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 何度か繰り返しているが、私(ZERO)は所謂「鉄っちゃん」こと「鉄道ファン/鉄道マニア」ではない。ではあるが、これも再三繰り返す通り「新幹線ファン」ではあり、その「人類初の高速鉄道」にして、「商業運航開始以来50年以上の間、乗員乗客に”自殺巻き込まれ”以外の死者を出していない」と言う「実現した安全神話」である事を「我が国の誇り」と考えているし、「到着時間の年間平均誤差1秒」と言うハナシも「本当かよ?」と眉に唾を付けつつ「それぐらい正確に運行されている」と言う「たとえ話」としては大いに賛同し、これまた「我が国の誇り」と考えている。

 無論、「実現できた安全神話」には、新幹線以外の在来線は仲々及ばないが、「運航の正確さ」と言う点では相当なものであり、「運航の、事故などの不測の事態に対する柔軟性」共々賛同・称賛した弊ブログ記事にもしている。つまりは私(ZERO)は、「我が国鉄道の運行の正確さを、我が国の誇りと考えている。」点には、一寸疑義の余地は無さそうだ。

 であるならば、下掲記事によると私(ZERO)の様な人間は「ヤバい」のだそうな。

「日本の鉄道は世界一」という人がヤバい理由
「日本の鉄道は世界一」という人がヤバい理由

 「鉄道が時間通りに到着するのはスゴい!」といった声を耳にすることがあるが、筆者の窪田氏はこのような自慢をし始めると「ヤバいのでは」と警鐘を鳴らしている。
  なぜ、ヤバいのか。 [窪田順生,ITmedia]

窪田順生氏のプロフィール:
 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。 著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞

【1】 日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。

【2】 「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。

【3】 そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」に迫っていきたい。

【4】 少し前、「日本の未来」について考えさせられる調査結果が公表された。

【5】 長年にわたってED(勃起不全)が日本人に及ぼす影響を考察しているバイエル薬品によると、自分がED だと思うと回答した男性のうち7割の方が、「自信がなくなったことがある」と回答しているのだ。

【6】 そりゃ週刊誌で毎週のように「死ぬまでセックス」なんて特集を組むように、「性」は男の根幹をなす要素なんだから当然の結果だろ、という声が聞こえてきそうだが、ここで言う「自信」はその方面だけではない。

【7】 男性としての自信(33.0%)、女性へのコミュニケーション(14.8%)、日常生活(13.6%)、仕事(4.5%)など多岐にわたっているというのだ。

【8】 これはかなりマズい。

【9】 というのも、実はED男性は世の人々が思うより遥かに多く存在しているからだ。『日本においては成人男性の24%、50-60代では2人に1人がEDであるといわれており、人口の高齢化によって今後さらに有病者数が増えることが想定』(ED(勃起障害)に関する現代人の意識調査2016年版)されており、潜在患者数が1130万人なんて推計もある。

【10】 つまり、これは裏を返すと、日本社会には「自信のない男たち」が溢れかえっているということだ

【11】 実際にそれを示すようなデータもある。「平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」によると、日本の若者は、「自分自身に満足している」「自分の考えをはっきりと相手に伝えられる」などの質問で、韓国、米国、英国、ドイツ、フランスなどの若者と比較をして、断トツにネガティブな答えが多かった。「奥ゆかしい」というレベルではなく、圧倒的に「自信がない」のである。

【12】「鉄道が時間通りに到着するのはスゴい!」を自慢し始めるとヤバいのはなぜか

【13】 「日本の鉄道は世界一」と自慢する人たち

【14】 番組の中で「日本のスゴさ」が続々と紹介されていた

【15】 「だったら最近よく目にする日本や日本人がいかにスゴいかを紹介するテレビ番組も、『自信』を取り戻すという意味ではいいことじゃないか」と思う人もいるだろうが、これはかなり用心したほうがいい。

【16】 確かに、自国への「誇り」が国民一人一人の「自信」につながるということもあるかもしれない。しかし、もしその「誇り」がおかしなものへ向けられてしまうと、日本社会全体が「迷走」してしまう恐れもあるからだ。

【17】 例えば、先週末に放映された『世界が驚いたニッポン!スゴ~イデスネ!!視察団』(テレビ朝日系)の4時間スペシャルなんかが分かりやすい。

【18】 普段は、海外の方たちに来日させて、日本がいかにスゴいかということを賞賛していただく番組なのだが、今回は年末特番ということで趣向を変え、「外国人ジャーナリストが選ぶ日本のスゴイ所ベスト50」と銘打ち、外国人ジャーナリストたちが、「世界に伝えたい」と答えたものを集計したという。

【19】 「温水洗浄便座付きトイレ」「温泉」というお馴染みのものから、「100円ショップ」「消臭」など我々からすればごく当たり前のようなものまで「日本のスゴさ」が続々と紹介されていく中で、第1位になったのは「電車」だった。

【20】 秒単位の正確さでピタッと電車がやって来る運行ダイヤに対して、海外のジャーナリストたちが口をそろえて「スゴい!」と絶賛したというのだ。

【21】 そうそう、こういうところは日本人が世界一なんだよ、と誇らしげな気持ちになっている方たちには申し訳ないが、個人的には「運行ダイヤの正確さを世界に誇る国」とみられているのは、あまり喜ばしいことではないと思っている。

【22】 なぜか。実はあまりにも度を越した「電車の正確さ」というのは、ファシズム(全体主義)に陥った社会特有の現象だからだ。

【23】 何を言っているのだ、この反日ライターはとお怒りになる方も多いかもしれないが、実は過去にも鉄道の正確さをファシズムと結びつけたジャーナリストがいる。

【24】 その人は、ヒトラーにインタビューを行い、「ナチ党なんてポピュリズム集団だろ」と多くの知識人が鼻で笑っていた時代から、欧州を覆いはじめたファシズムの台頭に警鐘を鳴らしていた。

【25】 もうお分かりだろう、ピーター・F・ドラッカーだ。

【26】  ドラッカーは、1933年、ヒトラーが政権をとった日の数週間後に書き始めた『「経済人」の終わり』(ダイヤモンド社)の中で以下のように書いている。

【27】 『イタリアの印象を聞かれて、「乞食がいなかった。汽車が時間通りに走っていた」と答えた老婦人を馬鹿にしてはならない。なまじの論文よりも、よほどファシズムの本質をついている。ファシズムにおいては、汽車が時間通りに走り、乞食が大通りから追い払われる。南大西洋で最高速の船を運航し、世界一道幅の広い道路をつくる。組織と技術の細部それ自体が目的と化す。技術的、経済的、軍事的な有用性さえ、二の次となる』(経済人の終わり)

【28】 どうだろう、今の日本社会と妙にシンクロしないか

【29】 「日本の鉄道は世界一」をうたうわけだから普通に考えれば、「世界一快適な通勤ラッシュ」とか「世界一安全な鉄道」とか「交通機関としての有用性」に注目があたるはずだ。しかし、なぜか「運行ダイヤの正確さ」という「技術の細部」にフォーカスがあてられ、いつの間にやらそれを追求すること自体が目的化してしまう(※1)。

【30】 技術や組織力なんてどうでもいいなどと言っているわけではない。本来、人間を幸せにする目的のために「組織」や「技術」があるはずのに、いつの間にやらそこにいる人間をすっ飛ばして、「組織」や「技術」が最も優先されるという本末転倒な事態に、日本人は陥りがちだと申し上げたいのだ(※2)。

【31】 人間という「個」をすっ飛ばしてしまう傾向はいろんなところからもみてとれる。先ほどの内閣府の調査で、日本の若者たちが「自信がない」と述べていたが、それはあくまで「個」に限定される。実は「自国民であることに誇りを持っている」と70%以上が回答をしており、米国(76.2%)、英国(72.7%)らに次ぐ高い水準となっている。また、「自国のために役立つと思うようなことをしたい」というのでは、なんと54.5%でトップ。つまり、日本の若者たちは個人としての自信はないが、日本という「組織」の話になると、他国の若者と比較にならないほどの自信をもっているというのだ。

【32】 「いや、日本人は集団行動が好きだからだよ」とか「日本人は個人よりも公を重んじるからだ」とかいろいろ言う方がいるが、個人的にはそういう生来(せいらい)ものではなく、戦後の「自信の取り戻し方」に大きな問題があると思っている

「33】 冒頭で申し上げた2人に1人がEDだという50~60代が、まだ若者だったころからバブル崩壊くらいまでに、「退却神経症」という病気が注目された。聞きなれない言葉だと思うが、当時の日本経済新聞で、その「病」にかかったと思しき山本(仮名)という若者が上司とともに、病院を訪れた様子が描かれている。

【34】 『場所は都内の精神科の病院。母親ともども山本を連れて来た上司は「能力はあるのに、自分中心主義で無気力。退社時刻の五時になると、残業を命じても、帰ってしまう」と山本の「病状」を医師に訴えた。

【35】 カルテには「いわゆる退却神経症か?」と書き込まれた。会社のために二十四時間戦う――そうしたビジネス最前線から逃げ出す「病」というわけだ』(日本経済新聞 1991年11月10日)

【36】 自分たちは重い「病」にかかっている

【37】 今の若者の感覚すれば、いったい何がいけないのだと思うかもしれないが、当時は組織に貢献をしない若者は「病」とされたのだ。「ファシズム」と聞くと、「確かに戦時中は日本もそういうところがあったかもしれないけど今はこんなに自由じゃない」と思う人がほとんどだが、現代にいたるまで日本は一貫としてファシズム的社会が続いているのだ。

【38】 『こうした青年の来院はここ数年、目立って増えている。それだけに次々と訪れる、物静かだが自信に満ちた青年たちを見ていると、医師も病気と診断すべきかどうか首をかしげた』(日本経済新聞 1991年11月10日)

【39】 日本はこういう「個」で自信に満ちて生きる若者を徹底的に排除してきた。「日本はスゴい!」「日本は世界一!」と声高に叫ぶ人はたくさんいるのに、「俺はスゴい!」と言える人が少ないのは、そういう理由だ。

【40】 なぜ多くの外国人ジャーナリストたちが「運行ダイヤ」を絶賛したのか。「やっぱり外国人はマンホールを撮影したり、日本人とは視点が違うなあ」で済ますのではなく、そこに引っかかった理由を、我々は深く考えるべできはないのか。

【41】 かつてドラッカーがファシズムの本質だと述べた(※3)「運行ダイヤの正確さ」を誇らしげに感じてしまう我々に問題はないのか。

【42】 そろそろ自分たちが重い「病」にかかっていることを自覚したほうがいい。


<注釈>


(※1) 「世界一安全な鉄道」が「運航ダイヤの正確さ」よりも優先すべき目的である事は認める。が、その優先すべき目的、「目的化していない目的」(である筈の)「世界一安全な鉄道」をも、我が国は新幹線で実現している。
 50年前に実現し、「当たり前のようになっている」から、自慢する人は少ないのかも知れないが、少なくとも私(ZERO)は弊ブログ記事として自慢しているな。 

(※2) 「正確な運航」は「安全な運行」と、無関係かね?そんな訳なかろうに。
 であるならば、「正確な運航」は、「自己目的化した(本来は)些事」では無かろう。違うのかね?
 
(※3) ちょっと待て。少なくとも引用されたドラッガーは「実はあまりにも度を越した「電車の正確さ」というのは、ファシズム(全体主義)に陥った社会特有の現象だからだ。」とは言って居るかも知れない。が、「電車の正確さが、ファシズムの本質だ。」と、断言しているか?断言すると主張するならば、(上掲記事は正に左様主張している訳だが)、その根拠は、何だ?? 

列車を正確に動かすのに、ファシズムは必要か??

 或いは、「我が日本は、ファシズムに近いから、列車運行が正確」なのか?
 
  上掲記事は組織や技術を優先して、個人を蔑にしているから、列車運行が正確だ。との主張らしいが、「乗客を大事にするからこそ、正確な列車運行」なのではないか。「乗客の為に、己の”個”を(幾許か)犠牲にする」と言うのは「個を蔑にしている」と言うよっり「職務に真摯に取り組んでいる」と評すべきではないのか。

 逆に問おうじゃないか。「乗員を”組織や技術”よりも優先したら、列車運行が不正確になるのは、必然・必須なのかね???」

 言い換えれば、「列車運行が正確である事は、非人間的なのかね?」それも「ファシズムに相通じる」と言う、結構激烈な批判を受けねばならないほどに。
 
 そもそも、大東亜戦争当時や戦前・戦中の我が国を「ファシズム」と呼ぶことすら私(ZERO)は異議を唱えるのであるが(※1)「ファシスト政権一党独裁下で、イタリアの鉄道運行が正確であった」と言う事実があったとしても(※2)、それは「イタリア人が列車運行を正確にするには、ファシズムが必要だった。」と言うこと以上の事を証していようか。一般論として人が列車運行を正確にするには、ファシズムないしファシズム的傾向が必要」などと、何を以って断言するんだ、この人は。

 或いは、こう問い返しても良いかも知れない。「我が国の新幹線は、世界に比類が無い程の高い安全性を実証し続けているが、これは”日本人/日本社会の全体主義的傾向の賜物”なのか?」と。

 もしこの問いの答えが「然り、新幹線の高い安全性は、全体主義的傾向の賜物である」ならば、私(ZERO)としては「”全体主義的傾向”の部分適用(※3)も、安全性を高めるためには考慮に値するのではないか?」と、提案してしまうが。ま、私(ZERO)自身は先述の通り「殆ど生まれながらの右翼」なのであるが、「鉄道運行の安全性」は「全体主義的傾向の部分適用」ぐらいは甘受するに足ると考えるのだが、如何だろうか。

 無論、斯様な「暴論」が吐けるのは、「新幹線の高い安全性も、日本の鉄道の運行が正確な事も、全体主義ファシズムなんぞとは関係ない」、と、相当な確信を私(ZERO)が持っているからでもある。

 第一、我が国が「欧米流個人主義」とは相当に毛色の違う社会を形成してはいるものの、それは「日本・日本人・日本社会の特徴」とは考えても「全体主義的傾向」「重い病気」などと否定する気が私(ZERO)には全く無いのである。

 だからこそ、上掲記事を書いた窪田順生氏からすると、「ヤバい人」って事になるのかも知れないが。

 でもねぇ、どうも上掲記事は日本人にはファシズム的傾向がある。これは”重い病気”であり、問題だ。」と言う前提から出発して、アンケート結果だの、ドラッガーだのを引用して記事にした、だけと言う感が強いんだがね。そりゃ「ストーリーを先に立てて、記事を書く」と言うのは、上掲記事の様な(報道記事では無い)コラム(※4)には許されるし、推奨もされるかも知れないが、「ノンフィクションライター」として、そんな事で良いのかね…まあ、左様なノンフィクションライターは、幾らも居ようし、「ノンフィクションライターは、ジャーナリストでは無い」と言えばそうなのだろうが。

1〉 実はあまりにも度を越した「電車の正確さ」というのは、
2〉ファシズム(全体主義)に陥った社会特有の現象だからだ。

、ドラッガーの言葉を知って、その勢いで喜び勇んで、「日本人・日本社会のファシズム的傾向」を批難する記事に書き上げた。そんな記事に読めて仕方ないんだがな。

 もし左様であるならば…上掲記事を書いた窪田順生氏は、ノンフィクションライターとして、相当「ヤバい」のではなかろうか(※5)。

 真実を伝える事を旨とするジャーナリストとしては、とうの昔に失格しているから、今さら問題無かろうが、な。

<注釈>


(※1) ファシズムとか、軍国主義とか言うのは、ある種悪口であり罵詈雑言であり、時に「便利なレッテル」であるから、「タダのレッテルである」可能性に留意しなければならない。
 ああ、付け加えておくべきだな。再三繰り返す通り、私(ZERO)は、「殆ど生まれながらの右翼」だ。弊ブログ記事を御照覧いただけでも、明らかであろうが。
 だが、これも再三繰り返す通り、人類の多様性、異論・異説の多さと寛容は「民主主義の強み」であり、それ故に私(ZERO)は、自分自身が右翼である事を喜んで認めつつ、ファシストだとは微塵も思っていないし、一党独裁は大嫌いだ。
 現在の自民党が一強である事は認めるし、基本的に「自民党が一強である」事も支持しているが、それは、「まともな野党が無いから」である。
 偶には自民党以外の政権」として発足したのが、あ・の・民主党政権だぞ。 

(※2) そりゃ、私の知る限り、現代イタリア鉄道の運行と来た日には、実に酷いものであるが…切符売り場に、昼休みがあって、昼休みでなくても切符売り場を閉めちまうんだぞ。
 
(※3) 例えば、鉄道運用会社限定、とか。 

(※4) や、弊ブログの様なブログ記事 

(※5) 本来の意味、「危ない、脆い」と言う意味で。