署名入りの無様な社説ー【毎日社説】視点・自民党 若者と安倍政治 主権教育は何処へ



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 毎日新聞は、その社説欄に「明治から続く毎日新聞の社説は、連日論説委員が議論を交わしてテーマを決めます。ニュースの経緯を理解するにも役立ちます」と、堂々と、はっきりと、文字にして明記している。

 毎日新聞が「明治から続く」のは事実だろう。「連日論説委員が議論を交わしてテーマを決め」ているか否かは一寸成否を判断しかねるが、兎も角毎日新聞の主張に従えば、下掲社説も「論説委員が議論を交わしてテーマを決めた」結果な訳だ。

 ひょっとして、議論を交わす論説委員先生方は「社説のテーマを決める」だけで、社説自身には責任を負わないのかな。そうかも知れないな。

【毎日社説】視点・自民党 若者と安倍政治 主権教育は何処へ
【毎日社説】視点・自民党 若者と安倍政治 主権教育は何処へ
視点・自民党 若者と安倍政治 主権者教育はどこへ行く=専門編集委員・与良正男


毎日新聞2018年9月18日 
東京朝刊オピニオン

【1】 第1次政権以来、安倍晋三首相が18歳選挙権の実現に終始、積極的だったのは間違いない。 

【2】 従来、「自民党は若者に人気がない。選挙年齢を引き下げても得はない」という声が党内で大勢だったが、自分は若者の支持が高いと首相は考えているのだろう。インターネットを重視し、ネット番組に好んで出演するのはその表れだと思う。 

【3】 実際、9月初めの毎日新聞世論調査では、安倍内閣の支持率は全体で37%(不支持41%)だったが、世代別に見ると18歳から30代までは支持率が4~6割程度あり、不支持を大きく上回っている。今回に限らず不支持の人は50代以上に多いのが安倍政権の大きな特徴である。

 【4】 先の大戦は遠くなり、首相が進めた安保法制などに対して若い世代の抵抗感は少ないのだろう。だが「だから若者は右傾化している」と見るのは早計だ。 

【5】 政権評価の理由を聞くと多くの若者は「しばらく前に比べて就職しやすくなった」と言う。若い世代にはリベラル派の方が年長者の既得権を守ろうとする保守派で、首相は改革派と映っているとの指摘もある。

 【6】 今、企業が採用で重んじているのは「コミュニケーション能力」だそうだ。他人とうまく意思疎通ができるといった意味のようだが、これを上司に意見を言ったり、仲間と激しい議論をしたりしないことだと勘違いしている人が多いという。実は権力者に都合のいい傾向が広がっているのかもしれない。 

【7】 文部科学省が発表した高校学習指導要領改定案によると、今後、討論や自らの意見発表を重視する「アクティブ・ラーニング」をさらに推進するという。

 【8】 既に「今の政治」を学ぶ主権者教育も始まっている。異論に耳を傾け、とことん議論して極力一致点を見いだすのが民主政治の基本であり、それを学ぶのが主権者教育であるはずだ。

 【9】 ところが改定案が一方で掲げるのは道徳教育の充実だ。首相らが進めたいのはこちらではないか。戦前の価値観の押しつけに逆戻りしないか心配になる。 

【10】 教育費の負担軽減は緊急の課題だ。しかし、そもそも未来に向けた教育はどうあるべきなのか--。首相と石破茂氏が争う総裁選で、そんな議論がほとんどないのが残念でならない

毎日新聞の専門編集委員ッテのは、この程度なのだな。


 そもそも「専門編集委員」て肩書きからして、偉いんだか偉くないんだか良く判らないが、「署名記事として社説を書く」ぐらいだから、相応の事はあるのだろう。多分。

 で、その「署名入りで書いた社説」が、上掲の体たらくだ。そりゃ新聞の社説なんてモノの地位は。「地に墜ちて」久しいモノがあるが、それにしたって、ヒドくないか。

 端的に言って、支離滅裂。タイトルに「主権者教育はどこへ行く」とあるが、主権者教育が登場するのは、全10パラグラフのどん詰まりに近いパラグラフ【8】だ。そこまではタイトルの前半「若者と安倍政治」で(辛うじて)あるが、これまた一読や二読じゃぁ意味不明なぐらいに支離滅裂で・・・

 気を取り直して。順に見ていくとしよう。
 
 パラグラフ【1】~【3】「18歳選挙権】を取り上げ、安倍首相の積極姿勢と自民党内の反対論を並べると共に、「若者層の安倍政権支持率の高さ」を述べる。社説タイトル前半にある「若者と安倍政治」の現状を要約している形だ。

 だが、続くパラグラフ【4】から迷走が始まる。パラグラフ【4】戦後が遠くなった若者に安保法制などの抵抗が少ないと「遠い戦後の性」と断定しながら「若者の右傾化というのは早計」とも断ずる。

 続くパラグラフ【5】では「若者が評価するのは安倍政権下の就職状況好転」とし「若者にはリベラル派が既得権益者で、安倍首相が改革派に見えるという指摘もある」と並べ、この二つを以て【若者の右傾化というのは早計】の根拠、と、一応論理的筋道は付く・・・その当否や説得力は別だが(*1)。どうにも「現実逃避の言い訳」に見えて仕方ないが、まだ「筋は通っている、と言えない事は無い」レベルに「踏みとどまっている」。

 所が、パラグラフ【6】で突然「企業が採用で重視するのがコミュニケーション力」と「コミュニケーション力」が登場し、尚且つこれを「上司に意見を言ったり、仲間と激しい議論をしたりしないことだと勘違いしている人が多い」と断定の上、「実は権力者の都合がいい傾向が広がっているのかも知れない。」と、実にあやふやな言い方だが、要は「権力者に都合の良い若者が増えている」と言いたいのだろう。多分。

 「多分」などとこっちもあやふやな言い方をするのは、このパラグラフ【6】のロジックが私(ZERO)にとって実に「難解」で、理解も納得もし難いからだ。「仲間と激しい議論をしない事」を「コミュニケーション能力と勘違いする」事はまだありそう(*2)で想像できるのだが、「上司に意見を言わない」のを「コミュニケーション能力と勘違いする」ってのは、一体どんな状況なんだ???

 此処は譲ってそのような「勘違いする人が多い」としても、それを権力者に都合の良い傾向」と結びつけるのは、随分な飛躍だ。就職で重視される「コミュニケーション能力」の為に「上司に意見を言わず、仲間と激しい議論もしない若者が増える」としても、「上司や仲間」から「権力者」、此処では多分「安倍首相や政府」までは、随分とギャップもステップもあるじゃぁないか。それで「権力者に都合の良い傾向」なのか????

 そこはまあ、「そのように考える人もあろう」として先へ進もうとすると・・・パラグラフ【7】~【9】で、論旨は完全に破綻する。グチャグチャだ。

 パラグラフ【7】では「文科省の高校学習指導要領改定案」から「アクティブ・ラーニング重視」が登場する。「討論や自らの意見発表を重視する「アクティブ・ラーニング」」と上掲社説自身にあるから、これは「仲間と激しい議論をしたりしない事をコミュニケーション能力だと勘違いして重視する」傾向を抑止する方向に働きそうだ。
 
 が、どうも専門編集員殿は左様に考えない、らしい。続くパラグラフ【8】「既に「今の政治」を学ぶ主権者教育も始まっている」と、漸く登場のキーワード「主権者教育」だが、

1>  異論に耳を傾け、とことん議論して極力一致点を見いだすのが民主政治の基本であり、
2> それを学ぶのが主権者教育であるはずだ。

・・・つまりは既に始まっている「今の政治」を学ぶ事は、主権者教育では無いと断定する。

 「断定する」のは、専門編集委員殿の勝手だけどさ。それって「討論や自らの意見発表を重視する「アクティブ・ラーニング」」の、格好な題材では無いのかね?「アクティブ・ラーニング重視」を文科省の高校学習指導要領改定案は明記し、打ち出している、だよねぇ。直前のパラグラフ【7】にある。

 否、それよりも寧ろ、「アクティブ・ラーニング」の話はどこへ消えてしまったんだ??この後にも登場しない。そもそも、上掲社説で【アクティブ・ラーニング】を肯定しているのか否定しているのかすら、私(ZERO)には不明だ。「アクティブ・ラーニングこそが、主権者教育だ!」と主張すればまだ筋が通るんだが(*3)、それすら、少なくとも明確で無い・・・所か、左様な意図でパラグラフ【7】が在る!」と毎日新聞が主張されるのならば、真剣に精神鑑定をお願いしたいぐらいだ。

 で、さらに一転してパラグラフ【9】では、「文科省の高校学習指導要領改定案が他方で掲げる”道徳教育の充実”」が登場し、

3>  首相らが進めたいのはこちらではないか。
4> 戦前の価値観の押しつけに逆戻りしないか心配になる。

・・・こうやってパラグラフ一つずつ吟味していくと、専門編集委員殿が「言いたかった事」は上記4>に尽きる、のではなかろうか、と思えてくる。「若者の安倍政権支持」だの「その若者を右傾化というのは早計」だの支離滅裂で全く要領を得ない「主権者教育」も、殆ど論理的につながらない(としか、私(ZERO)には思えない)「道徳教育批判」。
 
 それが目的なら目的で、もっと論旨の立てようもあろうじゃぁないか。

 そう思えてくると、最後のパラグラフ【10】ナンテのは、オマケですら無いな。蛇足だ。「自民党総裁選に、教育議論が殆ど無い事に対する非難・不平・不満」。でタイトル頭にある「視点・自民党」に直結しているのは、このパラグラフ【10】だけ、と言う凄まじさ。

 ひょっとすると、アレか?【視点・自民党】って共通テーマで「社説を書け」と命じられ(*4)、専門編集委員殿の専門分野(恐らくは、教育)に基づいて無理矢理ひねり出したのが、上掲社説、ってことかな。

 だとしても、社説として掲げ公開している以上、同情も容赦もしないけどね。

 容赦と言えば、北朝鮮は容赦なく滅ぼすべきだな。

<注記>

(*1) 「反リベラル派かつ安倍支持」ならば、私(ZERO)に取っては、謂わば「同志」だ。で、私(ZERO)は自他共に認めるであろう「殆ど生まれながらの右翼」だぞ。 

(*2) 「議論は穏便を心がける」とか、ね。 

(*3) 左様主張すると、「文科省の高校学習指導要領改定案」を肯定し、賛同した事になるから「安倍政権批判として成り立たない」だろうか?
 だとしたら、上掲毎日新聞社説の目的は「安倍政権非難批判」であって、主権者教育も、若者も、そのための材料でしか無い、訳だ。
 意図は明白になるが、それでもヒドいな。 

(*4) 同じ共通テーマで他日の社説は、大体論説委員殿が書いている、らしい。
 「専門編集委員だから、専門は、編集だ!!!」ってオチかな。