以前の記事で書き出しに使ったと思うのだが、「事実だけを並べて、事実とはほど遠い印象、いわゆる「嘘を吐く」ことは可能か?」という設問に対し、「可能である」と言うのが私(ZERO)の主張だ。それは、「事実であっても恣意的に局部的に取り上げることで、一つ一つは事実でも全体として事実とは全く異なる印象を与えることが可能である」から。
その実例を、中央日報が見せてくれているようだ。
その実例を、中央日報が見せてくれているようだ。
①【中央日報】「慰安婦を否定するな」…世界歴史学者187人が安倍首相に警告状
http://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=199987&servcode=a00§code=a00
[? 中央日報/中央日報日本語版]2015年05月07日 07時58分105
写真拡大世界の歴史学者187人が発表した声明書。[数字]および赤字は、引用を示すZERO追記
【1】 世界の歴史学者187人が6日(現地時間)、安倍晋三首相に対し旧日本軍の慰安婦など過去の歴史を歪曲せず直視することを促す集団声明を発表した。声明にはエズラ・ヴォーゲル・ハーバード大教授、アンドルー・ゴードン・ハーバード大教授、ブルース・カミングス・シカゴ大教授など権威ある東アジア・日本専門家が多数参加した。旧日本軍の慰安婦被害者に対する謝罪を避けてきた安倍首相と慰安婦の強制動員を否定してきた日本の右翼に対し、国際歴史学界が警告状を出したという評価が出ている。
【2】 声明を主導したアレクシス・ダデン・コネチカット大教授は「日本国内の史学者を支持する声明」と題した英語・日本語声明書を日本首相室に伝えたと明らかにした。学者は声明で、「[1]戦後日本で実現した民主主義、軍に対する文民統制、警察権の制限、政治的寛容などの歴史は、日本の科学の発展に対する寄与と他国に対する厚い支援とともに祝うべきものだ」としながらも「[2]しかし歴史解釈の問題はこうした成果を祝ううえで障害になっている」と始めた。
【3】 学者は具体的に「[3]最も意見が割れている歴史イシューが慰安婦問題」と指摘した後、「被害にあった国で慰安婦被害者の苦痛を民族主義的な目的のために悪用するのは国際的な解決を難しくし、被害女性の尊厳をさらに冒とくするものだが、被害者にあったことを否定したり無視することも同じく被害者を冒とくすることだ」と明らかにした。これは被害国の韓国・中国などと加害国の日本を同時に取り上げたものだ。
【4】 しかし声明は実際の内容では、安倍政権の一部が主張してきた日本軍慰安婦否定論理に正面から反論した。学者は日本軍慰安婦動員に強制性がなかったという主張に対し、「[4]数多くの女性が自分の意思に反して連れて行かれ、ぞっとするような野蛮な行為を体験したという証拠は明らかだ」とし「歴史学者は日本軍が女性の移送と慰安所管理に関与したことを証明する数多くの資料を発掘した」と一蹴した。続いて「[5]重要な証拠は被害者の証言にある」とし「[6]たとえ被害者の話が多様で一貫性がない記憶に依存していても、被害者が提供する総体的な記録は説得力があり、兵士または他の人たちの証言とともに公式文書によっても裏付けられる」と強調した。
【5】 学者は慰安婦被害者の数が誇張されたという主張に対しても、「[7]数字が数万人であれ数十万人であれ、日本帝国と日帝の戦場で搾取があったという事実は変わらない」と断言した。
【6】 学者は「[8]4月に安倍首相は米議会演説で普遍的価値である人権と人間安保の重要性および日本が他国に与えた苦痛に直面する問題に言及したが、このような情緒に称賛を送り、安倍首相がこれらすべてで果敢に行動することを促す」と明らかにした。
【7】 今回の声名には米国・英国・ドイツ・豪州・オーストリア・カナダ・シンガポール・日本など世界の権威ある研究者が含まれた。日本関連著書でピューリッツァ賞を受賞したハーバート・ビックス米ニューヨーク州立大教授、ジョン・ダワー・マサチューセッツ工大教授などとともに、日本学研究を発展させた功労で日本政府とジャパンファウンデーションなどから賞を受けたピーター・ドウス・スタンフォード大教授、入江昭ハーバード大学教授も参加した。
【8】 集団声明は、8月15日の第2次大戦終戦70周年を迎えて談話を準備中の安倍首相が米議会演説のように日本軍慰安婦など過去の歴史に対する明白な謝罪なく未来を述べる場合、世界の歴史学界と戦争をしなければいけないという予告だ、という指摘が出ている。
.ご丁寧に、こんな社説まで掲げている
②【社説】「安倍首相は軍の慰安婦を否定せず、歴史を直視せよ」
2015年05月07日10時39分
[ 中央日報/中央日報日本語版][数字]および赤字は、引用を示すZERO追記
【1】 全世界の歴史学者187人が昨日、軍の慰安婦を否定する日本の安倍晋三首相に向けて正面から警告状を出した。アレクシス・ダデン(Alexis Dudden)米コネチカット大学教授、エズラ・ヴォーゲル(Ezra Vogel)ハーバード大学名誉教授、ピーター・ドウス(Peter Duus)スタンフォード大学教授、ブルース・カミングス(Bruce Cumings)シカゴ大学客員教授らは声明を通じて「軍の慰安婦にあったことを否定したり無視したりすることは、被害者を冒とくすること」としながら「[4]数多くの女性が自身の意思に反して捕まって、おぞましい野蛮行為を体験したという証拠は明らか…この女性たちの移送・管理に日本軍が関与したことを証明する数多くの資料を発掘した」と明らかにした。彼らは「[8]4安倍首相が米議会合同演説で人権と人間の安保の重要性に言及した」と想起させて「[9]今こそ安倍首相が果敢に行動しなければならない」と促した。
【2】 安倍首相は訪米の際に軍の慰安婦を「人身売買の犠牲者」と言及した。だが主語がなければ何の意味もない。彼が一抹の道徳的・法的責任を感じるならば「日本軍による人身売買」と表現するのが最低限の礼儀だ。いくら相互の理解関係に沿って米日が密着しても歴史的真実までひっくり返すことはできない。数多くの軍の慰安婦被害者が戦場で搾取された事実は決して変わったり消されたりしない。
【3】 安倍首相は、世界の真実と良心に対抗して無謀な挑戦をしている。彼は「軍の慰安婦動員の強制性の可否は歴史学界にゆだねるべきだ」という立場だったが昨年、日本の最大最高権威の歴史学研究会は「日本軍の関与のもとで強制連行された慰安婦が存在したことは確固たる事実」と答えた。今回の世界の歴史学者の共同声明もこれに応えるこだまだ。だが安倍首相はこうした国内外の学者たちの良心的な声をすっかり無視したまま逆行を繰り返している。果たしていつまで過去と真実を否定して何の謝罪もなく玉虫色でやり過ごして行けるか疑問だ。すでに安倍首相は歴史問題を歴史戦争に変えた。彼がずっと歴史歪曲に固執するならば、その前には世界の歴史学界との決して勝てない戦争が待っているだけだ。
で、これがその記事のネタになった「警告状」全文。なんと朝日の記事だったりする。
③日本の歴史家を支持する声明(全文)2015年5月7日21時22分
http://www.asahi.com/articles/ASH575KGGH57UHBI01Y.html[数字]および赤字は、上掲①、②中央日報引用(と思われる)を示すZERO追記
米国の歴史研究者らが公表した声明の全文は次の通り。(原文のまま)
◇
* 歴史「偏見なき清算を」 米の日本研究者ら187人声明
日本の歴史家を支持する声明
【1】 下記に署名した日本研究者は、日本の多くの勇気ある歴史家が、アジアでの第2次世界大戦に対する正確で公正な歴史を求めていることに対し、心からの賛意を表明するものであります。私たちの多くにとって、日本は研究の対象であるのみならず、第二の故郷でもあります。この声明は、日本と東アジアの歴史をいかに研究し、いかに記憶していくべきなのかについて、われわれが共有する関心から発せられたものです。
【2】 また、この声明は戦後70年という重要な記念の年にあたり、日本とその隣国のあいだに70年間守られてきた平和を祝うためのものでもあります。[1]戦後日本が守ってきた民主主義、自衛隊への文民統制、警察権の節度ある運用と、政治的な寛容さは、日本が科学に貢献し他国に寛大な援助を行ってきたことと合わせ、全てが世界の祝福に値するものです。
【3】 しかし、[2]これらの成果が世界から祝福を受けるにあたっては、障害となるものがあることを認めざるをえません。それは歴史解釈の問題であります。その中でも、[3]争いごとの原因となっている最も深刻な問題のひとつに、いわゆる「慰安婦」制度の問題があります。この問題は、日本だけでなく、韓国と中国の民族主義的な暴言によっても、あまりにゆがめられてきました。そのために、政治家やジャーナリストのみならず、多くの研究者もまた、歴史学的な考察の究極の目的であるべき、人間と社会を支える基本的な条件を理解し、その向上にたえず努めるということを見失ってしまっているかのようです。
【4】 [3]元「慰安婦」の被害者としての苦しみがその国の民族主義的な目的のために利用されるとすれば、それは問題の国際的解決をより難しくするのみならず、被害者自身の尊厳をさらに侮辱することにもなります。しかし、同時に、彼女たちの身に起こったことを否定したり、過小なものとして無視したりすることも、また受け入れることはできません。20世紀に繰り広げられた数々の戦時における性的暴力と軍隊にまつわる売春のなかでも、「慰安婦」制度はその規模の大きさと、軍隊による組織的な管理が行われたという点において、そして日本の植民地と占領地から、貧しく弱い立場にいた若い女性を搾取したという点において、特筆すべきものであります。
【5】 「正しい歴史」への簡単な道はありません。日本帝国の軍関係資料のかなりの部分は破棄されましたし、各地から女性を調達した業者の行動はそもそも記録されていなかったかもしれません。しかし、[4]女性の移送と「慰安所」の管理に対する日本軍の関与を明らかにする資料は歴史家によって相当発掘されていますし、[5]被害者の証言にも重要な証拠が含まれています。確かに[6]彼女たちの証言はさまざまで、記憶もそれ自体は一貫性をもっていません。しかしその証言は全体として心に訴えるものであり、また元兵士その他の証言だけでなく、公的資料によっても裏付けられています。
【6】 「慰安婦」の正確な数について、歴史家の意見は分かれていますが、恐らく、永久に正確な数字が確定されることはないでしょう。確かに、信用できる被害者数を見積もることも重要です。しかし、[7]最終的に何万人であろうと何十万人であろうと、いかなる数にその判断が落ち着こうとも、日本帝国とその戦場となった地域において、女性たちがその尊厳を奪われたという歴史の事実を変えることはできません。
【7】 歴史家の中には、日本軍が直接関与していた度合いについて、女性が「強制的」に「慰安婦」になったのかどうかという問題について、異論を唱える方もいます。しかし、大勢の女性が自己の意思に反して拘束され、恐ろしい暴力にさらされたことは、既に資料と証言が明らかにしている通りです。特定の用語に焦点をあてて狭い法律的議論を重ねることや、被害者の証言に反論するためにきわめて限定された資料にこだわることは、被害者が被った残忍な行為から目を背け、彼女たちを搾取した非人道的制度を取り巻く、より広い文脈を無視することにほかなりません。
【8】 日本の研究者・同僚と同じように、私たちも過去のすべての痕跡を慎重に天秤に掛けて、歴史的文脈の中でそれに評価を下すことのみが、公正な歴史を生むと信じています。この種の作業は、民族やジェンダーによる偏見に染められてはならず、政府による操作や検閲、そして個人的脅迫からも自由でなければなりません。私たちは歴史研究の自由を守ります。そして、すべての国の政府がそれを尊重するよう呼びかけます。
【9】 多くの国にとって、過去の不正義を認めるのは、いまだに難しいことです。第2次世界大戦中に抑留されたアメリカの日系人に対して、アメリカ合衆国政府が賠償を実行するまでに40年以上がかかりました。アフリカ系アメリカ人への平等が奴隷制廃止によって約束されたにもかかわらず、それが実際の法律に反映されるまでには、さらに1世紀を待たねばなりませんでした。人種差別の問題は今もアメリカ社会に深く巣くっています。米国、ヨーロッパ諸国、日本を含めた、19・20世紀の帝国列強の中で、帝国にまつわる人種差別、植民地主義と戦争、そしてそれらが世界中の無数の市民に与えた苦しみに対して、十分に取り組んだといえる国は、まだどこにもありません。
【10】 今日の日本は、最も弱い立場の人を含め、あらゆる個人の命と権利を価値あるものとして認めています。今の日本政府にとって、海外であれ国内であれ、第2次世界大戦中の「慰安所」のように、制度として女性を搾取するようなことは、許容されるはずがないでしょう。その当時においてさえ、政府の役人の中には、倫理的な理由からこれに抗議した人がいたことも事実です。しかし、戦時体制のもとにあって、個人は国のために絶対的な犠牲を捧げることが要求され、他のアジア諸国民のみならず日本人自身も多大な苦しみを被りました。だれも二度とそのような状況を経験するべきではありません。
【11】 今年は、日本政府が言葉と行動において、過去の植民地支配と戦時における侵略の問題に立ち向かい、その指導力を見せる絶好の機会です。[8]4月のアメリカ議会演説において、安倍首相は、人権という普遍的価値、人間の安全保障の重要性、そして他国に与えた苦しみを直視する必要性について話しました。私たちはこうした気持ちを賞賛し、その一つ一つに基づいて大胆に行動することを首相に期待してやみません。
【12】 過去の過ちを認めるプロセスは民主主義社会を強化し、国と国のあいだの協力関係を養います。「慰安婦」問題の中核には女性の権利と尊厳があり、その解決は日本、東アジア、そして世界における男女同権に向けた歴史的な一歩となることでしょう。
【13】 私たちの教室では、日本、韓国、中国他の国からの学生が、この難しい問題について、互いに敬意を払いながら誠実に話し合っています。彼らの世代は、私たちが残す過去の記録と歩むほかないよう運命づけられています。性暴力と人身売買のない世界を彼らが築き上げるために、そしてアジアにおける平和と友好を進めるために、過去の過ちについて可能な限り全体的で、でき得る限り偏見なき清算を、この時代の成果として共に残そうではありませんか。
[9](該当なし)
如何に、読者諸兄。
上掲中央日報記事①および中央日報社説②が、少なくとも部分的に上掲記事③に書かれた「事実に依っている」事はお判りだろう。
で、上掲記事③は上掲記事①&②にあるような「安倍首相に対する警告状」であろうか?