果たして「安倍方式」は無理筋なのか?毎日社説に見る「桜を見る会前夜祭」の「問題点」
「桜を見る会」を追求すると、ブーメランになって民主党政権時代の「桜を見る会」にも波及するから、なのだろうな。昨今の夜盗、もとい、野党の「トレンド」は、「桜を見る会前夜祭の追求」であるらしい。
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<注記>
- (*1) 「安倍政権の桜を見る会はケシカラン」が、「民主党政権時代の桜を見る会はセーフ」って理屈
【毎日社説】安倍首相の国会答弁 だれが聞いてもおかしい
安倍首相の国会答弁 だれが聞いてもおかしい
毎日新聞2020年2月9日 東京朝刊
【1】 衆院予算委員会の審議が本格化している。際立つのは「桜を見る会」をめぐり、だれが聞いても不自然に感じる安倍晋三首相の答弁だ。
【2】 後援会主催の前夜祭に関して、参加者一人一人が5000円を支払う「契約」をホテル側と毎年交わしてきたと首相は説明した。
【3】 首相の事務所はそれを仲介しただけで、事務所とホテルの間では金額や料理などの条件で「合意」したのにとどまると主張した。
【4】 しかし、昨年は東京都内の高級ホテルに支持者ら約800人を集めたほどの大規模な政治集会だ。自分がホテルとの契約当事者だと認識して参加した人はまずいないだろう。
【5】 首相は後援会のメンバーが焼き肉屋などで開く会費制の懇親会を引き合いに「よくあるのではないか」と述べた。内輪の小規模な会食と同列に論じるのは詭弁(きべん)である。
【6】 前夜祭をめぐっては、会費の不足分を首相側が補?(ほてん)したのではないかと野党が追及している。そうであれば公職選挙法の禁じる買収や寄付行為に当たる可能性がある。
【7】 疑念を晴らしたければ領収書や明細書などをそろえて収支を公表すれば済む。無理な答弁を重ねているのは、公表したくない不都合な事情があるからではないのか。
【8】 事務所が契約主体であれば収支報告書に記載しなければならない。しかし、参加者がホテルと契約した形にすれば記載義務は生じない。首相はそう主張したいのだろうが、この言い分は通らない。
【9】 これが認められるなら、政治活動の収支報告を義務づけた政治資金規正法の抜け穴になりかねない。
【10】 野党が「安倍方式」と名付けて批判したのに対し、首相は他の政治家が同様の政治活動の収支を報告しなくても「同じ方式であれば問題ない」と言い切った。これでは政府が脱法的な手法を推奨したに等しい。
【11】 桜を見る会の参加者について「幅広く募ったが募集はしていない」との首相答弁も意味不明だ。もはや説明できなくなっているのだろう。
【12】 新型肺炎対策など重要な政策課題がある中、スキャンダル追及を続ける野党に批判的な声も聞く。
【13】 だが、首相の繰り返す破綻した強弁が本来の国会論戦を妨げているのではないか。
正味の所、「桜を見る会前夜祭が槍玉に挙がっている」とは知っていたが、こんな屁理屈で槍玉に挙がっているとは、知らなかったぞ。
<理由3> 「幅広く募ったが、募集はしていない。」との首相答弁も意味不明だ。 【11】
<理由3> 「幅広く募ったが、募集はしていない。」との首相答弁も意味不明だ。 【11】
<理由2> 前夜祭の会費不足を首相側(後援会)が補填したならば、公職選挙法違反の可能性がある。 【6】
即ち、上記<理由2>の前半、「前夜祭の会費不足を首相側(後援会)が補填した」と言う、大きな前提条件が。
<理由1> 前夜祭を「参加者と会場たるホテルとの個別契約」とする首相の説明は不自然だ。実際・実態は「主催者たる安倍首相後援会とホテルの契約」であり、政治資金規正法により収支報告の義務があるのではないか。【1】【2】【3】【4】【5】【8】【9】【10】
政治資金規正法を紐解けば、「政治活動の収支報告を義務づけた」というのが政治資金規正法の一面であることは容易に理解できよう。安倍首相後援会が同法の言う「政治団体」として届け出られている(これも、政治資金規正法による届け出)のも先ず間違いなさそうだ。
仮に、「桜を見る会前夜祭の幹事役」を「政治活動」と見なしたとすると、「桜を見る会前夜祭の会費」は、同法で言う「個人からの政治団体に対する寄附」と見なさざるを得ず、「一人年間5万円未満」なので、第十二条(報告書の提出)により「報告内容はごく簡単なモノで済む(「桜を見る会前夜祭会費徴収 総額□円 △年○月×日」で済む。「何処の誰から幾ら」は、報告不要。第九条により帳簿記載は必要 )」のは結構だが、第二十二条(政治資金団体に係わる寄附の方法の制限)により、「口座振り込み」に限られるのである。
徴収された同前夜祭会費は「個人から後援会に対する寄附」であり、政治資金規正法により帳簿記載及び(簡素ながら)報告の義務がある。
また、同前夜祭会費を口座振り込み以外で徴収することは、政治資金規正法違反である。 【野党方式(仮)】
を比較して、<解釈1>【安倍方式】と、<解釈2>【野党方式(仮)】の、どちらがよりマシな解釈で、無理が無く、現実的であるか、だ。
政治資金規正法 抜粋
☆第四条 この法律において「収入」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の収受で、第八条の三各号に掲げる方法による運用のために供与し、又は交付した金銭等(金銭その他政令で定める財産上の利益をいう。以下同じ。)の当該運用に係る当該金銭等に相当する金銭等の収受以外のものをいう。2 この法律において「党費又は会費」とは、いかなる名称をもつてするを問わず、政治団体の党則、規約その他これらに相当するものに基づく金銭上の債務の履行として当該政治団体の構成員が負担するものをいう。3 この法律において「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう。4 この法律において「政治活動に関する寄附」とは、政治団体に対してされる寄附又は公職の候補者の政治活動(選挙運動を含む。)に関してされる寄附をいう。5 この法律において「支出」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、第八条の三各号に掲げる方法による運用のためにする金銭等の供与又は交付以外のものをいう。
第五条 この法律の規定を適用するについては、次に掲げる団体は、政治団体とみなす。一 政治上の主義又は施策を研究する目的を有する団体で、衆議院議員若しくは参議院議員が主宰するもの又はその主要な構成員が衆議院議員若しくは参議院議員であるもの二 政治資金団体(政党のために資金上の援助をする目的を有する団体で、第六条の二第二項前段の規定による届出がされているものをいう。以下同じ。)2 この法律の規定を適用するについては、法人その他の団体が負担する党費又は会費は、寄附とみなす。
☆(会計帳簿の備付け及び記載)
第九条 政治団体の会計責任者(会計責任者に事故があり、又は会計責任者が欠けた場合にあつては、その職務を行うべき者。第十五条を除き、以下同じ。)(会計帳簿の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、会計帳簿を備え、これに当該政治団体に係る次に掲げる事項を記載しなければならない。一 すべての収入及びこれに関する次に掲げる事項イ 個人が負担する党費又は会費については、その件数、金額及び納入年月日ロ 寄附(第二十二条の六第二項に規定する寄附(*1)を除く。以下ロ及び第十二条第一項第一号ロにおいて同じ。)については、その寄附をした者の氏名、住所及び職業(寄附をした者が団体である場合には、その名称、主たる事務所の所在地及び代表者の氏名。次条第一項及び第二項並びに第十二条第一項第一号ロにおいて同じ。)、当該寄附の金額(金銭以外の財産上の利益については、時価に見積もつた金額。以下同条までにおいて同じ。)及び年月日並びに当該寄附をした者が第二十二条の五第一項本文に規定する者であつて同項ただし書に規定するものであるときはその旨
- <注記>
- (*1) ってのは、「その金額が千円以下の寄附及び不動産の譲渡または貸付け(地上権の設定含む。)による寄附については、この限りでは無い。」を指す、らしい。
☆(報告書の提出)第十二条 政治団体の会計責任者(報告書の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、毎年十二月三十一日現在で、当該政治団体に係るその年における収入、支出その他の事項で次に掲げるもの(これらの事項がないときは、その旨)を記載した報告書を、その日の翌日から三月以内(その間に衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の公示の日から選挙の期日までの期間がかかる場合(第二十条第一項において「報告書の提出期限が延長される場合」という。)には、四月以内)に、第六条第一項各号の区分に応じ当該各号に掲げる都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に提出しなければならない。一 すべての収入について、その総額及び総務省令で定める項目別の金額並びに次に掲げる事項
イ 個人が負担する党費又は会費については、その金額及びこれを納入した者の数
ロ 同一の者からの寄附で、その金額の合計額が年間五万円を超えるものについては、その寄附をした者の氏名、住所及び職業、当該寄附の金額及び年月日並びに当該寄附をした者が第二十二条の五第一項本文に規定する者であつて同項ただし書に規定するものであるときはその旨
☆(政治資金団体に係わる寄附の方法の制限) 第二十二条の六の二
(政治資金団体に係る寄附の方法の制限)第二十二条の六の二 何人も、政治資金団体の預金又は貯金の口座への振込みによることなく、政治資金団体に対して寄附をしてはならない。ただし、その金額が千円以下の寄附及び不動産の譲渡又は貸付け(地上権の設定を含む。)による寄附については、この限りでない。2 政治資金団体は、その寄附を受ける者の預金又は貯金の口座への振込みによることなく、政治活動に関する寄附をしてはならない。前項ただし書の規定は、この場合について準用する。3 何人も、前二項の規定に違反してされる寄附を受けてはならない。4 第一項若しくは第二項の規定に違反してされる寄附に係る金銭若しくは物品の提供があつたとき又は前項の規定に違反して金銭若しくは物品による寄附を受けたときは、これらの金銭又は物品の所有権は、国庫に帰属するものとし、その保管者又は当該寄附を受けた者は、政令で定めるところにより、速やかにこれを国庫に納付する手続をとらなければならない。
⇒ つまり、今般の「桜を見る会前夜祭会費」を「寄附」と見た場合、その徴収は全て口座振り込みによらないと、政治資金規正法違反となる可能性がある。
さらには、「口座振替に依らない寄附」は、4項により国に納めなければならない。現金で受け取った「桜を見る会前夜祭会費」は、そのまま国の収入としなければならない、訳だ。「桜を見る会前夜祭会費」を「政治団体に対する寄附」と見なす限りは。
☆【参考】政治団体及び政治資金団体の定義 第五条
第五条 この法律の規定を適用するについては、次に掲げる団体は、政治団体とみなす。一 政治上の主義又は施策を研究する目的を有する団体で、衆議院議員若しくは参議院議員が主宰するもの又はその主要な構成員が衆議院議員若しくは参議院議員であるもの二 政治資金団体(政党のために資金上の援助をする目的を有する団体で、第六条の二第二項前段の規定による届出がされているものをいう。以下同じ。)