訳のわからぬ「軍拡反対」論ー【東京社説】軍拡競争 「宇宙軍」は映画だけに
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社説タイトルからすると、航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」に改称・改編することに対する反対論、らしいのだが、なぁにしろ主張がぶっ飛んでいて、私(ZERO)の様な「異教徒(*1)」は、論旨を追うのさえ苦労する。一読ぐらいでは「キチガイが書いたのじゃないか」と思える主張が、下掲東京新聞社説だ。
だが、再三繰り返す通り、「異論・異説は己が思考の水平線を拡張する機会となる、可能性がある。」のであるから、「キチガイが書いたのじゃないか」と思える言説でも、何らかの「思考の水平線拡張の機会」たり得る・・・正直、余り自信は無いが。
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<注記>
- (*1) 「平和教徒」とか「憲法9条信者」とか「憲法変えちゃぁいけない教信者」ならざる者、と言う意味で「異教徒」。
- 些かなりとも常識と知識があれば、大抵「異教徒」になる、と思うんだがねぇ。私(ZERO)の様な「殆ど生まれながらの右翼」でなくとも。
【東京社説】軍拡競争 「宇宙軍」は映画だけに軍拡競争 「宇宙軍」は映画だけに2020年1月10日
【1】 お正月映画で「スター・ウォーズ」が公開されている。迫力のある戦闘シーンが魅力の一つだが、現実の世界でも今、宇宙空間の軍事利用が注目されている。「邪悪な企て」ではないのか。
【2】 新年早々、政府は航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」に改称する方向と報道された。米国は昨年十二月に宇宙軍を発足させている。中国やロシアも宇宙空間の軍事利用に力を注いでいる。インドは昨年三月、軌道上の衛星を破壊する実験に成功し、「宇宙大国」の仲間入りをしたと発表した。
【3】 宇宙軍は流行の先端のように見えるが、実情は違う。
【4】 インドの実験後、米航空宇宙局(NASA)は「実験で四百個もの宇宙ごみが発生し、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在している宇宙飛行士に危険が及びかねない」と非難した。
【5】 宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると二〇一七年現在、地球軌道を飛ぶ人工衛星は四千四百基を超えるという。軍事衛星もあるが、衛星利用測位システム(GPS)や気象などの地球観測、通信といった実用衛星である。人工衛星も宇宙ごみとの衝突を避けるためにしばしば、軌道の変更を迫られている。
【6】 スター・ウォーズで見るような戦闘が行われれば、大量の宇宙ごみが発生し、宇宙空間の利用が難しくなる。先進国であればあるほど、望まないシナリオである。しかも、米スペースX社は現在、四万二千基もの小型衛星の打ち上げ計画を実行している。通信だけでなく、地球観測や軍事にも利用される。もはや衛星を一基一基、撃ち落とすという発想が時代遅れになっている。
【7】 ハリウッド俳優から米大統領になったレーガン氏は、一九八三年にいわゆるスター・ウォーズ計画を発表。米国と旧ソ連は宇宙軍拡を競った。これが九一年のソ連崩壊につながったともされる。米国も財政悪化に苦しんだ。映画を見て思い出すべきは、戦闘シーンではなく、軍拡競争の愚であろう。
【8】 国連は五九年に宇宙空間平和利用委員会を設置し、宇宙条約などが締結されている。条約は平和利用が原則だが、通常兵器で非侵略という目的であれば制限がない。
【9】 日本でも六九年に「宇宙の平和利用」を衆議院が全会一致で決議している。政府は国連の場などを通じて、宇宙条約の平和利用を強化し、軍拡競争の流れを止めることに力を注いでほしい。
軍事忌避の軍人蔑視は東京新聞の勝手だ。だが、事は国家存亡にも関わる安全保障問題だ。
お花畑全開の「空想的平和主義」如きで、「軍拡競争の流れを止める」なんぞ、それこそ空想・妄想レベル。非現実的だ。
況んや、
1> 映画(スターウオーズ)を見て思い出すべきは、戦闘シーンではなく、軍拡競争の愚であろう。
・・・映画「スターウォーズ(*1)」を見て「軍拡競争の愚を思い出す」変態は、東京新聞社ぐらい(*2)じゃぁないのかね?
A.C.クラークの「白鹿亭綺譚」には、とあるSF特撮番組を巡る「軍拡競争」って話(*3)がある。あるいは御厨さと美の短編SF漫画(確か、4頁ぐらい)「俺の嫌いな戦争」では、極限まで発達した全自動兵器(且つ、”並みの恒星ならば輪切りに出来る”大威力)が実現した「退屈な戦争」が痛烈に描かれる(*4)。こうしたSF作品を見て/読んで「軍拡競争の愚を思い出す」事ならありそうだが、娯楽大作スターウオーズで、だぞ。
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<注記>
- (*1) 私(ZERO)の嫌いなSFの一つである。「ロジカル・論理的でない」から、嫌いなのである。
- あのビームサーベルだかライトセイバーだかで「”刃”を受け止める」って現象に一定の科学的説明が無い限り、スターウォーズを「まともなSF」とは認めないぞ。
- SFと言うと「荒唐無稽」の代名詞の様に言われることもあるが、ロジカル・論理的なSFってのもあるし、その方が面白いんだよ。少なくとも、私(ZERO)にとっては。
- (*2) ああ、朝日や毎日、沖縄二紙のアカ新聞記者ならば、可能性はあるか。
- (*3) ネタばらしになるといけないので詳しくは書かないが、MkⅠから始まる(ってところが、イギリス人らしいが)SF特撮用の兵器がドンドン派手になっていって、遂にMkXⅢで・・・・って話。
- (*4) こちらはごく短い短編だから、「ネタばらしに当たらない」考えた。
気を取り直して、チョウセンジン並みにぶっ飛んだ当該東京社説を見ていこう。
例によって、冒頭から順に見て、論旨を追うのが良かろう。チョウセン紙のぶっ飛び記事に対するのと、同じ手法だ。
【パラグラフ1】ツカミは「スターウォーズ」
そりゃ「スターウォーズ」シリーズと言えばどれもこれも大作映画=製作に金がかかっている。根強いファンも居るそうだし、今回も随分宣伝しているらしいから、ツカミには恰好の素材だろう。
そのスターウォーズの「魅力的な戦闘シーン」を紹介しつつ、「現実の宇宙空間軍事利用」を「「邪悪な企て」ではないのか。」と、「疑義を呈する」形にはしているが、「邪悪」なんて非常にネガティブな表現使って言わんとしているのは、「宇宙空間軍事利用の全否定」だろう(*1)。
宇宙空間の「軍事利用」も「平和利用」も「利用法の一つ」でしかないのだから、その賛否は兎も角、「善悪正邪」なんて恣意的基準で判断されて溜まるモノか!と「異教徒」たる私(ZERO)は考えるのだが、どうやら東京新聞記者にとって「宇宙空間の軍事利用は、“邪悪な企み”らしい。」と「理解」することにして(別に、納得はしていない)、先に進むとしよう。
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<注記>
- (*1) それって、「スターウォーズの戦闘シーンの全否定」でもあるのだが。
- ああ、「氷の惑星ホス(だっけ?ATATスノーウォーカーがすっ転ばされる奴)の地上戦」なんかは、別か。
【パラグラフ2】いきなり「宇宙軍」
此処では、「タイトルからすると、本命の批判対象か?」と思われた「航空自衛隊の航空宇宙自衛隊への改称/改編」が登場する。
この後の論旨展開に見るような「映画スターウォーズを見て、軍拡競争の愚を思い出し、全世界の宇宙軍廃絶/創設禁止を安倍首相に求める。」と言うのは「ストーリーとしては一応成立するが、相当に無理がある。」と言うのが「異教徒」たる私(ZERO)の考えだ。アメリカ宇宙軍をトランプ大統領が宣したのは昨年だし、遡ると1985年にも一度結成されている。ロシア宇宙軍結成は2001年で、2011年にロシア航空宇宙防衛軍となり、2015年に空軍と統合されてロシア航空宇宙軍となった・・・って事ぐらいは、ウイキペディアを見れば即座に知れる(別途”裏を取る”のが、新聞記事としては必要だろうが。)
「宇宙の軍事利用」となると更に遡れる。その際たるモノと言えるSDI(戦略防衛構想)計画はレーガン大統領の頃であり、多分に揶揄を込めて「スターウォーズ計画」とも呼ばれたことは、【パラグラフ7】にもある通りだ。
かかる史実事実を踏まえるならば、今般の「映画・スターウォーズ最新作」を契機として「軍拡競争の愚を思い出す」と言うのも「宇宙軍廃絶/創設禁止」を主張するのも、随分と時機を逸している。本当の契機は「航空宇宙自衛隊への改称/改編」に違いない、と示唆するのが、この【パラグラフ2】であり、些か調査不足(ないし記述不足)の感はあるが「世界の宇宙軍」に触れているだけ、東京新聞としてはマシな方、と考えるべきだろう。
【パラグラフ3~6】意味不明な「宇宙軍は流行の先端ではない」説
【パラグラフ3】で、
1> 宇宙軍は流行の先端のように見えるが、実情は違う。
と来た。だが、その理由・根拠として続く【パラグラフ4~6】であげているのは、随分と的外れな屁理屈だ。特に【パラグラフ4~5】で述べているのは「敵人工衛星破壊は、宇宙ゴミを発生させる」でしかない。「宇宙ゴミの発生は、自軍人工衛星にとって不利益」と言うのは事実としても、「宇宙ゴミの発生を回避するため、敵人工衛星を攻撃しない」なぁんてことが、どれ程あり得るだろうか?
逆に「敵人工衛星を攻撃する」と決意・決断したならば、「宇宙ゴミの発生」なんてのは「受容しうるリスク」の一つでしかなかろう。「宇宙ゴミの発生」は「敵人工衛星を攻撃する」決意・決断のハードルを高めるかも知れないが、阻止するモノでは無い。なればこそ、人工衛星攻撃兵器は研究され、開発され続けている。上掲東京新聞社説にある通り、インドが正に実験して見せた通りだ。
【パラグラフ6】後半にだけ登場する、
【パラグラフ6】後半にだけ登場する、
2> もはや衛星を一基一基、撃ち落とすという発想自体が時代遅れになっている。
とは、平たく言って「攻撃対象たる人工衛星の数が多い」と、言っているだけだ。撃ち落とすべきは敵側の人工衛星だけだし、偵察衛星などに限れば数は更に絞れる。
第一、目的は「敵人工衛星を無力化」すれば足りるのだから、必ずしも「撃ち落とす」必要は無い。その意味で「撃ち落とす発想は時代遅れ」と言う指摘には首肯しうる点もあるが、「数が多いから、敵人工衛星に対して何もしない」訳では無い。破壊せずに丸ごと機能を失わせるとか、低下させるとか、「宇宙ゴミを増やさない攻撃法」だって、開発配備するだろうさ。
であるというのに、上掲東京社説は「宇宙ゴミの発生」と「人工衛星の多さ」を根拠に「宇宙軍は流行の先端ではない」と主張し、後段の「宇宙軍不要論」に直結させているのである。
凄まじいまでの短絡思考、と言えよう。
【パラグラフ7】捻くれた「軍拡=愚行」論
多分、章題にもした「軍拡=愚行」というのは、東京新聞記者の「常識」なのだろう。そうでないと、この【パラグラフ7】の様な「レーガン大統領のスターウォーズ計画(SDI計画(*1))が、ソ連崩壊をもたらした。」と認識しつつ、「アメリカも財政悪化で苦しんだ。」として、「スターウォーズ計画(SDI計画)は愚行」と断定断言出来てしまうなんて事象は、一寸説明できそうにない。「心、此処にあらざれば、見るとも見えず」とはこのこと。思い込みって、怖いねぇ。
「財政悪化」程度の損害で、「ソ連崩壊」して、世界を二分して対立し、全面核戦争を生起させる可能性すらあった相手を覿面に弱体化させ、ワルシャワ条約機構に加盟していた東欧諸国の相当数がNATOに「鞍替え」するという大戦果を挙げているのを、「軍拡だから、愚行だ。」と断定断言出来てしまうのだから、凄まじい。
軍拡が、愚行であることは、あり得ようさ。だが、冷戦終結をもたらしたSDI計画(スターウォーズ計画)は、普通に考えれば「成功した軍拡」であろう。「米国も、財政悪化に苦しんだ」って・・・「金で勝利が買える」のならば、普通は、「買い」だろうに。
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<注記>
- (*1) 戦略防衛構想(SDI)計画は、当時からスターウォーズ計画と呼ばれたのだから、「映画スターウォーズを見て、軍拡の愚を思い出す」のは、レーガン大統領時代に早くも出来た、筈だ。
【パラグラフ8】「宇宙平和利用」の現実・・・にも関わらず
【パラグラフ8】では、「宇宙平和利用の現状」が手短にまとめられている。
3> 条約は(宇宙の)平和利用が原則だが、通常兵器で非侵略という目的であれば制限がない。
と言う現状認識も正しく、現行「宇宙平和利用」の限界も明示されている。レーガン大統領のSDI計画(スターウォーズ計画)も、同条約には原則抵触していない(*1)。無論、インドが実験したような人工衛星破壊兵器も、だ。
即ち、現行現存する各国「宇宙軍」も、今度発足するであろう航空宇宙自衛隊も、現存する条約に抵触する気遣いは無さそうだ。その事は東京新聞自身も認識している、筈である。
だと言うのに、結論は・・・
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<注記>
- (*1) 「原則」としたのは、確か「核爆弾をエネルギー源として、四方八方へガンマ線レーザーを照射する「宇宙核機雷」とも言うべき構想があった、と記憶しているから。これを「通常兵器であり、核兵器ではない」とするのは、難しかろう。
【パラグラフ9】で、結論。「安倍首相への無茶ぶり」
【パラグラフ9】を敢えて「要約」するならば、「安倍首相は現行宇宙条約を強化して、”軍拡”を阻止しろ。」であり、「軍拡」の中身は「宇宙の軍事利用」から「宇宙軍」まで入っているのだろう。
随分と虫の良い無茶ぶりをしてくれるじゃぁないか。それも、東京新聞が否定非難することを常としている安倍首相に対して。
【パラグラフ8】で東京新聞も認識している(筈)の通り、現行の「宇宙の軍事利用」も各国「宇宙軍」も、現行の宇宙条約に則っている。なればこそ、「宇宙の軍事利用阻止」及び「宇宙軍解散/禁止」に「現行・宇宙条約の強化」が必要なのである。それは当たり前ながら、「宇宙条約の改定と再批准」が必要であり、各国政府並びに各国軍、なかんずく既存の各国「宇宙軍」の理解と協力なくしては実現しない難事である。
その「ちょっとやそっとじゃ実現しない難事」を、安倍首相に期待出来ちまうんだ。東京新聞は。
その「ちょっとやそっとじゃ実現しない難事」を、安倍首相に期待出来ちまうんだ。東京新聞は。
大方、「安倍批判のための仕込み」なのだろうさ。モリカケよりはマシかも知れないが、マッチポンプである分は、悪質だな。
上掲東京社説に見る、「東京新聞社説記者の頭の中」
① 軍拡=愚行
② 宇宙軍=軍拡
③ 軍拡は愚行であるから、阻止しなければならない。
④ 安倍首相も、各国政府も、各国軍も、「軍拡阻止」に協力すべきだ。
上記③の後半「愚行は、阻止しなければならない。」は、首肯される方も多かろう。私(Zero)とて、この部分は基本的に同意できる。
だが、そんな私でも、上記④の一部「愚行阻止には、安倍首相も、各国政府も、各国軍も協力すべきだ。」と断定断言出来るのは、「余程の愚行に限る」だろう。そんな広範の協力を一致して期待しうる/期待すべきなのは、「余程の愚行」に限る。
更には、根幹を為す上記①「軍拡=愚行」というのは、私(ZERO)の様な「異教徒」には、短絡思考・直結思考としか思われない。それが端的に表れているのは、上掲社説のSDI計画(スターウォーズ計画)に対する評価であろう。
上記①「軍拡=愚行」と言う「認識の違い」だけで、「一読ぐらいでは、キチガイが書いたと思えてしまうような文章」が出来上がってしまう、と言うことのようだな。
そんなことが判明した、と言うことは、ある意味「思考の水平線が広がった」と、言えそうだな。