを使用して縮尺を間違えた上に、住民説明会で職員が居眠りをする大失態を演じた。地元の強い反対を踏まえれば、配備断念は当然だ。【4】 ところが、新屋演習場に代わる候補地については秋田県内の別の国有地を軸に選定するという。これではとても納得がいかない。【5】 そもそもイージス・アショアは日本の安全保障に不可欠なのか。【6】 安倍内閣は二〇一七年十二月、核・ミサイル開発を進める北朝鮮の脅威を念頭に、二基導入の方針を閣議決定したが、北朝鮮を起点にすると、秋田の先にはハワイ、山口の先にはグアムがある。【7】 日本国民を守るためと言いながら、ハワイとグアムに駐留する米軍基地を守るのが真の狙いと勘繰られても仕方があるまい。【8】 さらに、イージス・アショアは高額で、二基の取得費用に三十年間の維持・運用費、ミサイル発射装置や用地取得費、施設整備費を含めれば、少なくとも五千億円以上に膨れ上がる。【9】 米国が価格や納期の設定に主導権を持つ対外有償軍事援助(FMS)での調達でもあり、貿易不均衡の是正を主張するトランプ米大統領からの購入圧力か、大統領への忖度(そんたく)を疑わざるを得ない。【10】 海上自衛隊はすでに弾道ミサイルを迎撃するイージス艦を配備しており、新たに地上に配備しても巨費に見合う安全保障上の効果が期待できるのだろうか。【11】 日米同盟の強化を掲げる安倍晋三首相は政権復帰した一三年度予算以降、防衛費を増額し続けてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が収まらない中、費用対効果が疑わしい計画を漫然と続けていいとは思えない。貴重な財源は国民の命や暮らしを守るためにこそ振り向けるべきだ。
と思ったら、遅れて朝日、毎日も・・・
②【朝日社説】陸上イージス 計画見直しにつなげよ
陸上イージス 計画見直しにつなげよ2020年5月11日 5時00分
【1】 財政難のなか、巨額の費用に見合う効果があるのか。配備先の変更にとどめず、計画自体を見直す契機とすべきである。【2】 陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」のことだ。弾道ミサイルの脅威に備え、秋田、山口の東西2カ所で日本全体をカバーするというが、地元の強い反発を受けている。政府は秋田市の陸上自衛隊新屋(あらや)演習場への配備を断念する方針を固め、新たな候補地を選び直す作業を本格化させた。【3】 新屋は住宅地に近く、レーダーの電波の影響や、有事に標的となるリスクなどが懸念されていた。見直しは当然だ。【4】 東日本で「唯一の適地」とした防衛省の報告書にずさんな誤りが何カ所も見つかり、直後の住民説明会では職員が居眠りをする失態もあった。昨夏の参院選秋田選挙区では、反対派の野党系候補が当選。もはやごり押しはできないと、方針転換せざるをえなかったのだろう。【5】 それでも防衛省は、同じ秋田県内を軸に新たな配備先を検討しているという。秋田、青森、山形の3県を対象に「ゼロベース」で再調査を始めたはずではなかったか。「新屋ありき」が「秋田ありき」に変わっただけなら、とても地元の幅広い理解を得られるとは思えない。【6】 陸上イージスの費用は、東西2基で5千億円を超すとみられている。運用開始は早くても25年度以降となり、周辺国のミサイル技術の急速な進展に対応できるのかも疑わしい。【7】 自衛隊はすでに、イージス艦の迎撃ミサイルと地対空誘導弾「PAC3」の二段構えの体制をとっている。それに加えて陸上イージスを導入するのは、米国製兵器の大量購入を求めるトランプ米大統領への配慮という狙いも透けて見える。【8】 朝日新聞の社説は、限りある予算の中で、この計画の妥当性と実効性が厳しく吟味されねばならないとして、導入の再考を求めてきた。今がまさに、立ち止まるべき時である。【9】 防衛力の整備に長期的な視点が欠かせないのは確かだ。それでも国民の命とくらしを守るための喫緊の課題が、新型コロナウイルスへの対応であることに異論はあるまい。【10】 総額25兆円余の今年度補正予算の財源は、全額を国の借金である国債に頼っている。コロナ対策は長期化が予想され、生活支援や医療体制の拡充のための予算は、今後さらに膨れ上がることが予想される。【11】 財政事情は一段と厳しさを増していく。人々の生活を守るため、どこに財源を振り向けるのか。聖域なく予算全体を洗い直し、優先順位を過たぬ判断が、政府に求められる。
③【毎日社説】陸上イージス配備 立ち止まり考える機会に
陸上イージス配備 立ち止まり考える機会に
毎日新聞2020年5月9日 東京朝刊【1】 陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を秋田市の陸上自衛隊新屋(あらや)演習場に配備する計画が見送りになった。【2】 地元の強い反対を踏まえて方針を転換した。当然の判断だ。【3】 北朝鮮の弾道ミサイルを、地上の高性能レーダーで探知し、迎撃ミサイルで撃ち落とすシステムである。西日本では、山口県の陸自むつみ演習場に置く方針だ。【4】 周辺の住民は、レーダーの強い電波が体や生活に与える影響を不安に思っている。有事の際に、他国からの攻撃の標的になりかねないという懸念も訴えてきた。【5】 防衛省は、東日本では新屋が「唯一の適地」と結論付けたが、その調査報告書には重大な誤りが多数見つかった。直後の住民説明会では職員が居眠りをしていた。【6】 政府は秋田県内で別の配備先を検討する方針だ。しかし、ずさんな調査や不誠実な態度で地元の納得が得られるはずがない。【7】 日本のミサイル防衛は、海上のイージス艦が発射する迎撃ミサイルと、地上配備型迎撃ミサイル「PAC3」の二段構えだ。【8】 陸上イージスの導入が決まった2017年当時、北朝鮮は頻繁に弾道ミサイルを発射していた。しかし、イージス艦は4隻しかなく、日本海での常時警戒は負担が重かった。【9】 このため、地上にも同じようなシステムを配備して態勢を強化することを決めた。その後、イージス艦は増え、一部が訓練や整備中でも日本海に常時配備できる8隻態勢に近づいている。【10】 陸上イージスは、システムの価格が当初想定より大きく膨らんでいる。2基の配備と運用には5000億円超かかるとされている。米国製武器の購入を迫るトランプ米大統領の圧力が影響したと指摘されている。【11】 運用開始は早くても25年度以降とみられ、急速に進むミサイル開発に対応できるのかという問題もある。北朝鮮は従来型とは異なる変則的な軌道の弾道ミサイルを開発している。現在のシステムでは撃ち落としにくいとされる。【12】 安全保障政策は、不断の検証が必要だ。陸上イージスを配備して巨額の費用に見合う効果があるのか。これを機に、計画の妥当性を改めて考えるべきだ。
果ては、琉球新報まで。アカ新聞ほぼ揃い踏みだな。
④【琉球新報社説】地上イージス計画 コロナ禍に兵器爆買いか
地上イージス計画 コロナ禍に兵器爆買いか2020年5月9日 06:01【1】 政府が地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)に配備する現行計画案を断念し、秋田県内の国有地を軸に選定し直す方向で調整に入った。秋田県の佐竹敬久知事をはじめ地元が強く反対する中で、ごり押しは許されない。当然の帰結である。【2】 問題なのは事ここに至っても配備の方針を堅持していることだ。候補となる国有地は、新屋演習場を選んだ過程で浮上した場所が想定されている。ご都合主義も甚だしい。【3】 防衛省は昨年5月に秋田県に示した説明資料で、新屋以外の秋田、青森、山形3県の国有地について、配備候補地となり得ないことが分かった―と断じていた。【4】 ところが、レーダーに対する遮蔽(しゃへい)条件の面で不適とされた全9カ所で周辺の山の仰角が実際より大きく計算されていたことが間もなく明らかになる。前代未聞の大失態だ。【5】 防衛省は外部の専門業者に委託して東北地方で再調査を進める。秋田県内では、新屋演習場を除くと9カ所が対象だ。当初の報告書は、このうち5カ所を遮蔽条件のため適さないと結論付けていた。【6】 仰角が違っていた候補地については異なる評価もあり得るだろうが、報告書には「今回抽出した国有地18カ所全てについて、防護範囲のシミュレーションを実施したところ、新屋演習場、むつみ演習場(山口県)のように我が国全域を効果的に防護することはできないとの結果が出ました」との記述もある。【7】 再調査でどんな結論が出たとしても、後付けの理屈にしかならない。はいそうですか、と信用するわけにはいかないだろう。【8】 そもそも、イージス・アショアの必要性には大いに疑問がある。候補地の秋田、山口両県は、米ハワイ、グアムと北朝鮮を結ぶ直線上にあり、米国を守ることが真の目的ともいわれる。同時に飛来する多数のミサイルには耐えられないという見方が強い。【9】 2基の取得費、配備から約30年間の維持・運用費は計約4500億円と見込まれている。米国製兵器を売り込むトランプ政権の求めに応じた「爆買い」にしか映らない。【10】 新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため大規模な財政出動が必要とされる中で、「無用の長物」ともなり得る防衛装備に巨額の国費を投じる余裕などあるはずがない。政府は、イージス・アショアの配備計画を撤回し、白紙に戻すべきだ。【11】 政府が新屋演習場への配備案を見直すのは地元の理解が得られないためだ。他方、名護市辺野古の新基地建設では、県民投票で反対の民意が示されたにもかかわらず、埋め立てを強行し続けている。【12】 二重基準にも見える対応の落差だ。政府は沖縄でも民意を尊重する姿勢を示してもらいたい。県内移設を伴わない普天間飛行場の全面返還を追求すべきだ。
取って付けたような(イヤ、実際「取って付けた」のだろう)、辺野古移設反対論だな。
抽出「地上イージス導入を、是非から見直すべき理由」
例によって、丸数字は社説を引用した各紙を、【】はその社説内のパラグラフ番号である。
<理由1>「米国を守るモノ」と勘ぐられる①【7】④【8】
<理由2>財政が逼迫している(武漢肺炎禍云々を含む)/高い①【8】【11】②【1】【6】【11】③【10】④【10】
<理由3>イージス艦が既にある①【10】③【9】
<理由4>攻撃目標となりかねない。③【4】
<理由5>日本に必要不可欠か疑義ある①【1】【5】②【8】
<理由6>秋田県新屋演習場への配備は断念された。①【2】
<理由6>秋田県新屋演習場への配備は断念された。①【2】
<理由7>トランプ大統領への忖度では無いか。①【9】②【7】③【10】④【9】
<理由8>費用対効果に疑義がある。②【1】【8】③【12】
<理由9>周辺国のミサイル技術進歩に対応出来るか、疑わしい。②【6】③【11】
<理由10>同時に飛来する多数のミサイルに耐えられない(だろう)④【8】
<理由11>配備に地元の理解が得られないだろう。①【4】②【5】③【6】④【1】
・・・なぁんと言うか、「取り敢えず、着けられる限りのイチャモンをつけました」って感じなんだが。
ま、気を取り直して、一つずつ行こうじゃぁないか。今回は「ボスキャラ」を最初に倒してから、順次「雑魚」を取り扱おう。
<理由3>イージス艦が既にある①【10】③【9】
<理由5>日本に必要不可欠か疑義ある①【1】【5】②【8】
<理由3>「イージス艦がある」<理由5>「必要不可欠か疑問」と言う二つの理由はある意味「表裏一対」であるが・・・まあ、端的に言って「論外」だな。
<理由3>「イージス艦がある」と言うのを詳述すると、「我が国が既に保有するイージス艦に弾道ミサイル防衛機能があるから、地上イージスは不要。」となろう。これは一応「弾道ミサイル防衛」の必要性を射止めつつ、「タダ、イージス艦が既にあるから、地上イージスは不要」というロジックである。
だが、忘れては居ないだろうか。イージス艦(の一部)並びに地上イージスが担う弾道ミサイル防衛は、「広島、長崎の惨劇を、二度と繰り返させまい」とする、努力である、と言うことを。
無論、我が国に飛来して、攻撃してくる弾道ミサイルが、核ミサイルとは限らない。また、攻撃してくる弾道ミサイルを、イージス艦及び地上イージスが全弾撃墜できるとも限らない。運が悪ければ、「通常弾頭の弾道ミサイルは迎撃したが、核弾道の弾道ミサイル迎撃には失敗し、広島/長崎以上の惨禍が我が国を襲う」という事態だって、あり得るだろう。
だが、弾道ミサイル防衛は、我が国に飛来し、攻撃してくる核弾頭搭載かも知れない弾道ミサイルを迎撃する手段であり、繰り返すが「広島・長崎の惨劇を二度と繰り返させまい」とする努力である。これを<理由3>「イージス艦があるから不要」と断定断言するのは、余程の間抜けか脳天気だけだろう。地上イージスとイージス艦による、二重三重の防衛を張り巡らせても、決して罰が当たる案件ではあるまい。
況んや、<理由5>「必要不可欠か疑問」等と呑気に抜かせる奴ぁ、「一体何を考えて居るのか?」レベル。その「考え」を、じっくりとっくり問い質したいぐらい。ある意味「広島/長崎の原爆被害者たちに対する冒涜」とも言い得よう。
<理由2>財政が逼迫している(武漢肺炎禍云々を含む)/高い①【8】【11】②【1】【6】【11】③【10】④【10】
<理由8>費用対効果に疑義がある。②【1】【8】③【12】
<理由2>「高い」<理由8>「コストパフォーマンスが低い」は、「金目の問題」と括ることが出来よう。
だが、先述の通り「広島、長崎の惨劇を、二度と繰り返させまい」とする努力たる弾道ミサイル防衛を、何を以て<理由2>「高い」とか、<理由8>「コストパフォーマンスが低い」とか、断定断言するのであろうか。
確かに弾道ミサイル防衛「より安い」ないし「よりコストパフォーマンスが高い」方法ならば、ある。それは即ち、弾道ミサイル等による報復攻撃を準備する(大量)報復戦略である。特に、核弾頭つきミサイルであれば「大量で無くとも、報復攻撃力が高く、高い抑止力となる」ことが期待できる。これは、事実上の経済破綻国である北朝鮮が、核恫喝を以て我が国や米国を恐喝し居る事実が、明らかに示している。また、我が国の従来の防衛方針であった「専守防衛」を転換する必要もある。
我が国の核兵器保有にあれこれと障害があるのも事実だから、通常弾頭型にするとしても、相応に抑止力はある。こちらの方が「弾道ミサイル防衛よりも、安い/コストパフォーマンスが高い」可能性は、あるだろう。
だが、左様であるならば、<理由2>「高い」<理由8>「コストパフォーマンスが低い」を理由としての「地上イージスの是非も含めた再検討」は、その代替案たる(大量)報復戦略の採用(と、無論、専守防衛等従来の我が国防衛方針の大転換も )と、表裏一対であるべきだ。
逆に「専守防衛等従来の我が国防衛方針」を墨守だか遵守だかするならば、<理由2>「高い」<理由8>「コストパフォーマンスが低い」を理由として「地上イージスの是非検討」は、基本的に成立しない。
あ、(大量)報復戦略以外の「専守防衛等従来の我が国防衛方針」に沿った(且つ地上イージスよりも安い/コストパフォーマンスがが高い)「地上イージス代替案」があるならば、話は別だ。だが、その代替案を明示せずに(無いし、考えもせずに)<理由2>「高い」<理由8>「コストパフォーマンスが低い」を理由として「地上イージスの是非を検討しろ」と言う主張は、随分と無責任だ。
その主張が、我が国の(大量)報復戦略採用という、結構な変化につながると言うのに「地上イージス代替案を、考えもしない」ってのは、ま、ありそうなことではあるが、「絵に描いたような平和ボケ」と、言えそうだな。
<理由9>周辺国のミサイル技術進歩に対応出来るか、疑わしい。②【6】③【11】
<理由10>同時に飛来する多数のミサイルに耐えられない(だろう)④【8】
<理由9>と<理由10>は、「地上イージスの限界」と括ることが出来よう。「ハナから不要」と決めつけはしないが、「将来的に無駄になる。ないし不十分になる。」という予想・予断に基づく「地上イージスを是非を含めて再検討する理由」である。
これは、「地上イージスが、我が国にとって必要な装備か、否か?」という設問の「拡張」と見ることも出来よう。「今現在でも、多数同時の弾道ミサイルには対処できない。だから不要。」としたのが<理由10>で、幾らか「時間的余裕」を持たせて「将来的には対処できなくなる(可能性がある)。だから不要。」としたのが<理由9>である。
だが、この二つの「理由」は、一体「地上イージス」を、ナンダと、何であるべきだと、思っているのだろうか?
確かに「イージス」の原義はギリシャ神話に登場する「絶対不破の盾」ではある。だが現実の地上イージスは、イージス艦搭載のイージスシステムを地上に固定配置したモノでしか無い。従って、基本的に「イージスシステムの限界が、当然地上イージスの限界」である。イージスシステム自身は相当に(当時としては画期的な程に)将来発展性を持たせ、また拡張発展続けているシステムである。なればこそ、当初は「単なる防空システム(*1)」だったイージスシステムが「弾道ミサイル防衛の主役」となっている(*2)。
イージスシステムは元々、「(旧ソ連軍の)多数の航空機の同時攻撃に対処」するよう開発されたモノであり、「多数同時対処能力」は当時としては(そして今も)ピカイチだが、それでも「人民解放軍第2砲兵(ロケット軍)の総力挙げての一斉攻撃」に対処できる訳では無いだろうし、将来的に更に発達するであろう弾道ミサイル等対処も、現状のままでは困難だろう。
だが、今手に入る弾道ミサイル防衛技術としては、先ずベストであり、且つ将来発展性も相応に備えているのが、イージスシステムであり、地上イージスだ。
そのイージス/地上イージスを、<理由9>「将来の弾道ミサイル技術の発達」<理由10>「同時多数対処の限界」を以て「是非から再検討」し「非」となった暁には、選択肢は殆ど自動的に「弾道ミサイル等による(大量)報復戦略」か・・・「諦めて、ミサイル防衛実質放棄」ぐらいしか無いだろう。後者は、国としての国家安全保障策の放棄である。敗北主義であり、無責任でもある。
ああ、「イージス艦大量追加配備」って選択肢があったか。だが、2カ所の地上イージスを単純に代替するだけでも6隻のイージス艦がその乗員分の増勢も含めて必要であり、<理由10>「同時多数対処の限界」の為にはさらに2倍、3倍、N倍の増強が必要だと言うことを、忘れないで欲しいな。
そのイージス/地上イージスを、<理由9>「将来の弾道ミサイル技術の発達」<理由10>「同時多数対処の限界」を以て「是非から再検討」し「非」となった暁には、選択肢は殆ど自動的に「弾道ミサイル等による(大量)報復戦略」か・・・「諦めて、ミサイル防衛実質放棄」ぐらいしか無いだろう。後者は、国としての国家安全保障策の放棄である。敗北主義であり、無責任でもある。
ああ、「イージス艦大量追加配備」って選択肢があったか。だが、2カ所の地上イージスを単純に代替するだけでも6隻のイージス艦がその乗員分の増勢も含めて必要であり、<理由10>「同時多数対処の限界」の為にはさらに2倍、3倍、N倍の増強が必要だと言うことを、忘れないで欲しいな。
- <注記>
- (*1) と言っても、画期的な対航空機用防空システムなのだが。
- (*2) 我が国ではイージス&SM-3とパトリオットPAC-3の2段構えで、イージスの方が広範囲・上層担当だから、絶対的な主役。
- 米国だとこれに地上配備のTHAADやGDIが加わって(一応)四段構えとなるが、イージス艦で洋上配備出来るという利点もあり、主役は矢っ張りイージス&SM-3だ。イージス艦も、多いしね。
- イージス艦のイージスは、対ミサイル防衛、対空防御ばかりでは無い、凄まじいばかりの多機能ぶりなんだが。
<理由7>トランプ大統領への忖度では無いか。①【9】②【7】③【10】④【9】
話が、逆だろう。トランプ大統領への忖度であっても、我が国に必要ならば、導入すべきであるし、我が国に不要ならば、導入すべきでは無い。「トランプ大統領への忖度」であるか、無いかなど、議論するに価しない。
で、先行論じた通り、「広島、長崎に対する惨劇を二度と繰り返させるまい」という努力である地上イージス配備ないしその代替手段((大量)報復戦略、ないしイージス艦大増強 )が「不要」な訳が無い。
「トランプ大統領に対する忖度」を疑われなくて済みそうなのは、(大量)報復戦略の採用、ぐらいだねぇ。それも、(大量)報復手段を米国製ないし米国開発とせず、国産開発・国産趙佗撃つとした場合、だけだ。
<理由1>「米国を守るモノ」と勘ぐられる①【7】④【8】
コイツは、「それが、何か?」で終わってしまう議論だ。「日本が、米国を守るために、地上イージスを配備した。」と勘ぐられて、一体、何の問題があるのかね?
「対米戦争に巻き込まれる」かな?アメリカに対して中国だかロシアだか北朝鮮だかが始める対米戦争に、我が国が「局外中立」なんて、可能だと思っているのかね?
言っておくが、中立政策というのは、「誰とでも仲良くなれる政策」では無い。寧ろ「誰からも、敵と見なされうる政策」だ。第2次大戦下にその中立政策故に戦闘機の輸入が出来なくなったスウエーデンは、戦闘機の国産化を余儀なくされた。矢張り中立政策をとったスイスは「一朝有事の際には平地を捨てて山岳地帯に立て籠もる」計画を立てて、ドイツ軍と連合軍の侵略に備えた。スウエーデンもスイスも、当時徴兵制の重武装国家だ。
第一、我が国には既に「海上イージス」とも言うべきイージス艦を配備運用して久しく、弾道ミサイル防衛能力を持つイージス艦も既に配備運用している。公海上と我が国領海ならば配備勝手のイージス艦を、だ。「米国を守るモノ」とならば、とうの昔に「勘ぐられて」居るわ。今更地上イージスを日本領土に配備しなくなったって、関係なかろうが。
従って・・・幾ら「無知は力」とは言え、斯様な<理由1>を以て「地上イージスを是非も含めて再検討」なんてのは、論外だ。
<理由4>攻撃目標となりかねない。③【4】
コイツも非道いね。「丸腰のモノは撃たれない」ってキチガイが居たが、その主張と変わるところが無い。或は、「軍隊があるから、戦争が起きる」や、その裏返しである「基地や軍隊が無ければ、戦争は起きない。」という主張と同根。平たく言えばバカかキチガイ。「平和ボケ」とも言うかも知れないが、それも「バカかキチガイの一種」だろう。
あ、敗北主義の売国奴って、可能性が、一応残っているか。まあ、何にしろ、論外だな。
大体、弾道ミサイル防衛を目的とする地上イージスなんてのは、専守防衛の権化のような施設。そいつを攻撃目標とするようなヤツバラは、大量報復戦略による「仕返し」こそが相応しかろう。
<理由11>配備に地元の理解が得られないだろう。①【4】②【5】③【6】④【1】
<理由6>秋田県新屋演習場への配備は断念された。①【2】
有り体に言って<理由6>が「地上イージスを是非も含めて再検討する理由」とするのは、相当な牽強付会である。喩え「新屋演習場への地上イージス配備が断念された」としても、それは「一つのつまずき」でしか無い。地上イージスの基地としては「本州の両端が適地」であることに変わりは無いのだから、その次は秋田県内なり近県なりに適地を探すのが、理の当然というモノだ。たかだか「新屋演習場への配備が断念された」ぐらいで、地上イージスの是非が問われる、訳が無い。
似たような<理由11>ってのも「論外」に近い。「地元の理解が得られない」ならば「得られるように努力する」のが筋であって、「得られないだろうと言う予測」で以て「配備を断念する」なんてのは、本末転倒、とは言わぬまでも「角を矯めて牛を殺す愚行」ではあろう。
大体、我が国の防衛のために必要な装備は、「我が国の防衛のために必要」なのであるから、必要とあれば「如何に地元住民が反対しようとも、配備しなければならない」のであり、また配備することが国としての、国家安全保障上の責務であり、責任である。
結論。「地上イージス配備」を「非」とするのは、その代替手段との比較が不可欠である。
而して「地上イージスの代替手段」とは、「弾道ミサイル等の(大量)報復戦略」の導入か、「イージス艦の大幅増強」ぐらいである。
「地上イージスの代替手段」を考えすらもせず、「是非を含めて再検討」を求めるなんぞ、無責任極まりない。
まあ、日本のマスコミの安全保障論が、「責任あるモノであった」ことなんて、トンと覚えが無いのだけどね。