話が逆だろう-【東京社説】「首相「改憲」発言 改正ありきは慎まねば」に見る、日本国憲法改正の現実味
【東京社説】首相「改憲」発言 改正ありきは慎まねばTweet 2016年1月21日【1】 安倍晋三首相が夏の参院選で憲法改正を争点に掲げる方針を鮮明にしたが、どの部分の改正が必要か必ずしも明確ではない。国民の命運を左右する憲法である。改正ありきの姿勢は厳に慎むべきだ。
【2】 首相は四日、恒例の年頭記者会見で「憲法改正はこれまで同様、参院選でしっかりと訴えていく。その中で国民的な議論を深めていきたい」と述べ、十日放送のNHK討論番組では「未来に向かって責任感の強い人たちと三分の二を構成したい」と語った。
【3】 夏の参院選では憲法改正を重要争点に掲げ、与党と、おおさか維新の会など改正に前向きな「改憲派」と合わせて、改正の発議に必要な三分の二以上の議席を確保したいとの考えを示したものだ。
【4】 憲法改正は一九五五年の自民党結党以来の党是だ。衆参両院で三分の二以上の議席を得て改正に道を開きたいのは、自民党総裁を兼ねる首相としては当然なのかもしれない。衆院では与党が三分の二以上を確保し続けており、夏の参院選こそ好機と考えたのだろう。
【5】 現行憲法は改正手続きを条文で定めており、一般論で言えば、改正自体は否定されていない。
【6】 しかし、今、改正しなければ国民の暮らしが脅かされるような条文がどこにあるというのか。
【7】 首相自身も具体的な改正項目について「国会や国民的な議論と理解の深まりの中でおのずと定まってくる」と述べるにとどめる。改正自体が目的化してはいないか。
【8】 自民党内で浮上しているのが、大規模災害や外国からの武力攻撃発生時の政治空白を避けるための緊急事態条項の追加だ。国民に根強い反発がある戦力放棄の九条改正ではなく、理解を得やすいとされる緊急事態条項を改正の出発点にしたいとの思いがあるようだ。
【9】 とはいえ自民党がまとめた改正草案は、緊急事態の宣言時に、国会議員任期の延長に加え、内閣が法律と同じ効力を持つ政令を制定できることや、一時的な私権制限を認めることを盛り込んでいる。
【10】 憲法は主権者たる国民が権力を律するためにある。いくら非常時とはいえ国会から立法権を奪ったり、基本的人権を侵害する憲法を認めるわけにはいかない。【11】 与党内では衆参同日選の可能性も取り沙汰されるが、その間「緊急事態」が起これば、国権の最高機関たる国会が機能しなくなる恐れがある。改憲派は、だからこそ改正が必要だと言いたいのだろうが、国民のことを考えるなら、そもそも同日選は理屈に合わない。
「改憲を、選挙の争点にしろ」って、言ってなかったっけ
と、思ったら。あろう事かあるまい事か、この正月の東京新聞社説だった。
【東京社説】年のはじめに考える 公布70年、憲法の岐路Tweet 2016年1月5日【1】 通常国会が召集され、今年の日本政治が始動しました。夏には参院選があり、結果次第では憲法改正に向けた動きが加速しかねません。重大な岐路です。
【2】 通常国会は例年一月下旬に召集されていますが、今年は国会法改正で「一月召集」となった一九九二年以降、最も早い開会です。
【3】 野党側は昨年十月、憲法五三条の規定に基づいて臨時国会召集を要求しましたが、政権側は拒否しました。通常国会の早期召集はその穴埋めかもしれませんが、憲法を軽視した事実は消せません。
◆改憲、参院選の争点に
【4】 戦後七十年の節目だった昨年、安倍政権は憲法違反と指摘される集団的自衛権を行使するための安全保障関連法の成立を強行し、憲法自体や、国民が憲法を通じて権力を律する立憲主義の在り方が問われた一年でもありました。
【5】 日本国憲法が公布されて七十年の今年は、昨年以上に憲法の在り方を厳しく問い続けなければならないかもしれません。国政選挙の結果次第では、憲法改正に向けた足掛かりができるからです。
【6】 安倍晋三首相はきのう、年頭の記者会見で「憲法改正はこれまで同様、参院選でしっかりと訴えていく。その中で国民的な議論を深めていきたい」と述べました。
【7】 夏の参院選では、憲法改正も重要争点の一つに掲げたい考えを示したものです。
【8】 与党である自民、公明両党は現在、衆院では憲法改正の発議に必要な三分の二以上の議席を有していますが、参院では三分の二に達していません。
【9】 首相や菅義偉官房長官が蜜月関係を維持している、おおさか維新の会など「改憲勢力」と合わせて三分の二以上の議席を参院選で確保すれば、憲法改正の発議も視野に入ります。参院選は日本の行く末を左右する岐路なのです。
◆緊急事態条項の「罠」
【10】 衆院議員の任期は二〇一八年十二月までですが、夏の参院選に合わせて衆院が解散され、衆参同日選が行われる可能性も取り沙汰されています。
【11】 首相自身はきのうの会見でも同日選を否定してはいますが、この際、衆参両院で一気に三分の二以上の議席を確保して、憲法改正に向けた政治環境を整えたいと考えても不思議ではありません。
【12】 もちろん改正か否かを最終判断するのは、国民投票をする有権者自身です。私たち一人ひとりの責任が重いのは当然です。政治指導者たちが憲法をどう改正しようとしているのか、本当にその必要性があるのか、よくよく見極めなければ、将来に禍根を残します。
【13】 大規模災害や外国からの武力攻撃発生時の政治空白を避けるために緊急事態条項を憲法に追加することには、自民党だけでなく民主党や維新の党も前向きです。 改憲が党是の自民党内には、国民に根強い反発がある戦力放棄の九条改正よりも、幅広い賛同が得られる緊急事態条項を改正の出発点にする狙いもあるようです。
【14】 確かに、現行憲法は衆院議員の任期を四年、参院は六年と定めており、災害などで任期満了選挙が行えない場合に政治空白が生まれる可能性は否定できません。
【15】 しかし、自民党が野党時代の一二年にまとめた憲法改正草案は緊急事態宣言時、国会議員任期の延長特例に加えて、内閣が法律と同じ効力を持つ政令を制定できることや、一時的な私権制限を認めることも盛り込んでいます。
【16】 過去を振り返れば、悪意の政権が緊急事態を名目に人権や私権を制限し、独裁政治確立の道を歩みだすのは、ナチス・ドイツの例を挙げるまでもなく歴史の教訓です。
【17】 安倍政権が全く同じだとは言いません。自民党の改憲草案がそのまま発議されるわけでもないでしょう。しかし、憲法軽視の政治姿勢の下での憲法改正には、やはり危うさを感じざるを得ません。
【18】 政治空白を避けるためと高をくくっていると、取り返しのつかないことになりかねない。現代に生きる私たちが、そうした罠(わな)にはまるわけにはいかないのです。
◆野党協力で歯止めを
【19】 安倍政権の「暴走」に歯止めをかけられるか否かは、野党の責任が大です。あしたから始まる代表質問では、安倍政治の問題点を徹底的に追及してほしい。
【20】 そして、夏の参院選や、同日選の可能性がある衆院選では、党利党略にこだわることなく、でき得る限りの選挙協力をして、安倍政治に異を唱えたい有権者の「受け皿」をつくってほしい。野党がバラバラでは安倍政権が漁夫の利を得て「一強」を強めるだけです。
【21】 与党側は、野党間の選挙協力を「究極の談合だ」と批判しますが気にすることはありません。
【22】 憲法の規範や立憲主義を守り、政権の暴走を止めることは十分、選挙協力の大義になるからです。
今月初めの社説と、今月下旬の社説に、少なくとも齟齬がある
そんな齟齬や支離滅裂に関わらず「安倍首相糾弾」であり「改憲反対」と言う事だろう。
つまり、それだけ改憲が現実的になって来たって事だな。
重畳至極。
占領軍が占領下に、「日本人の骨も牙も抜いてしまおう」と押し付けた「平和憲法」だ。70年間タダの一文字も「改憲」されなかったのが、不思議奇蹟であり、そんな「平和憲法」でも我が国の安全がある程度保障された事こそ大奇蹟と言うものだ。
占領軍が占領下に、「日本人の骨も牙も抜いてしまおう」と押し付けた「平和憲法」だ。70年間タダの一文字も「改憲」されなかったのが、不思議奇蹟であり、そんな「平和憲法」でも我が国の安全がある程度保障された事こそ大奇蹟と言うものだ。