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【ロイター】北朝鮮を止められない中国 ?? 核放棄させる可能性はゼロBUSINESS INSIDER JAPAN 岡田充 c Reuters【1】 高をくくってはならない。朝鮮半島での武力行使の危険が現実味を帯び始めた。核・ミサイル開発を止めなければ、北朝鮮への武力行使を含む「あらゆる選択肢」をちらつかせるトランプ米政権に対し、平壌は中距離弾道ミサイルの発射実験で応じた。危機を回避させられるのは、米中両国しかないと考えがちだがそれは甘い。なぜか。中国こそ北朝鮮を説得できる唯一の国という期待は、過去の「虚構」にすぎないからだ。【2】「お手上げ状態」の北京【3】 「北のメンツを立てながら核を放棄させられる可能性はゼロだ」こんな見立てをするのは、中国の安全保障問題の第一人者、南京大学の朱鋒・国際関係研究院長。来日中の17日、都内で筆者のインタビューに答えた。彼はその理由として、金正恩委員長の父親の金正日氏との違いを指摘する。【4】 「父親は米中日ロなどの大国が共同で核開発に反対する中、核兵器保有は難しいと判断をした。一方、正恩は現実から遊離した独善的な行動に走っている」【5】 と、あからさまに批判する。「有名無実」とはいえ、中国と北朝鮮は法的には軍事同盟関係にある。学者という「民間の立場」ながら、「友好国」指導者への遠慮のない評価。それは中朝関係が想像以上に冷え込み、北への説得を期待される北京も、実は成す術のない「お手上げ状態」にあることを物語る。東アジアの平和を脅かす米朝のチキンゲーム。トランプも金正恩も、先にゲームを降りれば「弱い指導者」として権威を失墜するから、簡単には譲歩できない。米原子力空母カールビンソンはまもなく、朝鮮半島に接近しゲームは一層緊迫する。朱氏にあえて「北のメンツを立てる方策は?」と問うたのは、1994年の核開発危機の際、周辺国は、北朝鮮に軽水炉と重油燃料を提供する「朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)」という枠組みを提供し、核開発を放棄させる「ニンジン」を差し出したからだった。【6】 中国指導部内の対立で戦争状態は放置【7】 中国は、米国の軍事攻撃を不可避と見ているのか。やはり来日中の于鉄軍・北京大学国際戦略研究院副院長に聞いた。于氏は「北が核実験を強行する可能性は否定できない。そうなれば米軍は北の軍事施設へのピンポイント攻撃を実行する恐れがある」とみる。朝鮮戦争以来の危機、最悪のシナリオだ。「米国が軍事攻撃したら中国はどう出るのか」。そう質問すると、しばらく答えあぐねた末、于氏はこう答えた。【8】 「その場合、中国内で意見が割れる恐れがある。北朝鮮と米国のいったいどちらが北京にとって本当の脅威なのかという意見の違い」【9】 これまた想像するに恐ろしいシナリオだ。仮にそれが、北京の指導部の意見分裂を意味するとすれば、戦争状態が放置される危険すらあるからだ。先の朱氏にも、「第二次朝鮮戦争」の見通しを聞いた。【10】 「朝鮮戦争へ中国が介入する可能性は低い。米中双方ともに戦争をしたくないのが共通認識。戦争の可能性を完全に排除できないのは、東アジアはまだ冷戦構造を引きずっているからだ」【11】 と、比較的楽観的な答えが戻ってきた。彼はさらにこう強調した。【12】 「中国の認識変化にぜひ注目してほしい。北の核は、中国にとっても重大な脅威という認識を持っている。習近平指導部は明らかなシグナルを発している。かつてこんな見方をすれば売国奴とののしられたものだ」中朝関係と言えば血と血で結ばれた「血盟関係」と形容されてきた。それは共産主義封じ込めの米戦略打破のための「イデオロギー的絆」とされる。しかし、中国側は北朝鮮が初の核実験を実施した2006年ごろから「北は言うことを聞かない。影響力を行使しろというがそんな影響力はない」と公言するようになった。中国式の改革開放政策に北朝鮮の生き残りの道を見いだした張成沢(金正恩の叔父)の処刑によって、双方の関係は国益と国益がせめぎ合う「普通の国と国」の関係になった。【13】水面下で機能する米中関係水面下で機能する米中関係【14】 朝鮮半島の緊張について米中両国は「平和的手段をもって解決されるべき」との認識を共有している【15】 悲観的見通しの中、北朝鮮問題で協調する米中関係は、わずかに明るい材料と言える。4月初めの首脳会談で2人は「北朝鮮の核開発は深刻な段階に達した」との認識を共有し、核開発抑制のために両国が協力を強化することで一致した。一時は、中国に喧嘩腰だったトランプ大統領だが、「習主席は協力したがっていると思う。北朝鮮から中国へ輸出されるはずの石炭を乗せた船はすでに返されている。中国はほかにも多くの措置も行うだろう」(4月13日)と語った。トランプにしても、「頼り」は北京以外にないのだ。 首脳会談に先立ち3月北京を訪問したティラーソン国務長官は「対抗せず、衝突せず、相互尊重でウィンウィン」の「新型大国関係」に基づき米中関係を構築すると述べた。16日には楊潔チ・国務委員がティラーソン氏と電話会談しており、米中連携は水面下で機能している。【16】安倍首相の不用意発言【17】 東アジア150年の近現代史をみると、国際政治の主役の交代は鮮明である。日清・日露戦争はともに朝鮮半島の権益をめぐる争いであり、主役は日本とロシアだった。120年後の現在、ホットスポットは依然として朝鮮半島と変化はないが、中国と米国が日ロに替わる主役になった。日本の影響力は、94年危機と比べても一段と下がったことを我々は自覚した方がいい。一例を挙げる。 安倍首相は4月13日国会答弁で、北朝鮮がサリンをミサイル弾頭に搭載し地上に着弾させる能力を保有している可能性があると、脅威をあおった。外務省は11日、韓国滞在邦人へ海外安全情報を出し注意喚起した。いずれも北朝鮮の脅威を強調し、場合によっては「戦争の危険が」という警告と受け取れる。それなら新宿御苑でタレントや芸能人と花見で浮かれる場合ではなかろう。危機回避に向けた真剣さが疑われる不用意発言だ。「このタイミングでなぜ、こうした呼びかけをしたのか」「不安をあおる恐れがある」と疑問を呈したのは韓国政府だけではない。日本政府内でも「韓国が危険だと言っているようなものだ」との批判が出た。 朱氏は最後に、【18】「中米両国は首脳会談で良いスタートを切り、協力関係が始まった。米中ともストロングマンが主導権を握っているのは重要。米中だけでなく、日本と韓国を巻き込んで核問題に対処したい。われわれの指導者は決意と実行力を持っている」(※1)【19】と締めくくった。平壌に核実験を回避させ、危機を乗り切るのに成功すれば、トランプ登場で揺れた米中関係は、今後国際政治を左右するコアな関係になるだろう。(一部敬称略)
<注釈>
(※1) 「北のメンツを立てる方策は?」の問いに「「北のメンツを立てながら核を放棄させられる可能性はゼロだ」」と断言した朱氏が斯様に「締めくくる」のは、「北のメンツを潰して核を放棄させる」か、「北のメンツを立てて核保有を認める」の何れかが念頭にある筈だ。後者はとても「今回の危機を乗り切った」とは(普通は)言えないだろう。ならば、前者である公算大なのであるが、前者には「武力攻撃による北朝鮮核関係施設破壊」が、少なくとも可能性として「ある」筈だ。であるならば、上掲パラグラフ【17】で批難されている安倍首相の発言は「批難されるべきではない」筈なんだが…
「言いたい事」は、結局「安倍首相批判」かね??
上掲記事全部で19のパラグラフの内、半分は「如何に中国が北朝鮮に対するコントロールを失っているか」と言う記述だ。それは、上掲記事のタイトル「北朝鮮を止められない中国 ?? 核放棄させる可能性はゼロ」にも端的に表われており、「タイトルに沿った記事内容」でもあれば、「記事内容を的確に要約したタイトル」でもある。
ところが、続くパラグラフ【13】~【15】、「水面下で機能する米中関係」と銘打った部分で、少々妙な事になって来る。このパラグラフ【13】~【15】で、「米中が今回の北朝鮮事態(※1)を平和的に解決する事で一致した。」と、一転して楽観的になる。
実に不思議なロジックと言うか、不可解な思考回路と言うか。ここで開陳された楽観論は、その前の二つの「「お手上げ状態」の北京」「中国指導部内の対立で戦争状態は放置」と銘打たれたパラグラフ【1】~【12】と、実質上矛盾する。如何に米国と中国が「北朝鮮事態の平和的解決に合意」しようが、「北朝鮮に対しお手上げ、かつ戦争状態は放置」すると予想した(※2)中国が、「平和的解決」に向けて、一体何を為せると期待しているのか?
ああ、「応援だけ」なら出来るかも知れないな。「米中平和宣言」かなにかも出せるかも知れない。が、それらは「平和的解決」に何ら資すること無いのは明白だろうに。
第一、「中国指導部内の対立で戦争状態は放置」と言う事態は、米国にしてみれば「軍事的解決を取りやすくする」事態であろうが。
で、最後の部分は、いきなり安倍首相が登場する。「安倍首相の不用意発言」と銘打ったパラグラフ【17】~【19】で「北朝鮮がサリンをミサイル弾頭に搭載し地上に着弾させる能力を保有している可能性がある」とした安倍首相の発言を捉えて、「「戦争の危険が」という警告と受け取れる。」「不安をあおる恐れがある」「韓国が危険だと言っているようなものだ」と非難、ないし否定的意見を羅列して、然る後に「米中協力による今回北朝鮮事態の解決」もとい、「米中協力による今回北朝鮮事態の平和的(※3)解決」に大いに期待して上掲記事を締めくくる。
ハッキリ言おう。訳が判らない。
「今回北朝鮮事態の平和的解決」を岡田充氏が願っている事は判る。それが多くの人の願いであろう事も理解する(※4)。だが、願いを実現するには手段が要る。その「願いを実現する手段」を、上掲記事は「平和的解決への米中合意」しか挙げていない。
「今回北朝鮮事態の平和的解決」を岡田充氏が願っている事は判る。それが多くの人の願いであろう事も理解する(※4)。だが、願いを実現するには手段が要る。その「願いを実現する手段」を、上掲記事は「平和的解決への米中合意」しか挙げていない。
上掲記事の前半及びタイトルで「中国が、北朝鮮に対する影響力を失っている」事を述べ、さらには「朝鮮での戦争状態を中国は放置するだろう」と言う「米国にとって軍事的解決=武力攻撃を実行しやすくする事態」を記述しながら。さらには冒頭のパラグラフ【1】で「中国こそ北朝鮮を説得できる唯一の国という期待は、過去の「虚構」にすぎないからだ。」と断言しながら、だ。
而して、このパラグラフ【1】の「断言」は、最終パラグラフ【19】の「平壌に核実験を回避させ、危機を乗り切るのに成功すれば、トランプ登場で揺れた米中関係は、今後国際政治を左右するコアな関係になるだろう。」と、これまた実質矛盾する。最早「北朝鮮を説得できない中国」が「平和的解決で日米合意」した処で、一体何をどうして「平壌に核実験を回避させ、危機を乗り切るのに成功」すると言うのか。全く、サッパリ、理解できない。
更に理解し難いのは、「安倍首相の不用意発言」と銘打ったパラグラフ【17】~【19】である。起承転結で言えば「転」に当たる様だから、毛色が変わるのは良いとして、「極東の支配者」を「150年前の日露(※5)と21世紀の米中」と対比することで「日本の地位低下」を指摘しつつ「安倍首相の戦争危機説」を批難しているが、「地位低下した日本」としては、「戦争危機」に対して敏感で当然、鈍感では下手すると国が亡ぶじゃぁないか。
更には、斯様に安倍首相発言を批難する以上、岡田充氏は「今回北朝鮮事態の平和的解決」をほぼ確信している様であるが、上掲記事前半で縷々述べている「北朝鮮に対する支配力を失った中国の実情」と「平和的解決に対する米中合意」に基づく( としか、解釈できない )「今回北朝鮮事態の平和的解決」の間に、「安倍首相の”不用意”発言」は「全くと言って良い位、影響しそうに無い」。つまりは「無関係」だ。
「米中が平和的解決に合意を宣していると言うのに、戦争危機を口にするとは怪しからん奴だ!」って事かね。
だとしたら、そりゃ一方の当事者でもある北朝鮮にこそ、真っ先に言えよ。北朝鮮の「戦争だぁ!」はもう何度目になるかもわからないほどだが、今回も盛大に「戦争だぁ!」と言っているじゃぁないか。
何にせよ、「米中が平和的解決に合意を宣した」程度で「平和的解決」を確信できてしまうようなオッチョコチョイに、我が自衛隊三軍の指揮は任せたくないし、我が国首相の座にも居て欲しくないがね。幸い安倍首相は左様なオッチョコチョイではないらしい。
もっと幸いなのは、左様なオッチョコチョイが、「たかだか」共同通信客員論説委員にして桜美林大非常勤講師であり、共同通信時代に、香港、モスクワ、台北各支局長などを歴任しかしていない、ことだろうな。
<注釈>
(※1) まだ「事変」ではない、な。(※2) それも、上掲記事のパラグラフ【1】にて、上掲記事を書いた(筈の)岡田充氏が肯定している予想の(※3) でないと、安倍首相の発言を「不用意発言」と非難した事と矛盾する。(※4) 私(ZERO)に関していうならば、私(ZERO)は解決を、今度こその解決を大いに望んではいるが、その解決は「平和的である必要はない」と考えている。言い換えれば、北朝鮮の核問題については、いい加減「平和的未解決」よりは「軍事的解決」を選択すべき頃合いだろう、と考えている。(※5) あのころ我が国は、独立国として生き残るのに必死だった。独立国であるが故に極東支配を争うプレーヤーたりえた訳だが。