「再考を。」言うだけだったら、タダだよな。-【朝日社説】香川ゲーム条例 危うい規制、再考を +1
応援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/ranking.html
下掲する①朝日社説と②毎日記事からすると、新聞記者とか学者先生ってのは、「第三者というお気楽な立場を貫ける、気楽な商売」だというのが、結論ではないかな。
そりゃ「ゲーム依存症」なんてモノは、「第三者ならぬ、当事者意識を持て」と言われて「持てる」モノでは無いだろうし、新聞記者や学者先生に「当事者意識を持つ」ことを期待すべくも無かろう。私(ZERO)自身、「ゲームはするが、依存はしない」から「当事者意識を持っていない」ことも事実として認めるが、少なくともある程度の当事者意識(と、多分に危機感)を持って香川県が定めた「ゲーム時間一律制限」する「香川ゲーム条例」を、無下に否定したりはしないぞ。
①【朝日社説】香川ゲーム条例 危うい規制、再考を
香川ゲーム条例 危うい規制、再考を
2020年1月23日 5時00分
【1】 インターネットやコンピューターゲームの利用にのめり込む依存症への対策は急務だ。【2】 だからといって、子どもに対する保護者の責任や親子間の愛着を育む大切さを強調し、一律に利用を制限するような考えには危うさを禁じ得ない。再考するべきだ。
【3】香川県議会が「ネット・ゲーム依存症対策条例」(仮称)の素案を決めた。意見の公募を経て2月からの議会で成立させ、4月に施行するという。【4】 条例は18歳未満への対策が中心だ。依存症は学力や体力の低下、ひきこもりや睡眠、視力の障害を招くと問題視。県や学校、保護者についてそれぞれの責任を示し、協力して対策に取り組むよう求めている。【5】 目を引くのは、保護者の責任と役割への言及、それを踏まえた利用制限の基準である。【6】 子どもを依存症から守る責任はまず保護者にあることを自覚すべきだ。乳幼児期から子どもと向き合う時間を大切にし、安定した愛着を育むよう努めねばならない。保護者は子どものネットやゲームの利用を適切に管理する責務がある――。【7】 その上で、利用はコンピューターゲームが1日当たり60分、学校の休みの日は90分まで。スマホなどのネット接続機器では中学生以下が午後9時までで、それ以外は10時まで。このように基準を示し、ルール作りとそれを子どもに守らせる努力義務を保護者に課した。【8】 親子間で話し合い、適切な使い方を探ることは大切だろう。しかし暮らしの状況は多様だ。そのことを顧みず、家庭という私的な領域に枠をはめようとする姿勢には違和感や嫌悪を感じる人が少なくあるまい。【9】 実際、素案に先立ち公表した原案への県民らの意見は批判が多数を占め、「家庭への介入だ」「(制限の)数字の根拠が不明」といった内容が中心だった。県議会は、使用を1日60分までとする対象を、原案のスマホ等から素案ではコンピューターゲームに限定。利用時間などはあくまで基準だと改め、ルール順守も努力義務にゆるめたが、その過程は条例の内容のあいまいさも浮き彫りにした。【10】 ネット依存の疑いが強い中学・高校生は全国で93万人と推計されている。依存の中でも日常生活や健康に支障をきたす「ゲーム障害」は昨年、世界保健機関から疾病と認定された。対策の強化は欠かせない。【11】 医療や保健、教育、ネット・ゲーム業界の関係者が連携して予防策を練り、相談体制を充実させる。学校や地域など多様な場で、子どもを中心に議論を重ねる。そんな取り組みが大切であることを肝に銘じたい。
で、一体何をどうしろと?
最後の①【パラグラフ11】に「医療や保険、教育、ネット・ゲーム業界の関係者が連携して予防策を練り、学校や地域など多様な場で、子どもを中心に議論を重ねる。」等と実に尤もらしいご託が並んでいるが,「関係者が連携して予防策を練り」も「議論を重ねる」も,相当に時間がかるのだから、「当面無策」と同義語だ。大体,「予防策を練って議論を重ねた結果,矢張り現行香川ゲーム条例と同じく一律ゲーム時間制限」って「オチ」だってあり得ようが。
冒頭の①【パラグラフ1】で「インターネットやコンピュータゲームの利用にのめり込む依存症への対策が急務だ。」とぬけぬけとヌカしておいて,一律ゲーム時間制限するという香川ゲーム条例を非難し否定した挙げ句に「当面無策」を推奨するとは、トンデモナイ無責任ではないか。
②【毎日】ゲーム時間制限「9割は依存と無関係」香川県条例案批判 高松で学習会
ゲーム時間制限「9割超は依存と無関係」香川県条例案批判 高松で学習会毎日新聞2020年1月27日 08時41分(最終更新 1月27日 08時41分)
香川県議会が4月の施行を目指している「ネット・ゲーム依存症対策条例」(仮称)について考える市民学習会が25日、高松市の高松商工会議所であった。講演した井出草平・大阪大非常勤講師はゲーム依存に陥るのは1割に満たないとする海外の研究結果を挙げ、「一律の時間制限は9割以上の無関係の人を巻き込む」と条例案に疑問を投げかけた。
漫画やアニメ、ゲームなどの保護を目指すコンテンツ文化研究会が主催し、約60人が参加した。
井出さんは社会学と精神医学が専門で、引きこもりや不登校について研究している。講演では14~40歳以上を対象にしたドイツの調査結果(2014年)を紹介。ゲームをしても9割超は依存の問題を抱えなかったとし、「(条例案のように)全員にアプローチするのは合理性に欠ける」と述べた。
16歳未満のネット接続を制限する制度を11年に導入した韓国の事例についても説明。効果は一時的なものにとどまったとし、時間制限の有効性自体にも懐疑的な見方を示した。
ネット・ゲーム依存の背景にはうつ病や不安症などの精神障害も関係しているといい、「対象者を発見し、アプローチするのが一番だ」と個別の取り組みが有効と訴えた。
県議会の検討委が20日に公表した条例素案には、ゲーム時間を1日60分(休日は90分)以内とするなど18歳未満が対象の時間規制が盛りこまれている。【金志尚】
「ゲーム依存症に陥る1割」を、ゲーム依存に陥る前に選別できるのか?
その選別が出来ない、ないし困難ならば、ゲーム依存症対策の対象者は「既にゲーム依存症に陥った者」だけであり、予防は全く出来ず,発症後の「対症療法」しかない。それしかしない、つもりなのかね?
「兵は拙速を尊ぶ」と言うのだ。一律のゲーム時間制限・時刻制限とて、次善の策ではあろうが。
「拙速」というのは,大抵否定的なニュアンスで使われるが,「兵は拙速を尊ぶ」とは「拙速であれ」と推奨しているのである。なればこそ,「忌むべきは巧遅」と続くのだ。
上記①朝日社説の「「医療や保険、教育、ネット・ゲーム業界の関係者が連携して予防策を練り、学校や地域など多様な場で、子どもを中心に議論を重ねる。」だの、上記②毎日記事の「対象を発見し,アプローチするのが一番だ」だのヌカして「当面無策」とすることこそ、正に「巧遅」であろう。下手すると「全国民の1割がゲーム依存症に陥る」事態を招きかねない。それも「ゲーム依存症”罹患率”が1割」としてだ。
左様な事態を防ぐのがゲーム依存症予防であり,予防というのは「全員にアプローチ」が基本だろうが。
しかしまあ,上掲①朝日社説のような「尤もらしいキレイゴトの建前論」は、未だ「そう言う発想・主張もあるよな(*1)。」と「理解」出来るモノの(納得も同意も出来ないが)、上掲②毎日記事に登場する井出草平・大阪大非常勤講師様の「理屈倒れの頭でっかちさ」と来たら,正に「見物」ではないか。
しかしまあ,上掲①朝日社説のような「尤もらしいキレイゴトの建前論」は、未だ「そう言う発想・主張もあるよな(*1)。」と「理解」出来るモノの(納得も同意も出来ないが)、上掲②毎日記事に登場する井出草平・大阪大非常勤講師様の「理屈倒れの頭でっかちさ」と来たら,正に「見物」ではないか。
「ゲーム依存症に陥るのは1割だから,全員を規制するのは不合理だ。」「対象者を発見し,アプローチするのが一番だ。」と、一見尤もらしいが、先述の通り「ゲーム依存症に陥るのは1割」をゲーム依存に陥る前に選別しないと,予防にはならない。
「ネットゲーム依存の背景にはうつ病や不安症などの精神障害も関係している。」とも断言されているから、「ゲーム依存症に陥るのは1割」選別法はある種の精神病診断とならざるを得ない。それも予防するためには,基本「対象年齢の全員にある種の精神病診断」を実施して,その結果から「ゲーム依存症に陥るのは1割」を選別して、漸く「アプローチ」出来ることになる・・・凄まじいまでの人権問題を孕んで居るんじゃぁないか?この大阪大学非常勤講師様の,一見・一聴尤もらしい御講演は。
バカは死んでも治らないそうだが、学者バカってのも、やっぱり治らないのかな。
-
<注記>
- (*1) 先述の通り「当面無策」であるから、とても責任ある主張とは言えないのだが。