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 「君主は何をやっても悪く言われる。」と喝破したのはキケロ。古代ローマの昔から、為政者は「何をやっても悪く言われる」モノの様だから、現安倍政権の為した政策の一つであるマイナンバー制度にあれやこれや批判があるのは、「古代ローマ以来の変わらぬ風景」とも言えそうだが、それにしてもこの「マイナンバー制批判」ってのは、どうだろう。
 
【プレジデント】マイナンバーで摘発 「社会保険料未納」75万社倒産の“流れ弾”  
 プレジデントオンライン   
北見 昌朗零細企業は“社会保険料倒産”になりかねない

【1】 「全国で約75万カ所の事業所が厚生年金の保険料負担を不正に逃れ、従業員約200万人が年金に加入できずにいる」(共同・2015年12月28日付)
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【2】  昨年末、新聞報道された「厚生年金負担逃れ75万社」問題。こうした事業所の摘発がマイナンバーのおかげで進むと想像される。そこで、その影響を試算してみた。

▼政府からみれば宝の山

【3】  仮に、正社員やまとまった時間働くパート従業員などの平均年収が300万円だとする。試算しやすいように社会保険料の割合を約30%とする(実際は 労使折半で、労働者は14.689%分《介護保険加入の被保険者の場合》を負担)。すると、労使合計で年間90万円になる。その「年間保険料90万円×200万人=1兆8000億円」ということで、現状、国は1兆8000億円も取りはぐれていることになる。財政事情が厳しい中、もし政府がそれらを回収できれば大助かりに違いない。

▼未納企業は「とうちゃん、かあちゃん経営」の零細企業

【4】  では、どんな事業所が不正をして、社会保険料を納めていないのか? 

【5】  単純計算すると「未納者200万人÷事業所75万カ所=約2.6666……人」ということで、従業員が2~3人程度の零細企業のイメージが浮かぶ。社会保険は、法人の場合は従業員がいなくても強制加入になっている。個人経営の場合は「従業員5人以上」だと強制加入になる。

【6】  つまり、社会保険の未納事業所は「とうちゃん、かあちゃん経営」レベルの零細企業が大半を占めると想像される。例えば、商店街の小さなお店を想像してほしい。八百屋や魚屋、駄菓子屋といった地元密着型のお店や事業所だ。

【7】  「従業員の厚生年金」の問題というよりも「店主夫婦の厚生年金」の問題だと言った方がふさわしいかもしれない。「店主夫婦」にしてみれば「これまで未納だったので、今さら掛けたくない」という本音もあるだろう。

【8】 「とうちゃん、かあちゃん経営」が500万円払えるか?

▼零細企業は法定福利費が135万円アップ

【9】  その「従業員3人」の零細企業がもし、社会保険に加入したら、いくらぐらい経費が増えるのだろうか? 会社負担分の社会保険料は、年収の約15%である。1人あたり「平均年収300万円×保険料率0.3×事業主負担分0.5」=45万円で、この3人分だから135万円。事業所としては、毎年135万円の法定福利費が新規に発生することになる。

【10】  さらに、社会保険に加入すると従業員の給与の手取りが減るため、事業主はその保障分を一部“補てん”することもある。そうなると、さらなるコストアップにつながる。

▼会計検査院は「過去2年分」徴収できる

【11】  マイナンバーの導入後、会計検査院など当該官庁はそのデータを元に未加入企業の摘発に乗り出すと思われる。ルール上は、過去2年分の支払いを命じることができる(それ以前は時効扱い)。

【12】  ここで問題となってきそうなのは、従業員負担分の扱いだ。それは本来従業員が負担するべきものだが、今さら払えとは言いにくいもので、事業所側が全額を負担するケースが多い。そうなると過去2年分の保険料の総額はこうなる。「平均年収300万円×保険料率0.3×従業員3人×2年分=540万円」。

【13】 500万円以上……。零細企業の社長が真っ青になっている顔が想像されるだろう。この金額は、零細企業にとっては死活問題だ。もし、会計検査院などが本腰を入れたら零細企業は“壊滅的”な打撃を受け、おそらく自主廃業ができるのは良い方で、自己破産に追い込まれるところが少なくないのではないか。

【14】  全国に75万カ所もある零細企業の中で、どれだけが破綻に追い込まれるのか予想もできないが、大きな影響が出ることは確実だ。零細企業が破産すれば、連鎖倒産を誘発するリスクが出てくるし、雇用不安や求人率の低下も起きかねない。

【15】  「社会保険に加入するのは、もともと法で定められた義務であり、守っていない方がおかしい」

【16】  確かにそうした意見は、正論である。しかしながら、世に与える影響があまりにも大きすぎるのだ。

【17】  政府がマイナンバーを武器に「社会保険料の未納問題」の解決を急ぐと、結果として街から零細企業が減り、例えば食品スーパーなどが姿を消してしまうのではないか? それによってすでに一部で問題化している“買い物難民”が増えるのではないか。そんな危惧を私は抱いている。


「社会的影響が大きいから、脱税を見逃せ」って、暴論以外の何かね?



 「脱税」と言うのは正確では無いかも知れないが、「加入するべき社会保険に加入し、社会保険料を払う」のは当たり前。それを実施していないのは「社会保険料逃れ」であり、ある種の「脱税」だろう。

1〉 「社会保険に加入するのは、もともと法で定められた義務であり、守っていない方がおかしい」

と言うのは、上掲記事が認める通り紛れもない正論である。その正論を、

2〉 しかしながら、世に与える影響があまりにも大きすぎるのだ。

として「曲げろ」と言うのは「犯罪者が多すぎて刑務所に収監できないから見逃せ」というのと大差ない暴論と言うものだろう。

3〉 政府がマイナンバーを武器に「社会保険料の未納問題」の解決を急ぐと、
4〉結果として街から零細企業が減り、例えば食品スーパーなどが姿を消してしまうのではないか?
5〉それによってすでに一部で問題化している“買い物難民”が増えるのではないか。
6〉そんな危惧を私は抱いている。

・・・・えぇっと、この人は上掲記事タイトルにある通り、「社会保険料未納の(相当部分が零細企業である)75万社に倒産の恐れがあるとして、「マイナンバー制」ないし「マイナンバー制を武器として社会保険料未納問題の解決を急ぐこと」を批難糾弾しているんだよねぇ。だが、その非難糾弾が「“買い物難民”増加の危機」って危機感は、おかしいではないか。

 いかに零細企業とは言え75万社の倒産」である。たとえ「とうちゃん、かあちゃん経営」であろうとも、それは「150万人以上の失業者」を意味するはずだ。その「150万人以上の失業者」ではなく、「食品スーパーなどが姿を消して、買い物難民が増加することを危惧する」なんてのは、とてもじゃないが、真面目または正気とは思えない。 不真面目ないしキチガイであろう。

 「北見 昌朗」で検索かけてみると、どうやらこの人は「中小企業経営コンサルタント」で、本も出しているらしいが…上掲記事も「プレジデント」と言う、それなりに「権威」もある雑誌の(オンラインでタダ読みできるとは言え)記事だ。その記事でのマイナンバー制による、75万社倒産を危惧する理由」が「買い物難民増加」とあっては、とてもじゃないが信用できない。

 北見 昌朗をコンサルタントとしている中小企業には、再考をお勧めするぞ